時間の創造

営業の世界は、結果が出ればそれが常に正義ですが、結果を出すためにたくさんの仕込みを行っている人が、結果的に「楽に結果をだしている」ように見えるのが実状ではないでしょうか。それぐらい仕込みが重要であり、多くの見込み客と接し、コミュニケーションを重ね、的確な提案を行えている人が、スーパーセールスと呼ばれるのだと思います。

スーパーセールスのやり方を会社全体の営業チームに波及させるのは簡単なことではありません。かといって、属人的な営業に頼っていては、会社としての大きな成長は望めません。そうしたときに選択肢として有効なのが営業支援ツールの導入です。様々な自動化ツールと組み合わさって販売されていることも多く、選択肢は非常に豊富です。

既にたくさんの会社からそういったサービスやソフトウェアが出ていますが、完全に自社の業務に最適化するのでれば、独自開発にかなうものはありません。独自開発する際にどういった点に気をつけるべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 コラボレート前提の柔軟な権限管理

営業支援ツールを導入したものの、その営業支援ツールに情報を入力したり、情報を最新のものに更新することに大きな時間をとられてしまって、営業に回る時間が減ってしまうといった状況が起こると、本末転倒です。管理側はそれにより見える情報は増えるかもしれませんが、営業に回る時間が減ると売上が落ちてしまうので、望まない結果と言えます。

多くの会社がこのジレンマに陥り、経営陣は営業支援ツールの活用を求める一方で、現場はそれに反発するといった構図が発生していることも珍しくありません。こうした状況を解決するために、システム内で柔軟な権限管理ができるようにし、チームとしての役割分担をできるようにするのがお勧めです。

例えば、見込み客の名称や住所等を最新の情報に更新する作業は、営業スタッフが行う必要は全くありません。こうした作業は外注の入力部隊に任せ、1件あたりいくら、といった成果報酬で仕事を任せられるようにしましょう。また、同じような入力を時間をかけずに登録できるようなサポート機能も充実させると良いでしょう。テンプレートを登録できたり、過去の履歴から自動で補完されたりと、いろいろな補助機能の開発がありえます。

Point.2 会う、以外の動作は極限まで省力化

営業の腕の見せ所は、会って(又は電話等で)の商談ではないでしょうか。この部分は自動化すべきではありませんが、それ以外の部分で自動化・省力化できるところは徹底的に省力化すべきです。究極的には営業部隊がすべての時間を営業に、さらには成果につながる活動に使えるというのが理想でしょう。

例えば見込み客のフォロー。メールや電話等、方法は色々ありますが、メールであれば1クリックでお礼メールが送れるようにするだけで効率化が進みます。いかにもテンプレート感満載のメールになることを嫌うのであれば、送信前に一文追加できるようにしたり、同じお礼メールでもテンプレートを複数登録できるようにしたりすることで対処可能です。全員が同じでは味気ないので、人によってカスタマイズをできるような余地を残しておくと、営業部隊の個性と両立させることができるでしょう。

また、ファーストコンタクトの電話がなかなかつながらない、といったケースでは、ショートメッセージ(SMS)の活用も可能です。これは見込み客が個人で、携帯電話番号の取得が前提にはなりますが、なかなか最初の電話がつながらないといったケースでは時間の節約にも、到達率の改善にもつながるのでお勧めです。

Point.3 営業活動が楽しくなる視覚化を

結果が全てとはいえ、プロセスや結果のための努力が全く評価されないのは営業チームのモチベーションがあがりません。営業チームとしてどういった努力を行ってきたか、その努力の量を視覚化するのも営業支援ツールの重要な役割との一つだと思います。

各プロセスでの転換率といった、経営上の重要指標はもちろん、見込み客リストの増加数や整理の具合、開拓活動や関係性の強化など、営業支援ツール上で行ったアクションをわかりやすく視覚化し、経営陣にとっても、営業チームにとってもやる気の湧くようなレポート機能であることが重要です。見るためにクリックをたくさんしないといけないものでは利用率が上がらないため、大事な情報はいつでもすぐに簡単に確認できるようにしましょう。

最終的な成果にはつながっていないが、とても重要な貢献をしている社員の視覚化にもつながりますので、「がんばっているのに評価されない」といった不平不満が減る効果も期待できます。営業活動上や経営上のKPIと紐付いていることが理想的ですので、マネジメント層も巻き込んで設計することをおすすめします。

他社を出し抜くための布石

営業チームがあるということは、競合と奪い合う状況が少なからずあるということを意味します。その中でいかにして競合を出し抜くかに常に頭を悩ませている方も多いと思います。営業スタッフを増やすか、レベルをあげるか、この二択で議論されがちですが、第三の差異化ポイントとして、自前の営業支援ツールの導入が大きな効果をうむ場合があります。

過去の導入失敗のトラウマに囚われず、営業チームがもっと楽しく、もっと活き活きと活躍するための投資を是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
一件でも多く回ってこい!という気合のアプローチが今でもまかり通っているジャンルではありますが、一方で組織的にその営業活動を仕組み化している会社も存在しています。再現性とスケールが重要なのは言うまでもなく、そうした仕組みづくりにシステムは非常に役立ちます。簡単なものであれば既存のサービスの組み合わせで可能でしょうが、より高度な自社独自の要素を組み込みたいのであれば、独自システム構築をおすすめします。