申請、審査プロセスのシステム化

大学生、大学院生向けの研究助成金の申請や審査を行うシステムをリプレイスしたいというご連絡をいただいたのは、大学内の学生支援部署の方からでした。詳しくお伺いしていくと、現在は大学内で汎用的に使われている申請管理の仕組みを利用しているものの、細かい使い心地や業務効率面で不満点が多いとのこと。専用設計にすることで、日々の業務効率改善はもちろん、既に顕在化している課題解決や、今後の機能追加もスピーディーに行っていきたいというご要望をお持ちでした。

現在利用されているシステムの状況をしっかりと理解した上で、不満点やこうあるべき、というポイントを整理。デザイン案のかたちで目に見える仕様に落とし込んだ上でご提案を行い、プロジェクトがスタートすることになりました。

操作する立場ごとの画面構築

申請を行うのは大学生や大学院生といった方々ですが、一次審査、二次審査、最終審査をそれぞれ担当する教員、そして取りまとめを行う事務局職員といった具合に、様々な立場の操作者がシステムを利用することが想定されました。それぞれが見るべき情報や、見るべき視点は全く異なるため、それぞれの立場ごとに画面を出し分け、ユーザビリティを高める工夫を行いました。

また、審査を行うという業務の性質上、どうしても様々なコミュニケーションが発生しがちです。そういった、申請者、審査者それぞれとのコミュニケーションを効率的に行えるよう、メールの発信はもちろん、各種督促の発信も管理画面内から簡単に行えるようにすることで、業務の大半をシステム上から行えるように配慮しています。

研究助成金の仕様にあわせて設定制御

研究助成金には複数の種類があり、その種類ごとに、対象となる学生身分や、最大助成額、助成対象となる経費項目などが異なりました。こうした助成金ごとの性質にあわせて申し込みフォームがきちんと連動するよう、助成金ごとの違いを設定項目で表現できるようにデータベース設計を行っています。

申請の際の金額や、採択の際の助成金額も、こうした設定項目に基づいてチェックを行っており、誤った金額での申請や、誤った金額での審査が行われないようなセーフティーチェックとして機能するように構築されています。最終的には事務局職員によるチェックプロセスもありますが、人の目によるチェックの負担を少しでも軽減するための工夫の一つです。

情報公開サイトも統合し省力化

学内の研究助成金という性質上、学内に対しての情報公開機能も希望仕様として含まれていました。従来は事務局の職員の方の手作業によるページでしたが、システム内の情報を基に、審査が完了して公開状態に設定された研究助成金については、自動的に情報公開ページが生成されるようにすることで、さらなる省力化を図っています。地味ながら、この作業はこちら、あの作業はあちらと、作業するためのツールやシステムが分散してしまうと作業効率が著しく悪化するため、こうした集中管理には予想以上のメリットがあります。

また、成果物に対するコメント機能や、昨今のソーシャルメディアで一般的な「いいね」に類する機能も実装することで、採択者のモチベーションアップや、研究助成金自体の認知形成につながる仕組み作りも行われています。

こういったお悩みをお持ちであればご相談ください

既存システムをリプレイス、独立させたい

学内/社内の共通基盤に簡易的な申請管理の仕組みがある場合、小規模なものや、歴史の浅いプロジェクトでは特に、そういった仕組みを利用して業務を運用されている場合も多いのではないでしょうか。スムーズにスタートできるメリットがある一方で、汎用的がゆえに、個別事情に最適化されていないことも多く、少しずつ少しずつ、業務効率の悪さが顕在化してくることが多いように感じます。多少の効率性を犠牲にして、人力で補うという考え方が有効な場合もありますが、ある程度の規模になると人力対応に伴う人件費の方が上回ってしまう場合も出てきてしまいます。

こうした既存システムを利用し続けるのもコスト面では有利な場合もありますが、個別事情による改修要望がなかなか全体の都合により通らなかったり、その改修も利害関係の調整が手間で、なかなかスピーディーに実行できない場合もあったりし、独自システムと比べると、どうしてもストレスがたまることも多いのではないでしょうか。システム投資への理解度があまり高くない場合には他部署から反対されることも珍しくありません。

独自システムを検討できるだけのメリットが見込めるのであれば、積極的に検討すべきです。既存システムの良いところを引き継ぎながらも、動作面含め、かゆい所に手が届くシステムを構築することが可能です。また、複数の部署が関連するシステムから単独部署管理でのシステムへ移行することができれば、改修も含めたPDCAのサイクルは、明らかに加速します。業務効率の向上も非常に大きなものになるメリットもあります。

取りまとめ業務を無くしたい

研究助成金のように、申請者と審査者が登場する業務では、どうしてもその間にたって取りまとめ業務を行う事務局職員の負担は大きくなりがちです。正確性に自信がある方でも、ミスをしないだけでも大変ですし、それを効率的に行い続けるのは至難の業ではないでしょうか。取りまとめ業務が自分自身で完結する場合にはミスの影響範囲は大きくなりませんが、取りまとめの先に、それを前提に作業や審査を行う利害関係者が存在する場合には、なおのことミスに対しては神経質にならざるを得ません。

システム化を適切に行うことができれば、こうした取りまとめ業務の大半は自動化できますし、細かく存在するチェック項目についても、大幅に省力化することができるはずです。取りまとめに伴う時間も短縮されますので、時間に追われることもぐっと減るのではないでしょうか。また、取りまとめに関わる時間がなくなることで、審査段階の間の待機時間を無くすことができるため、審査プロセス自体の圧縮が実現したり、審査遅れといったケースを減らしたりすることにもつながります。

システムに得意なところは大胆に委譲することで、こうした業務効率の改善、ミスの低減、スピードアップが実現できますので、たくさんの利害関係者を巻き込むようなプロジェクトでも、システム導入を検討されることをお勧めします。

情報公開にかかる労力を低減したい

研究助成金のような審査を伴う業務では、申請者本人への結果通知はもちろん、最終的な採択者の情報公開も必要になってきます。こういった情報公開を手作業で行うのは非常に手間なのでお勧めできません。もし、担当者が不慣れなHTMLを書いているとしたら、あまりに属人的なため、対応を検討すべきでしょう。

「年度ごとに数回だし・・・」ということでそのまま担当者が手作業を続けている部署もあると思いますが、頻度が低いからこそ毎回の取り掛かりにかかる精神的、時間的なコストは大きなものになりがちですし、担当者が変わった際にはさらにその業務コストが大きくなってしまいます。頻度が低いゆえに慣れによる習熟も期待できないため、最初から作業の属人性を廃していく方が効果的な場合がほとんどです。

情報公開もシステムで制御できるようにし、自動化を実現することで、引き継ぐべきはシステムの使い方だけに限定することができます。ケアレスミスも低減できるメリットもあるため、情報公開が伴う業務にこそ、その部分をシステムで制御することを検討してみてください。


当社では、既存システムの良いところを引き継ぎつつも、独自の味付けを加えたリプレイス案件も得意です。また、既存データの引き継ぎ有無に関わらず、スムーズな移行も実現可能です。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

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