多種多様な激戦区
転職というものが一般的になり、ますます多くの人が人材紹介、派遣といったかたちで希望の条件と合う企業とマッチングされています。人材を何とか確保したい企業側と、膨大な候補の中から条件にあう企業を紹介して欲しい求人側の間に立つマッチングサービスは、サービス規模の大小はあれど、数え切れないほどに増えてきています。
まさに激戦区とも呼べる市場ですが、業種に絞ったマッチングサービスが増えるなど、まだまだ進化は止まりません。月額利用の専用システムも登場していますが、ますます差異化が難しくなってきています。自社サイトとそうしたマッチングサイトを併用しているところも多いのではないでしょうか。大手サイトはオンラインオフライン問わず、積極的な広告投資で利用客をかき集めるため、なかなか正攻法では対抗しにくいのも事実です。
今回は、こうした人材紹介や人材派遣業のための求人マッチングシステムについて考えてみたいと思います。どのようなポイントに注意して構築すれば、競争優位を築くことができるのか、整理してみましょう。
Point.1 求人の手動/自動配信
人材紹介サイトの基本的な構成は、求人を探している求職者に登録してもらい、それに対して電話やメール等で求人の紹介を行っていくスタイルが一般的と思います。こうしたフローが分断していては業務効率は落ちますし、ミスも増えてしまうので統合管理できるようにしましょう。
具体的には登録してもらった情報が管理画面から参照でき、そこに対して現在の求人内容から好きなものをピックアップして送信できるようにします。人力でやることが面倒であれば、ある程度の判定ロジックで自動で求人情報を送信することも可能です。地域や好み等、登録時に取得する情報で精度高く求人を提案することは可能です。自社のスタッフ状況を考えて、人力と自動の適正なバランスを模索してみてください。昨今はマシンラーニング等を通じて、AIによる判定も精度を増してきました。今までに蓄積したデータがあるのであれば、そうしたAIでの提案機能の開発も検討の余地があります。
完全に自動化してしまうのも良いでしょうし、初期抽出だけシステムが自動的に行い、最後の抽出はスタッフの経験と勘に委ねるというバランスも良いでしょう。時間がかかる部分だけ任せるというのも立派なシステム活用法のひとつです。
Point.2 面談や就職結果も統合管理
マッチングサービスによっては、面談を行ったり、研修を行ったりすることもあると思います。そうした履歴や実際の就職の結果等も同じ求職者カルテ上に蓄積していけるようにしましょう。いわばその人のトラックレコードがどんどんと同じ場所に蓄積されていくイメージです。情報が多く、そして多層的になればなるほど、その人となりがわかりやすくなるため、提案やマッチングの質も高まるはずです。
あとあとの集計がやりやすいのはもちろん、何か問い合わせやクレーム、その後のサポートで該当の求職者の情報を探さないといけない時に見つけやすいだけでなく、ミスのない完璧な応対が可能になります。情報の一元管理はプライバシー保護上も管理しやすくなるため、プライバシーマークを取得している企業にもお勧めです。
Point.3 アフターサポートも省力化
人材紹介サービスの競争が激化する中で、サービスの劣化も指摘されてきています。紹介したら紹介しっぱなしで後のフォローが無いというのはよく言われる話ですが、かといって限られた運営スタッフの人員を考えると、しっかりフォローできないのも事実です。
そこで、アフターサポート・フォローはシステムに大きく委ねてしまいましょう。就職後に困ったことはないか等の定点観測的なメール送信はもちろん、転職満足度のような調査を配信するのも良いでしょう。問い合わせ内容も同じシステム上で管理、返信できるようにしておけば、一人の顧客と長く長く付き合っていくことができます。
ある程度の広い範囲でのコミュニケーションは自動化しつつ、段階を経て人によるフォローが必要と思われるものは人が介入してフォローするという仕組みが構築できれば、少ない人数で多くの利用者を適切にフォローする体制ができあがります。完全にシステムにまかせっきりだと無味乾燥とした対応と思われるかもしれませんが、程よいミックスで、そう感じさせない体制作りは可能です。
人力とシステムのベストバランスを
人材紹介や派遣業は、人を商材にするビジネスです。そのサポートやマッチングもついつい人力でこなしがちですが、本来人がサポートすべき業務に集中するためにも、可能な限りシステムに委ねられる部分は委ねるべきです。
人が欲しい企業と、職が欲しい求職者のミスマッチは決して無くなることはありません。だからこそ激化し続ける競争で負けないように、システムを活用できるところは活用してみてください。