グローバル物流の時代

今この瞬間も、陸海空でたくさんの荷物が移動しています。今では当日に届くことも珍しくなくなった通販を筆頭に、海外のものも今まで以上に当たり前のように手軽に手に入るようになってきました。そのグローバル単位での物流を支えているのが、輸出入や貿易、通関業務を担う企業だと思います。

荷物の遅れはそのままビジネスの遅れ、クレームに直結するため、確実かつスピーディーに荷物を移動させる必要があります。ミスが無くて当たり前の環境下で、数え切れないほどの荷物を管理するのは一朝一夕ではできません。荷物の紛失も当然防がなければいけません。確実に届くことにくわえて、スピーディーさが求められています。

今回は、そういった国際的に荷物を動かす業種向けの、荷物管理システムについて考えてみたいと思います。どういったポイントに気をつけて構築すべきか整理してみましょう。

Point.1 各キャリアの運送状況を自動取得

輸出入業務であれば、完全自社のチャーター便を手配する場合もあると思いますが、細かい荷物が多い場合や、物量がそこまで多くない場合などは大手キャリアに委ねることも多いと思います。そういった場合は運送状況は各キャリアを通じてしか知ることができなくなり、荷物の状況が見えにくくなるという問題があります。

都度、人が問い合わせ画面を開くのも良いですが、それでは数が増えたときにその作業をこなすだけで1日が終わってしまいます。物流の一部を託せるようなキャリアの数は限られると思いますので、各キャリアの問い合わせ画面から荷物の状況を自動で取得する機能をシステムに実装し、自社管理ではないキャリア委託の物流の運送状況もリアルタイムで把握できるようにしましょう。

荷物に想定外の遅れが発生している場合にはアラートメールが飛ぶようにしておけば、遅れている原因を各キャリアに迅速に問い合わせることができ、後手に回らない対応が可能になります。こうした問い合わせも自動化できるところは自動化してしまうと、さらに担当者の負担が減らすことができるでしょう。定型的な問い合わせをスタッフが送信しているのであれば、運送会社へのそういった連絡も、自動化できる部分は自動化するのも良いと思います。

Point.2 通関関連数字のデータを蓄積

通関処理自体、たくさんの書類を準備したり支払いを伴ったりと事務作業が多くなりがちです。定型的な書類発行機能などはシステムに組み込んでしまい、各種申請や、荷物の出発地で生成する書類なども1クリックで印刷できるようにしましょう。

また、実際にかかった通関料や消費税などもシステムに蓄積できるようにしておき、毎年の決算時のデータや、税関とのやりとりの際の証拠データとして活用できるようにしておくと、ビジネス全体での業務量削減につながります。印刷保管をするのであれば、PDFで一括出力する機能をつけるのも良いでしょう。電子データでの保管で問題なければ、そのままそのPDFデータを安全な場所に保存するようにすると良いでしょう。

荷物数が多いと、それだけ通関業務も多くなり、保管するデータも多くなりがちです。拡張可能なストレージサービスを利用するか、十分に容量の大きいストレージをあらかじめ準備しておくと良いでしょう。

Point.3 顧客向け画面を準備

自社便以外に、顧客の荷物を代行して移動させている場合、今の荷物の状況を聞かれることが多々あると思います。そうした場合に荷物ごとに各キャリアの問い合わせ画面を伝えるのも一つですが、自社顧客向けの荷物問い合わせ画面を作り、電話やメールでの問い合わせに対応する手間を削減しましょう。

顧客としてもどこのキャリアを使っていようが、一つの画面で照会できるので便利です。1回のバッチごとに追跡番号を発行し、その番号を出荷時に顧客に自動通知するようにしても良いでしょう。また、顧客からの問い合わせを待たずに、1日に1回最新の状況をメールで通知するのも良いでしょう。毎日の通知が多すぎるようであれば、荷物が国内に到着した際や税関を通過した際など、肝となるイベントの発生時にのみ通知するのもお勧めです。このあたりは顧客側で設定で好きなように調整できるようにしておくと、柔軟性が高まるのでおすすめです。問い合わせを減らせる効果もありますし、利用者もすぐに結果がわかるので利便性が向上します。

価格訴求に安心をプラス

物流サービスは、とかく価格で比較されることが多い業界です。とはいえ、荷物が確実に届き、実際のビジネスの計画とスムーズに連携するという当たり前のように見えてなかなか難しいことを実現できているサービスは少ないのではないでしょうか。

今までの価格訴求一辺倒を脱し、周辺機能の利便性を訴求することで、既存顧客はもちろん、潜在顧客にも安心という価値を訴求できると思います。同時に、事務作業をシステムが低減することで、価格競争力の向上も期待できます。価格もお得で安心感もある。なかなか差異化の難しい業界で、システムをてこにした差異化に是非取り組んでみてください。

開発スタッフのコメント
円高の時代はなおさら、そして、為替上の差がある場合には輸入業は活況を呈します。海外の商品を日本から買う機会も増え続けているため、中国やアメリカからたくさんの荷物を動かしている個人や法人が多くなってきました。そうした輸入に関する業務はまだまだ面倒なことも多いため、事務効率を高めるシステムが効果を持つ領域と言えるでしょう。自社の業務フローにあわせて最適なものを構築すれば、今以上の物量に対しても効率的に取り組める土台を築けると思います。