カフェ業態への注目度、そして、カフェ業態をやりたいという志願者の数は減るどころか、ますます加速しているように感じます。その一方で今日この瞬間もカフェの廃業も起こっており、新陳代謝が異様に活発な業態と言えます。
コーヒーブームの追い風もあり、カフェという市場が再活性しているようにも感じます。ソーシャルメディアを中心に、火がつくと一気に広まることも、特に都市部での集客施策に大きな影響を与えています。一方で廃業も多い業態であり、軽い気持ちと無計画にはじめたものの、行き詰まって辞めるというケースも珍しくありません。
今回はこうしたカフェ業態、とりわけ、十分な広さを持たない極小店舗のケースを取り上げ、どういった集客戦略、商品開発、店舗運営を行っていくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 売上最大値を徹底的に高める
極小店舗の場合、普通に営業していては売上の最大値がたかがしれています。席数が10席未満のお店であれば、1日数回転したところで売上は伸びません。そこで、売上最大値を高めるために、何をどう売るかを突き詰める必要があります。
例えば、テイクアウト中心のお店にしてしまえば、席数の制限がなくなるため、小さな店舗でも大きな売上を狙うことができます。パン屋など、テイクアウト前提の業態が小さい店舗で成立するのはこういった理由からです。もちろん、途中から変更するのは勇気がいりますが、テイクアウト商品の拡充と販売促進を行うことはどこのお店でも可能です。その売上が伸びれば伸びるほど、さらに力をいれてテイクアウトの比重を増やしていくということは現実的なアプローチになるでしょう。スペースに余裕があるのであれば、コーヒー関連の器具やグッズなど、物販に力を入れるのも一つです。また、他のお店とのコラボレーションの商品を販売したり、仕入れた食品を販売するのも検討の価値はあります。
また、単価を徹底的に高める方向性もありえますが、飲食に限定するとその方向性は非常に難しく、よほどの経歴や売り物がある場合以外は避けるのが賢明です。あくまで価格帯としてたくさんの人が買うことができるレベルにとどめることをお勧めします。
Point.2 商品ジャンルにあわせた立地検討
メインで売りだそうとしている商材が、衝動買い商品か、わざわざ商品かを考えてみてください。その商品のためなら車や電車に乗ってでも買いにいきたいという商品であれば、駅からの近さはそれほど問題にならない場合があります。むしろ車で遠方から来店しやすいかを検討すべきです。
取り扱うものがついつい買ってしまうものであり、わざわざ買う物でない場合は、ある程度の人通りが望める場所でないと厳しいことが多いです。予算との相談にもなりますが、100人が店の前を通過すれば何人が買ってくれそうかで、その商品にどれぐらいの人通りが必要かを検討してみることも一つです。スタッフの数でどれぐらい捌けるかも考慮すべきです。一つの提供に10分かかるのであれば、1時間あたりで販売できる数量に限りがあります。スタッフを増やすか、うまく提供時間を短縮できないもあわせて検討するべきでしょう。
また、どれぐらいの集客予算があるかも影響します。広告集客を一切しないのであれば、口コミと通行人への露出がメインになりますが、ソーシャルメディアでの発信力を持っている場合はそこからの誘導で集客できたりもします。自分たちが何を持っていて何が足りないかを認識することで、立地に求められる要素が見えてきます。
Point.3 こだわりと安定のバランス
最近の傾向として、こだわればこだわるほど人気がでる、という風潮があります。これは確かに正しいのですが、一方でこれをそのまま真に受けて店舗運営していては破綻してしまいます。こだわりのお店がものすごい人気だが、全く儲かっていない、ということは珍しくありません。こだわりの商品が結果的にただのコスパが高い商品で終わってしまっては経営が立ち行かなくなってしまいます。ぼろ儲けを目指せというわけではありませんが、事業としても継続性がないと、最終的にはお店を愛してくれているお客さんにも迷惑がかかることになってしまいます。
こだわるところはこだわり、効率化するところは効率化する。また、量が確保できないのであれば、何とかして量を増やせる工夫や改善はないか検討してみる。一つ一つは地味ですが、品切れは機会損失ですし、注文があってから提供までの時間が長いのも誰もハッピーではありません。こだわり、という言葉のもとに思考停止するのではなく、こだわりに安定とスピードをもたらす創意工夫も忘れないようにしてください。
第一歩としての極小店舗
新業態への挑戦や、はたまた脱サラによる起業。その背景にあるストーリーは色々あれど、極小店舗はそういった新しい挑戦に最適な形態だと思います。工夫次第である程度の成功は収めることができる割に、背負うリスクや失敗したときのマイナスはそこまで大きくありません。
規模が大きいことは、変化していくスピードがどうしても遅くなってしまいます。店舗運営はオープンしてからが進化のタイミングです。規模が小さいことを活かしてどんどんと進化し、次の大きな一歩につながるような集客、店舗運営を試行錯誤してみてください。