上昇し続ける単価
高級オーディオマーケットが元気です。ただ、一昔前と比べるとその構成は大きく変わり、イヤホンやヘッドホンに代表される機器の比重が高まっているように感じます。家で重厚な機器で楽しむというスタイルから、携帯オーディオ機器やスマートフォンで音楽を聴くスタイルに変わったことが影響しているのではないでしょうか。
海外の有名ブランドから国内の大手メーカー、さらにはたくさんの中小メーカーが参入し、多種多様で個性的な商品が多数登場しています。中小メーカーのブランドも高品質な商品が多く、一概に知名度だけでその品質を推し量れないのがおもしろいマーケットと言えます。常に意欲的な新しい商品が出続けるマーケットなだけにメーカー間の競争もおのずから激しくなっています。世界中の音響機器メーカーの商品が手に入るため、グローバルかつ、常に変化するトレンドやテクノロジーへの対応が求められる厳しい世界とも言えます。
今回は、こうした中小メーカーが高級ヘッドホン/イヤホンをインターネットを通じて拡販したいときにどういったことに気をつけるべきか、また、ネットショップ・ECサイトはどうあるべきかについて考えてみたいと思います。早速いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 多言語対応は必須
今現在、日本向けにしか販売していないとしても、ネットショップを構築する上で多言語対応は視野に入れてください。月額利用のサービスでも多言語設定が可能なところはありますし、独自に構築するのであれば多言語対応を機能としてあらかじめ組み込んでください。メーカー公式ショップであればなおさら、海外からの注文も当然のように舞い込む可能性があります。
英語だけで十分なように思えますが、市場性を考えると、中国語にも対応してください。もちろん、対応できるだけたくさんの言語に対応するにこしたことはありませんが、このあたりは問い合わせがきたときに対応できる言語にとどめるのが賢明です。海外の比率が大きくなってきた際には、多言語での対応自体をアウトソースしてしまうのも良いでしょう。自社ECでの対応がどうしても難しい場合には、販路自体をわけて、各国向けの別ECや、別会社との協業も視野にいれて検討するのも良いでしょう。
本気で多言語対応に取り組むのであれば同梱されている説明書やパッケージも見直すべきです。同梱印刷物は多言語で、パッケージは共通というのが一番安上がりですが、国民性にあわせてパッケージから変えてしまうのも効果があります。特に高級感を訴求する場合は、どういったパッケージに高級感を感じるかは国民性がでますので、ある程度の販売ボリュームが見込める国に対してはパッケージを変えることも検討してみてください。
Point.2 発送手段は選択可能に
多言語対応もそうですが、海外発送を考えるときに考慮しないといけないのが発送手段です。国内であればヤマト運輸や佐川急便、日本郵便のような運送会社から一つ掲載しておくだけで問題ありませんが、海外の場合はそうはいきません。海外住所の場合は国毎に選択できる発送手段を用意しておき、EMSやFedexといった国際発送手段を利用者が選択できるようにしましょう。
また、発送手段によって到着までの目安日数が違いますので、発送手段・送料ごとに利用者が選べるようにすることで利便性が向上します。多少高くてもいいから早く欲しいという利用者から、多少時間はかかってもいいから送料を抑えたいという利用者にまでうまく対応することができます。国によって配送会社の得意不得意もあるため、配送会社の選定は想定される客層にあわせて検討してみてください。
発送まわりのサービスも日々進化しているため、海外への発送についてはこうした発送サービスを活用するのも良いでしょう。データとして連携することができるようになっていれば、そのあたりの展開は柔軟に行えます。
Point.3 国外メインなら国外メインのサービス選定を
いざネットショップをはじめるときには、いくつもサービスがあってとまどうことと思います。国内だけでもショッピングカートサービスはたくさんありますし、独自構築もいれるとその選択肢は膨大です。もし国外での販売をメインで考えているのであれば、ショッピングカートサービスや、サーバー選定もそれにあわせるべきです。海外のサービスを利用するほうが国際展開が容易だったり、ターゲットとする国の利用者にとって便利な機能が多数あったりする場合があります。
最近であればShopifyが安定的な強さを見せているため、利用を検討するのも良いでしょう。もともとが海外発のサービスであり、インターナショナルに販売しているサイトでも利用実績も多いため、通常の利用方法ではまず困ることはないと言えます。周辺のサービスも非常に発展しており、思いつく機能はおおよそ提供されています。追加費用や月額費用がかかることも多くありますが、費用対効果が高いものも多いので検討の価値はあります。
耳は万国共通
オーディオ市場の良いところは、世界で勝負しやすいということがあげられると思います。世界中どこでも人間には耳がありますし、良い音を聴きたいというのは万国共通のニーズでもあります。こうした環境を活かしてマーケットを拡大していけるかは、まさにネットショップの構築方法とその販促方法にかかっていると言えます。
大切なのは目的にあわせて最適な意志決定を行っていくことです。現在の会社のやり方や組織にも変化が求められる場合もあると思いますが、それが必然であれば会社や商品を進化させていくべきです。ますます国境がなくなる時代に、ピリリと辛い、オーディオメーカーで有り続けてください。