オムニチャネル

遠くから聞こえる歌。屋台が巡る光景をあまり見かけなくなってしまいました。ごくたまに懐かしの呼び込み音声を聞くと、郷愁すら感じる人も多いのではないでしょうか。ただ一方で、地域性があるものの、オムニチャネル時代に、すぐそこまできてくれる屋台・移動販売ビジネスは再び脚光を浴びる可能性があります。Uber Eatsのような宅配代行サービスは、都市部を中心に市民権を得たことを考えると、近くに来てくれる屋台サービスにも大きなチャンスがあると言えます。

移動弱者の増加や車を持たない世帯の増加もあいまって、こちらから出向く型のビジネスにはチャンスがあります。ただ、旧来と同じやり方をやっていては、効率も売上もあがりません。今回はIoT時代に屋台がどうあるべきか、また、どのようにすれば、強みをもって参入できるのかいくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 屋台の位置をリアルタイム配信

屋台や移動販売の音が聞こえても、それが正確にどれぐらいの位置なのか、自宅の前を通るのかどうかがわからなくてやきもきした経験はないでしょうか。スマートフォンの普及によって、GPSが大きく一般に普及した今、屋台や移動販売の位置はホームページ上で公開すべきです。

さらに言えば、移動予定ルートを確認できるようにして、自宅の前に後何分程度で到着するのかの目安がわかれば最高です。もちろん、後述のプッシュ通知で、近くにきたときにお知らせするという合わせ技も非常に有効です。走りながら鳴らす音声にも、そうしたお知らせ掲載をしていることを案内して誘導できれば、見逃し客を減らすことができます。

Point.2 受注と決済の事前完了

屋台や移動販売車の効率性向上の肝は、いかにしてたくさんの需要を取り込むかです。大きなマンションにはりついて一箇所でたくさんの販売を行うも一つですし、色々なところを巡って、広く薄く売上をつくるのも一つです。どちらにしろ、いかに一件あたりの販売にかかる時間を短縮するかが、効率性向上の鍵をにぎっていると言えるでしょう。

屋台や移動販売者であればある程度商品やサービスは絞り込まれていると思うので、受注や決済を事前にホームページやスマートフォンアプリで済ませられるようにしておきましょう。事前決済の方に割引きやおまけ等で優遇するのもお勧めです。特にランチ時間など、需要が短時間に集中する場合には、あらかじめ作っておいて決済も終わったものを手渡すだけ、というのは利用者にも移動販売車にも非常にメリットがあります。

事前に決済が済んでいれば、商品を引き渡すだけで済むために大きな時間短縮が見込めます。「屋台に興味があったけど、混んでいるからやめた」といった取り逃しにも効果が見込めます。そういった流れを知らない人向けのフライヤーを作っておけば、初めての利用客にはそのフライヤーを見ながら手続きしてもらうことも可能になります。

Point.3 登録顧客へのプッシュ通知

屋台や移動販売車にとって、見つけてもらえるか、認知してもらえるかというのは生命線です。昨今、大音量で練り走ることも難しくなってきていますので、沿道の見込み客にお知らせする機能を持つべきです。

最近の住居は、マンションに限らず気密性が高まっているため、音が聞こえにくい場合が増えてきました。また、大きな音は騒音トラブルにつながりがちです。LINE登録を通じたプッシュ通知など、違った方法で屋台の存在をお知らせしていく方法を検討してみてください。

具体的には過去に購入歴のある人や、ホームページ上からの登録からリストを作り、そういった方達に近くにきたらショートメッセージを送信しましょう。LINEが普及しているのでLINEの機能を活用するのも一つでしょう。一見さんをその場限りにするのではなく、長期的な顧客基盤として蓄積していけるかどうかが売上の安定性を左右します。

屋台が今日は出向くことがわかれば、「買おうかな」という需要を刺激することができるかもしれません。また、今日のおすすめや、特別オファーもあわせて案内すると、巡回する前から注文がたくさん舞い込む状況を実現できます。ソーシャルメディアでの発信と組み合わせることで、広く、そして深くコミュニケーションをとることが可能になります。

情報武装こそ強み

屋台や移動販売はどうしてもアナログ、古くさいイメージがありますが、どこでもインターネットにつながる今だからこそできるやり方があります。高度なPOSや決済システムも高嶺の花ではなくなりました。

システムを強みにした移動販売ビジネスを構築し、街に眠る需要を大きく掘り起こしてみてください。

開発スタッフのコメント
機動力武器の移動販売ビジネスだからこそ、ITの力を徹底活用すべきです。スマートフォンやタブレットとインターネット回線さえあれば、目の前にいない人に対しても商売を展開できますし、あらゆることの時短が可能になります。事前決済や顧客の蓄積など、客層が許容できるのであればより効率的な取り組みも可能なだけに、使い所と使い方を見極めたシステム活用をおすすめします。