新しい切り口の創造を繰り返す市場
コンタクトレンズの登場以後、メガネ業界は廃れていくと考える人が非常にたくさんいました。しかし、現実には新しい切り口が次々と創造され、街を歩けばメガネ屋さんを多く見かけるという状態になっています。
もちろん、業界構造は大きく変化しました。昔ながらの街のメガネ屋さんは次々と廃業に追い込まれ、街に溢れるのは安さを売りにしたチェーン店ばかりです。これ自体は競争の必然と思いますがチェーン店が次々に魅力的な商品を開発し販売していることが大きく貢献していることは言うまでもないと思います。今度はその低価格メガネ店同士での競争も激化しており、各社、なんとかして新しい基軸を打ち出そうと躍起になっています。
ブルーライトをカットするメガネや、つけ心地をひたすら追求した軽いメガネなど、値段を考えると高い品質を誇るものが次々に登場しています。商品開発にかける意欲はどの企業も旺盛で、今後もこの傾向は続いていくものと予想されます。
今回のテーマは、メガネ屋、アイウェアショップのホームページ制作及びその管理システムについてです。大手チェーンが大きな存在感を示す中で、小規模なメガネ屋がどのようにして生き残っていくべきなのか、ホームページという切り口からいくつかのポイントで整理してみたいと思います。
Point.1 スタッフを前面に押し出し、親しみやすさをアピール
大手チェーンと競争していくためには、大手チェーンができないこと、もしくは自分達のほうが得意なことをサービスのみならずホームページ上でもしっかりと表現していく必要があります。この小規模ならではの戦い方の一つに、「人感」を最大限に活用するのをお勧めします。
大手チェーンでもスタッフ紹介のページがあることはありますが、それとは比較にならないレベルでスタッフを紹介してください。その人の人となりがわかるぐらいに説明をしっかりと記述します。メガネは接客の時間が比較的長めに発生する業態のため、人間関係を築くことができればその後のリピートにもつながります。
スタッフのプロフィールやバックグラウンドを掲載するのに加えて、技術的なアピールも忘れないようにしてください。大手チェーン、とりわけ低価格系は技術力アピールで弱いことが多いので、こうした対応力アピールにつながる情報発信は積極的に行うべきです。
さらに遊び心をもって人感を突き詰めるなら、来店予約を行う際に担当者を指名できるようにするのも有効です。指名の集まり方でどういった説明文・写真が好まれるのかがわかりますので、今後のスタッフ紹介の見せ方や、さらにはお客様受けする人材の採用に役立つ情報を収集することができます。
Point.2 お客様の購入履歴や修理履歴は一生保存
メガネ屋さんであれば、何かしらの顧客カルテを作成しているところが多いと思います。どういった商品を買ったか、どういった修理をしたかの記録簿として使っていると思いますが、こうした履歴を一生残せるようにシステムを準備しましょう。そしてこうしたカルテをすぐに呼び出せるようにしておき、必要に応じて顧客にも見せる等して、納得感のある接客につなげていきましょう。
家族構成の変化や病気、その他接客の会話の中で拾い上げた情報も逐一カルテに追加保存していくようにします。そのカルテを見れば、今までのそのお客様とのやり取りのすべてがすぐに呼び出せるようにしておき、対応するスタッフが誰でも同じ対応ができるようにしておきます。
自分のことをわかってくれているというのはとても嬉しいものです。面倒なのでまたあそこでお願いしよう、と思ってもらえることも多いでしょう。地域に根ざして永くお客様と付き合うからこそできる一生涯の付き合いを、カルテ管理から実現してみてください。
Point.3 商品をタグ付けし、お勧めメールを自動生成
メガネというのはファッションアイテムとして捉えるといくつあっても困りません。売上向上という意味では、同じお客様にたくさん買ってもらうことも一つの方向性なので、お客様が好みそうなものを提案できるかどうかが重要になってきます。
取り扱う商品は全て雰囲気や色、ブランドなどでタグ付けをし、過去の購買履歴からその商品を好みそうなお客様のリストを抽出できるようにしましょう。このリストを基に、新商品発表会に招待するDMを作成するも良し、メールアドレスの登録があるのであればメールマガジンを送信するのも良し、使い方は自由自在です。
興味の無い情報しか載っていないDMはゴミですが、興味のある情報で溢れるDMはお客様にとっても有益です。DMやメールに代表されるお客様とのコミュニケーションの精度を高めることで、来店率を高めてください。もちろん、DMのような旧来型のメディアではなく、X(旧Twitter)やInstagramなど、ソーシャルメディアも積極的に活用していってください。自店のこだわりを世界に向けて発信することで、お店の認知度向上や、来店を促す効果が期待できます。
ずっと同じ商品を何回も送るのは情報のニュース性がないため、新ブランドの開拓や、新商品の発掘と並行して行うのをお勧めします。紹介したいと思えるような良い商品を増やしていくというのが大前提と言えるかもしれません。
商品と密着と高次元で
安かろう悪かろうだった格安系チェーン店は、その商品開発力と広告宣伝によって、イメージの向上に成功しています。この先は商品力と密着力の両輪で戦っていかなければ厳しい状況が続くと思われます。
ただ、何も新しいことをはじめろという話ではありません。今までやってきたことの精度と効率を追求するという話です。仕組みと仕掛け、その両方をしっかりと考え実行していくことで、生き残るための方向性は必ず見えてくると思います。