ピークとの戦い
暖かい季節になってくると、バーベキュー場の需要が高まってきます。バーべキュー専門に限定せず、併設されたバーベキュー場も含めると、日本全国に相当数存在する施設にとっては、まさに恵みの季節と呼べるかもしれません。屋外で食べるバーベキューには爽快感があり、昨今のキャンプ人気の高まりともあわせて、需要は手堅く推移しているように感じます。
河川敷や公園でのバーベキューが禁止されることが増えているなか、また、庭を持たないマンション世帯の増加もあり、バーベキュー場にとってはチャンスに満ちた時代と言えます。一方で、その収益を高めるための方策に困っている運営者も多いのではないでしょうか。食材の廃棄ロスもある以上、食品販売の部分だけで利益を大きくするのには限界があります。
今回はこうした時代背景をうまくビジネスチャンスいつなげるための、施設・予約管理システムについて考えてみたいと思います。さっそくいくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 申し込み利便性を高める
キャンプ場やバーベキュー場の申し込みは、まだまだ電話が中心のところも多いようです。簡単な予約フォームがあるところも増えてきていますが、その使いやすさ、という意味では改善の余地があります。
また、単純な場所確保の申し込みにとどまるところも多く、せっかくのオプション拡販のチャンスを逃しているところも多いの実状です。予約時のハードルを高めすぎるのもマイナスが多いですが、一方で、じっくり検討できるタイミングで、客単価アップにつながるオプションの提案をしないのももったいなさすぎます。当日の受付時はどうしても早く早くとそわそわしている人も多くなるので、事前提案でオファーを提示することが重要になってくると言えます。
申し込みのフローで自然と料理のオプションや、器具、場所、その他アクティビティの申し込みを行えるようにしましょう。そして予約と同時であればお得であることをしっかりとアピールすれば、売上の上積みにつながります。これに加えて、当日のオプション増しや変更にも柔軟に対応できるようにしておきましょう。食材ロスの低減や売上げアップのチャンスにつながります。
Point.2 需要に応じた変動価格を導入する
予約の申し込みはくるけど、もう既に今シーズンは一杯、というもどかしさを感じたことのある運営者の方も多いのではないでしょうか。夏休みを中心に需要は爆発するのにバーベキュー設備の数は限られている状況下で、申し込みの取り逃しというのは非常に辛いものがあります。
かといって設備を拡張すれば今度は冬の時期に稼働率が下がり、また、追加投資や維持費が必要になってきてしまいます。このバランスが経営上とても重要なのは言うまでもありません。夏冬で業態変更する場合はそこまで問題にならないかもしれませんが、それでもどうしても繁忙期と閑散期をどうマネジメントするかはついてまわる問題です。
そこで検討の価値があるのが変動価格の導入です。もっともダイナミックに変動価格を導入しているのは航空券やホテルの宿泊料金ですが、同じ考え方はバーベキュー場の予約についても適用できます。冬の申し込みと夏の申し込みが同じ価格である必要はありません。
既に繁忙期と閑散期で値段を変えているところもあると思いますが、さらに踏み込んで、繁忙期でも申込数に応じて価格を変えるところまで踏み込むのもお勧めです。すでに9割のスペースが埋まっている日は、その段階で残りのものの値段があげてしまうというのが基本的な考え方ですが、どういったルールで値段を上下させるかはいくらでも実状にあわせて構築することができます。
あまりに激しくやりすぎるとリピーターさんから反感を買うかも知れませんが、そうした方には早めの予約を案内したり、リピーターならではの割引きを準備したりと、対応策はいくらでもあるはずです。限られた区画から最大の売上を絞り出す工夫をあきらめないでください。
Point.3 発信・提案を活発化する
施設や予約が、人の手ではなくシステムにより効率管理できるようになると、本来人がやるべき販売促進に時間をかけることができるようになります。一度利用したことのある方の再訪を促すキャンペーンや発信。X(旧Twitter)やFacebook、Instagramといったソーシャルメディアの活用も積極的に行うべきです。リピート客の掘り起こしのために、プロモーションプランを設計することで効率的な販売促進活動が行える場合があります。
施設の稼働率を見ながら、特定の日を狙い撃ちしたキャンペーンをしかけるのも良いでしょう。また、イベントやあらたなオプションメニューの開発をするのも効果的です。新規客確保も重要ですが、リピーターを上積みしていくことのほうがはるかに簡単で重要です。「毎年、この季節になると行きたくなるんだよね」という人を増やすために時間を使ってください。
取得した顧客情報を活用しないのももったいなさすぎます。あまりに頻繁なお知らせは逆にうざがられてしまいますが、適度でタイミングの良いお知らせは活用すべきでしょう。
総取りの時代
インターネットの普及に加えて、ソーシャルメディアの普及は、人気の不均衡を加速させています。とある施設が話題沸騰の一方で、とある施設は閑古鳥が鳴いているというのも珍しい話ではありません。価値あるものはそれに見合う価格が払われ、評判が伝播していく時代です。ただの場所貸しにとどまらない、楽しい時間を提供する事業体として、創意工夫と、事業としての最大化を試みてください。