世代交代の波

歯科医院の乱立がとまりません。見渡せば歯科医院が見つかるなか、新しい歯科医院が勢力を拡大している地域も多く、確実に世代交代が起こっている印象を受けます。それは都市部に限らず、郊外でこそ最近は目に付くようになってきました。同じ歯科医院なら新しくきれいな医院に惹かれるのも心情ですが、すでに通っているところからわざわざ切り替えるか、と言われるとそう話は簡単ではありません。

このような環境下では、ますます新設歯科医院の集客、集患の難易度が高まります。古くさい競合医院との戦いであればよかったのですが、数年前にできたばかりの新しい医院との戦いとなると話は別です。今、これから、どのようにして新しい需要を掘り起こしていくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 初期認知形成はしっかりと

歯科医院、とりわけ郊外の新設歯科医院の場合、確実に近接商圏の需要を確保することが何より重要です。人通りの多い道路沿いにあるなど、立地に相当恵まれているのであれば特に気にする必要はありませんが、道が一本違えば、開設に気付いてもらえないということはよくある話です。さらに、2階以上の立地であればなおさらです。

競合医院の配置も加味し、自院が確実にとれる・とりたい商圏を定義し、その地域での認知形成を確実にしましょう。地域誌への広告出稿やチラシ出稿、出稿地域を限定したインターネット広告の出稿など、早い段階で一定量の広告料を投下してでも、最初の認知形成につとめてください。最初に存在を認知してもらえてはじめてスタートラインに立てます。「広告とかは落ち着いてから」ではなく、落ち着く前に最初の第一歩を大きく踏み出すことをおすすめします。

勢いというのは早いうちにつけたほうがその後の効果がどんどんと大きくなるため、最初の第一歩に一番気合をいれるのがお勧めです。

Point.2 ホームページには徹底的にこだわる

歯科医院自体の内装や外装にこだわることも大切ですが、こだわればこだわるほど、とんでもない費用がかかります。また、内装や外装は医院まで来てもらった人にだけ伝わるポイントのため、新規集客におけるインパクトはどうしても限定的になります。

後発の場合、ホームページには徹底的にこだわるべきです。間違いなく、地域No.1のホームページにしてください。地域内の競合を調べ、確実にそれらの歯科医院よりも魅力的に見えるように作り込んでください。後出しじゃんけんなので、基本的には自分たちが有利なはずです。雰囲気も、情報量も、サービスメニューも、どの要素でも秀でているのが理想です。

具体的には地域内でいくつかの競合医院をベンチマークし、そこよりも、質・量ともに優れたホームページにしましょう。医院の場所や営業時間しか書いていないようなホームページではもったいなさ過ぎます。歯のこと、健康のこと、治療のこと、色々な角度から、何を、どう伝えるかをしっかりと考え、最強のホームページに仕立て上げてください。

Point.3 継続と仕組み

いざ開院してしまうと、何かを仕込むための時間が急激に無くなります。忙しくて嬉しい悲鳴、ということでそれ自体は悪いことではありませんが、同時に限界が見えてくる時期でもあります。

一層の売上拡大を目指したいけれども、時間の余裕がない、人員の余裕がない、というのはよくある話です。とりわけ、自由診療の売上を拡大していきたいという時に、なかなかその仕込みができないというのは非常にストレスフルな状況でしょう。

後発の参入であれば、自由診療のメニューの拡販については計画的に取り組んでください。通常診療で来てくれている患者さんに提案するのはもちろん、ホームページ上でも継続的かつ積極的に発信していくべきです。あまり露骨な売り込みをすると敬遠されますが、サービスとして取り組んでいることはきちんとわかるようにしてください。

関連ニュースへの歯科医師のコメントや、サービスメニューの独自性のアピールなど、コラム、ブログ、専用特集ページ等、色々なアプローチで発信してみてください。それを常に実行できる仕組みにし、外部リソースもうまく活用しながら、継続していってください。あわせて、慢性的な人材不足に陥らないよう、スタッフ募集のページをあらかじめしっかり作っておくのも有効です。求人サイトありきになると他の歯科医院との差異化が難しくなるため、自院のホームページ上でしっかりアピールできる体制を整えておくのが長期的なメリットが最も大きくなるでしょう。

事業としていかに取り組むか

1日に診ることができる患者数には限りがあります。しかし、同じ広さの歯科医院でも、やり方によって大きく売上にはばらつきがあります。

院長の負担を軽減しながら売上を伸ばしていくには事業としてしっかりと取り組む必要があります。先を見据え、仕組み化し、継続していく。このかたちができれば、後発であっても永く地域に愛される歯科医院を作り上げていくことは十分に可能と思います。