記録、蓄積する時代

データベースを利用したサービスが一般的になり、ますます多くの記録系サービスが登場しています。中にはそんなものまで!?というものもありますが、体重というのはその中でも市民権を得ているサービスだと思います。記録することでダイエットへの意識が高まったり、健康状態が管理できたりすることもあって、体重計メーカーならずともサービスを提供するところが増えてきているように感じます。レコードダイエットという方法論もあるほど、記録することの重要性は広く認識されつつあります。

こうしたデータ蓄積サービスはただ蓄積できれば良いというものではもちろんありません。データの見せ方やサービスとしての使い心地含めたトータルでの価値がサービスの評価に直結します。継続が必要なものなだけに、いかにユーザーを動機づけするかも重要でしょう。

今回は、こうしたダイエットログ、体重管理・記録サービスのシステム構築について考えてみたいと思います。早速重要なポイントを整理してみましょう。

Point.1 アプリ連携・機器連携

体重記録のサービスは、ユーザーが手動で入力するか、体重計のような機器が自動で通信しデータを蓄積していくかの大きく二通りの方法があると思います。前者であればスマートフォンアプリが必須でしょうし、後者であればスマートフォンの通信機能にのっかるか、独自にWifi等を搭載してデータ通信をしていると思います。

毎日のデータ蓄積のためにはデータの登録が何より楽ではなくてはいけません。スマートフォンのアプリであれば、1分もかからず登録できるようにするのはもちろん、登録の際の心地よさも追求すると良いでしょう。思わず毎日開きたく触り心地の良さが求められます。快適に使える「当たり前の心地よさ」を徹底的に追求してください。

Point.2 人工知能で健康アドバイス

何の目的もなく体重を記録する人はいないと思います。ダイエットや体質改善など、何かしらの目的をもって記録しているのがほとんどではないでしょうか。こうした目的にあわせて、サービスとして的確なアドバイスができるように、システムにアドバイス機能を統合しましょう。

具体的には統計データやサービスとしての基本的な切り口をもとに、相手の体重や増減傾向を基にアドバイスを表示するようにしましょう。一定期間で増加率がある水準を超えたらリマインドする、といったようなイメージです。他にも色々な軸で、その変化を通知することができるでしょう。

こうしたアドバイスが的外れにならないように、年齢や身長といったプロフィール情報の登録を促すことも重要です。また、「体重が減っている」ということの評価は目的によって変化しますので、利用者の目的をシステムに登録してもらうことも重要です。あくまで「何のために」が明確になってこそのアドバイスです。自然なかたちで利用者の「事情」を把握できるようにシステムを設計しましょう。

Point.3 リマインドと報酬設計

毎日記録するのは骨の折れる作業です。ですが、毎日口酸っぱく催促してくる母親のような存在がいれば、少しは継続率も改善するのではないでしょうか。こうした母親的な役割をシステムが担えるように構築しましょう。入力がない場合はプッシュ通知やメール通知で利用者にそのことを知らせるのはもちろん、毎日決まった時間に入力を促すアラーム機能があっても良いでしょう。

体重計にのってさえいれば体重はわかっているはずなので、記録忘れのリマインドから簡単に登録できるようにしておけば、記録漏れを少しでも減らすことができます。データの蓄積が肝だけに、確実にデータを登録してもらうためにあれこれと工夫を重ねてください。もちろん、リマインドに対して登録があったときには母親のように大袈裟にほめる、祝うなどのリアクションがあるのが良いでしょう。

目的の先にあるマーケット

体重記録サービスはそれ自体では利用料をとることは難しいと思います。あくまで、ダイエットや健康管理といった目的に対してサービスを進化させ、マネタイズを考えていく必要があるでしょう。そのためにも利用者増は必須であり、使い心地や拡散性など、システム以外の面でも細部を作り込むことが重要です。

健康情報はどこの企業も欲しがり、奪い合っている情報です。体重という切り口でこういった宝の山を確保し、その先にある大きなマーケットに乗り出していってください。

開発スタッフのコメント
IoT機器の増加により、ますます多くの機器がインターネットに接続し、データを直接やり取りするようになってきました。データを蓄積することで多様なサービスが展開できるため、今後も意欲的なサービスはどんどんと登場することが予想されます。ハードウェアを作ることができなくても、スマートウォッチなど、スマートフォン以上に常にユーザーのそばにあるものも増えてきています。工夫次第でデータ蓄積はまだまだ可能と言えるでしょう。