生産性と向き合う
オフィス家具市場が賑やかです。昔から、大規模なオフィスビルでは、ショールームかと見まごうほどの豪華なオフィス家具が納品されていましたが、より多くの人に高機能なオフィス家具が求められるように時代が変化しつつあります。在宅ワーカーがオフィスチェアにこだわることも多いですし、それほど大規模でない会社でも、一流のブランドオフィス家具を購入することも珍しくありません。
生産性への投資という意味でポジションを確立したオフィス家具ですが、専門店やAmazonのような大手流通も混在しており、オフィス家具を販売するネットショップ間の競争は非常に激しいものがあります。人気のあるモデルなどは生産量確保の取り合いというものも珍しくありません。
今回は、こうしたオフィス家具/チェアのネットショップ構築について考えてみたいと思います。早速いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 バリエーションをわかりやすく見せる
オフィス家具、とりわけオフィスチェアの場合、色のバリエーションや肘の形状の違い、フレームの色等、SKU単位で考えるととんでもない数になってしまいます。それをいかにわかりやすくできるかが、訪問者に対する負担を軽減する上で重要です。
一つの商品につき一つのページにできるのが理想ですが、外部のショッピングカートサービスを使っている場合、そこまでの選択肢設定ができない場合が多いと思います。その場合は色だけは同一ページで見られるようにし、フレームや背もたれの高さ、肘の形状は、すべて別商品として登録してしまって回避するのも一つです。ただ、そうした場合は、何がそれぞれ異なるかがわかりづらくなりがちで、誤購入の確率も高まってしまうため、商品説明や写真で、明確に何が違うのかをわかるように登録する等の配慮が必要でしょう。
自社構築のネットショップでカスタマイズが可能であれば、そうしたすべての選択肢条件を1ページにすることで、迷わず、使いやすいページにすることができます。選択した内容にあわせてオプションも変化するのはもちろん、画像の連動も含め、可能であれば対応してください。
Point.2 メーカー納期も細かく表記
オフィス家具のような大きな商品になると、メーカー直送という納品形態が多くなると思います。メーカーの納期は多めに見積もって掲載しておくところが多いと思いますが、そういった事情を知らない訪問者はその多めに見積もられた納期をもとに、他のネットショップと比較します。ここで他店に見込み客をとられてしまうのはもったいなさ過ぎます。
メーカーが納期情報を公開しているのであれば、システム的に自動取得できるようにし、ネットショップの納期情報を随時更新しましょう。遅れがでない範囲で短くすることで、「この納期ならここで買おう」と思ってもらえたならしめたものです。そして、納期についてどういった仕組みで表示しているかをきちんと説明してください。他社がもし競合対策でありえない納期表示をしていた場合に、適切な情報発信がそうしたグレーな施策に対する牽制になりえます。
価格の安さもとても重要ですが、納期の早さもとても重要です。その両方をしっかりと突き詰める必要があります。運用プロセスを単純化したり、工夫を積み重ねたりすることで、1日でも納期を短くできるならチャレンジしてみてください。
Point.3 比較記事やレビューを充実
お客様の声や商品レビューというものが一般的になってきましたが、オフィスの購買担当がメインの顧客のオフィス家具ネットショップではなかなか集まりにくい性質があります。だからといって具体的な商品評価が無いのは訴求力に欠けます。そこで、スタッフによる比較記事や商品レビューを充実させましょう。
あくまでスタッフ個人の感想という切り口で、身長や可能なら体重も公開し、商品の使い心地や座り心地をしっかりと書いたページにしてみてください。商品に詳しいお店・スタッフという印象を与えることもできますし、なかなか試しに座ることできない地域の人にとってはかけがえのない参考情報になります。「個人の感想です」と言ってしまえばそうですが、感覚的なものでしか測れないものでもあるので、こうした感性的な情報を蓄積していくことにも意味があります。
なかなか複数の椅子を比較したレビューを作るのは大変なのでそれだけで価値がありますが、スタッフ以外の人も招いた試座会を開催するのも良いでしょう。人それぞれ感じる視点が異なるため、様々な視点での評価が集まるのはとても有用な情報と言えます。
総合力が問われるマーケット
オフィス家具は安さが重要であることは異論はないと思います。ですが、安さを追求したあまりにサービスや納期がないがしろにされているお店が多いのも事実です。そこに細部にまで作り込まれたネットショップを構築することで、まだまだチャンスがあるように感じます。
メーカーとの連携含め、いかに省力化をはかりつつ、訪問者に対する情報量やサービスを充実させていくかが肝になります。現状使用しているショッピングカートシステムの仕様だからとあきらめる前に、もう一段高い視点からの目的思考で、ネットショップを進化させてみてください。