膨大なファイル管理

ある程度の大きさの組織になれば避けて通れないのが、社内の様々な申請書や届け出、その他、稟議や承認プロセスの書類等、膨大なファイルが社内を飛び交うことではないでしょうか。

ついつい慣れているからと、エクセルやワードファイルが飛び交うのはあまり健全ではありません。とりまとめる側の作業は増え続け、ファイルを探すためにものすごい時間を費やす状況になってからでは遅すぎます。また、添付ファイルはセキュリティ上あまり良くないので、情報漏えいを気にするのであれば、基本的には廃止していくべきです。かといって、Googleフォームのようなフォームサービスで受け付けるのも、取りまとめる苦労が増すだけなのでお勧めしません。

今回はこうした申請や届け出をいかに効率良く管理すべきかについて考えてみたいと思います。

Point.1 テンプレート配布からの導線をスムーズに

社内や行政の届け出あれば、何かしらの基本形となるテンプレートが存在するはずです。もしテンプレートそのものが存在せずに各部署が秘伝のタレのような運営を行っているのであれば、これを機に共通テンプレートを作成して利用しましょう。

申請システム上でテンプレートをダウンロードし、そのまま少ないクリック数で当該のファイルをアップロードできる画面設計にすべきです。よく、テンプレートはテンプレートで違う場所にまとめて置いて、アップロードする場所は全然違う、という設計もありますが、「必要なものを必要な場所に」という鉄則を守るべきです。

さらに踏み込めるなら、そもそもの申請をフォーム入力に変更してしまうのが有効ですが、そこまでの対応はできない場合にはファイルの受付だけでもシステム化してしまうのは次善策として有効でしょう。申請する場所に必要なファイルがきちんと置いてあれば、情報の一元管理につながりますので、利用者の手間を軽減することにもつながるでしょう。

Point.2 適切なバックアップ設計を

ある程度の期間、ファイルを確実に残しておかないといけない場合、バックアップ設計は重要です。ファイルを定期的に別サーバーに保存するのも良いでしょうし、サーバー全体のスナップショットという方法を検討するのも一つでしょう。ないとは思いますが、初歩的なミスとして、同じ場所にバックアップをとるようなことはないように注意してください。万が一が起こった際には一緒に消えてしまう場合があります。

容量がとても大きくなりうるのであれば、クラウドストレージとの連携も視野にいれるべきです。保管すること、がメインになるのであれば、ストレージ料金をおさえるための保存重視の契約プランがお勧めです。万が一のファイル消失のためにも、冗長化も検討してください。そうしたオプションがあるストレージサービスもありますので、安心を少ない投資で確保することができます。

Point.3 既存システムとの統合が勘所

申請システム単体で構築したい、という需要はまれではないでしょうか。実際は既に他のシステムが動いていたり、その申請を基に他のシステムやサービスにデータをエクスポートするというケースも多いと思います。そうした場合は認証やファイル出力で高度に連携するのはもちろん、そういった別システムとの連携を長期的にメンテナンスしやすい設計にすべきです。

外部連携の部分は硬直的につくってしまうと、機能修正の度に膨大なコストがかかってしまいます。法制度の変更は頻繁にありますし、社内の制度の変更も無視できません。変更に強いシステムにできるかどうかが、こうした業務補助的システムで絶対にはずせないところです。現段階では実装しないものの、将来的に考えられる展開はできる限り洗い出した上でシステムを構築することをおすすめします。補助制度の増減にあわせてOn/Offしたり、追加が比較的容易に行えるようにしたりするのも良いでしょう。

紙からの代替にとどまらない進化を

組織の歴史が長いほど、「これ、いまだに紙なの!?」というシーンも多いと思います。それをインターネット上でできるようにするだけではもったいないので、業務効率、そしてファイルの安全性をより高めるかたちを模索すべきです。

紙からデジタルへ、そしてクラウドへ。より身軽に、より筋肉質な組織や意志決定フローの確立のために、ぴったりはまるシステム構築を是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
申請手続きには情報の入力と受領、さらには承認が伴うため、本当に様々なシステム化の方向性があります。とはいえ、その申請手続きのルール自体がばらばらでは、システムもそのばらばらに対応するために肥大化しがちです。それでは開発コストばかりがかかってしまうため、システム化を検討する際に、申請手続きのルールの共通化や、フォーマットの整理、承認フローの見直しなどを同時に進めるべきです。業務効率化プロジェクトの一環として、システム化に取り組むことをおすすめします。