現実的な選択肢の提供

オーダーメードでのシステム開発として、勤怠管理システムのご依頼をいただくことがあります。ヒアリングの際によくお聞きしたのが、「既存のサービスでは学内の事情に合致しない」というものでした。それは例えば、一人のTA(ティーチングアシスタント)が複数の授業を受け持っており、その監督者であり承認者でもある教員が別になるため、その管理や集計も分けて行う、といったものです。

一般に提供されている勤怠管理システムは、上司は一人であるという前提であるものが多く、なかなか大学特有の入り組んだ承認の仕組みに対応しているものがありません。また、一般的には必要とされることが多い豊富な機能も、TAやSA(スチューデントアシスタント)、RA(リサーチアシスタント)やLA(ラーニングアシスタント)といった、学生アルバイトの雇用を前提にした時に、不要なものが多い割に必要な機能に乏しい、という事情も存在していました。

学内の他システムとの高度な連携が必要な場合にはオーダーメードでの専用システム開発が非常に有力な選択肢になるものの、どうしても予算規模が大きくなってしまいます。事実上、オーダーメード開発一択になってしまいがちなこの状況を変えるため、月額課金型のクラウドサービスの開発がスタートしました。

TAやSA、RA、LAといった学生アルバイトの勤怠管理に特化

まず、システムとしてTAやSA、RAやLAといった学生アルバイトの勤怠管理に特化することで、機能を大幅にシンプルにしました。機能を絞ることで、構築コストはもちろん、運用コストも下げることができるため、コストパフォーマンスに優れた価格が実現しています。

そして、大学特有の雇用形態に対応し、

学生アルバイトの勤怠管理で必要とされることの多かった上記のような仕組みを実現しています。

マスタ管理の複雑さを最小限に

クラウド型のサービスであるがゆえに、学内の他システムやデータベースとの自動連携は基本的には困難になります。勤怠管理を行うシステムである以上、TA等にあたる学生の情報や、承認者にあたる教職員の情報、また、それらが紐づく部課の情報などを設定する必要がありますが、こうしたデータのメンテナンスが複雑になってしまうと、どうしても運用を担当する職員の方の負担が増してしまいます。

データをシステム内にどう持つべきかの議論、検証を重ね、必要最小限のデータ設定だけでシステムが稼働できるように構築しました。一件一件登録できるほか、CSVファイルで一括投入できるようにすることで、定期的なデータメンテナンスの手間を軽減しています。CSVファイル上に必要な列もできるだけ少なくしているため、手作業でも、また、学内の関連システムからのデータ出力からでも、容易にデータ準備が行えるように配慮しています。

柔軟かつ汎用的な出力データを実現

勤怠管理システムである以上、最終的には給与算定に必要なデータ出力を行います。人、そして雇用ごとに勤務時間が集計されるようになっており、学内の処理がしやすいよう、「分」での表示と13:20のような「時間:分」での表示を共存させています。また、集計した数字を、何分単位で切り上げる/切り下げるかも設定できるようになっており、出力したデータをそのまま他部署に回しやすいように配慮しています。

また、勤怠集計データの出力の際にどうしても同時に出力したい情報がある場合には、各雇用にタグ情報というかたちで任意のデータを付随させることができるようにしました。勤怠データをダウンロードしてからエクセルを駆使して紐づけるのも一つですが、あらかじめ雇用データをシステムに登録する際にタグ情報を付随させることで、資金コードや属性情報といった付加情報も便利に管理できるようになります。

納得度の高い料金モデルを追求

TAに代表される学生アルバイトの雇用形態は、複数の監督者がいるという点でも特殊なのですが、通年稼働するわけでもない、というのも特徴の一つです。担当している仕事によっては長期休みの間にも稼働することはあると思いますが、基本的には授業のない長期休みの期間中は稼働数が落ちることが多いようです。

こうした事情に配慮し、利用ユーザー数に応じた従量課金の部分を、実働ユーザー数に応じて変動するように設定しました。こうすることで、TAが全く稼働していないのに、システムに登録している人数分課金されてしまうという状況を防止でき、納得感の高い費用請求につながっています。

» TA/SA/RA/LA勤怠管理システム Kinmuu

こういったお悩みをお持ちであればご相談ください

対象者を絞った勤怠管理システムを構築したい

今回の事例ではTAに代表される学生アルバイトでしたが、他にも様々な特殊な雇用形態が世の中には存在していると思います。こうした方々の勤怠管理は、汎用的な勤怠管理システムを無理やり使用するか、紙やエクセルベースで処理し続けているということも多いと思います。人力で対応できるうちは良いかもしれませんが、非効率であったり、また、そもそも管理する量が増えてきて業務が破綻したりしている場合にはそうも言っていられないと思います。

一つのシステムで複数の属性に対応するのも一つですが、対象ごとに特化した勤怠管理システムにしてしまうのも一つです。前者の場合は同じシステム上で管理できるメリットはありますが、複数の属性それぞれに対応しないといけないためにシステム自体が複雑になってしまったり、双方の妥協的な画面設計や動作にせざるを得ない部分も出てきたりしてしまいます。場合によって個別にシステムをわけて作ってしまう方が、短期的にも中長期的にも良い結果になる場合もあり得ます。

こうした特殊な対象の勤怠管理システムを構築する場合はご相談ください。複数の勤怠管理システムを手掛けてきた経験が活きる場面も多いですし、システムをどのようにシンプルにするかの勘所をおさえた開発が可能です。

従量課金型のサービスを開発したい

サブスクリプション型サービスと言っても、その課金方法は様々です。どうすればサービス提供者と利用者にとって、満足度が高まる料金設定を行い、正確な課金を行うかで悩まれることも多いと思います。ユーザー数に連動して費用を計算するサービスは非常に多いものの、そのユーザー数が変動する場合には、正確な測定と、効率的な請求を実現するのが困難になってきてしまいます。

同時に、不正対策の問題もあります。現実的にはあまり起こり得ないこともあると思いますが、従量課金部分をごまかすために、一時的に意図的にデータを削除したり、機能の一部をオフにしたり、といった操作が意味をなしてしまうことは問題です。料金計算のルールはシンプルであるべきですが、そのルールが公平に適用されるような仕組みをシステムに組み込んでおくことも同じぐらい重要と言えます。ペナルティを課すことよりも、ペナルティを課さないで済むような仕組みづくりに力を注ぐことをおすすめしています。

従量課金型の費用モデルは利用者にとっても明解なため、今後も主流であり続けることが予想されます。従量課金型ならではの課題を解決する仕組みづくりはもちろん、いくらに設定するのが適切なのかといったサービス設計面でのご助言まで、お役に立てるシーンは多いと思います。

SSO(シングルサインオン)連携したい

様々なWEBサービスが乱立する中で、外部サービスを利用する際にSSOに対応しているかどうかがチェックされることが多くなってきました。ある程度の規模以上の組織であれば、共通の認証基盤を整備し、そのログイン情報をもって外部のサービスを利用していることも多いでしょう。ユーザーにとってはパスワードをたくさん管理する必要がなくなるメリットがありますし、認証管理側としても、サービスごとにアカウントを発行する手間や機能準備が不要になるためメリットがあります。

こうしたSSO連携はますます今後のサービスで求められていくことになると思います。SSO連携に対応していないことで選択肢から除外されるということも十分に起こり得ます。とりわけ、BtoBのサービスであれば必須要件と言えるかもしれません。こうしたSSO連携にできるだけ柔軟かつ効率的に対応できる体制や、機能作りをおすすめします。


当社では、独自の勤怠管理システムはもちろん、サブスクリプション型サービスの開発を支援することも可能です。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。

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