冬の贅沢、温泉旅行

日本人ほど温泉が好きな民族はいないと言われます。世界中、温泉に入る習慣のある民族はいくつかありますが、これほど安定して温泉旅行に行き、市場が形成されているのも珍しいように感じます。有名な温泉地だけでもたくさんあり、そのそれぞれにおみやげ品や宿泊施設を用意し、大きな観光地化しているところがほとんどです。

とはいえ、温泉業界の競争は激化しています。知名度の高い温泉地域であればその地域内での競争が、また、知名度がそれほど高くない地域は、そもそもいかにして地域に呼び込むかに腐心しているのではないでしょうか。年代的な問題もあります。メインだった客層の高齢化が確実に進み、ジリ貧になっているという温泉旅館も多いのではないでしょうか。

今回のテーマは温泉旅館のホームページ制作及び予約管理システムについてです。どのようなホームページにすればお客様を引きつけ、ファンになってもらえるのか。いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 写真、写真、写真

温泉旅館のホームページの場合、何を伝えるかもとても重要ですが、写真はそれ以上に重要です。合成や加工をしてまで背伸びをする必要はありませんが、旅館の魅力が最大限に伝わるように写真にはこだわってください。そして、写真映えしないのであれば、その部分を創意工夫で改善して、写真映えするようにしてください。

温泉旅館選びにおいて、ホームページから伝わる雰囲気はとても重要です。少々の価格差であれば、旅館の雰囲気勝負でいくらでも覆せます。既にプロのカメラマンに依頼している場合はそのクオリティが果たしてお客様に支持されているのか再確認してみてください。プロに頼んでいない場合は、プロの品質を試す手配をしてみてください。

写真が変わることは集客上の効果以外にもスタッフの士気を高める場合もあります。自分達が誇りに思える旅館であるという印象作りにも、最終成果物の写真の品質はもちろん、写真映えする旅館をしっかりと作っていくというプロセス自体も効果を持ちます。改めて写真の品質について検討してみてください。良いものをしっかり伝えるのはとても大切なことです。

写真に加えて動画も検討する価値があります。温泉や料理、旅館の雰囲気や庭園の美しさ、周辺の季節の移り変わりなど、動画だとより緻密に描き出せるものがあるかもしれません。自社サイトやYoutubeチャンネル、ブログへの掲載など、多様な展開があり得ます。

Point.2 予約システムは予算にあわせて柔軟に

温泉旅館の場合、予約システムをホームページ上に設置すると思います。日にちを指定してプランを選択して予約するというシンプルな構成ですが、どのように構築するかは予算にあわせて柔軟にすべきです。

予算が潤沢で、オリジナルの機能や、既に旅館管理に利用しているシステムとの連携を考えるのであれば独自システムを構築すべきでしょうし、予算が限られているのだれば月額で利用できるサービスを利用することでコストを抑えるべきです。予約サイトが提供している仕組みにのっかるのも一つでしょうし、予約システムサービスを利用するのも良いでしょう。予約システムサービスの課金方法や機能も様々なので、ずっと使っているものがあったとしても、改めて移行を検討するのも良いと思います。

身分不相応の投資をする必要はありませんが、安物買いの銭失いにならないように、自分達の要件を満たすものをきちんと選ぶようにしてください。一度選択してしまうと、導入にも移行にもものすごい手間と時間がかかります。長期間使うという前提でしっかりと見極めてください。

Point.3 人の手とシステムの連動を

温泉旅館ともなれば、お客様に対して季節の頼りを発送することも多いと思います。重要な販売促進ツールですが、同時にとても手間のかかる作業でもあります。

顧客情報の管理はシステムに任せ、季節の頼りの発送対象者の抽出をいくつかの条件で簡単に行えるようにしておきます。ラベル、もしくは宛名印刷用のデータを出力するようにしておき、宛名印刷ソフトで一括で印刷できるようにしましょう。

後は手書きによるメッセージを添えれば立派な販売促進ツールの出来上がりです。こまめなお便りと単に宿泊を勧めるだけではない余暇の過ごし方の提案を添えることでリピート率も上向いていくはずです。ただ、昔からやっているから、という理由で、惰性で続けるのはおすすめしません。ダイレクトメールはその送る対象や送る内容で効果が変わってきます。送る対象はきちっと理由をもって選別できているか、送る内容は送る相手にあわせて提案内容を変えているかなど、効果をより高めるためにできることは他にないかを常に意識してください。

はがきで送っていたものを封書の形式で送ってみたり、写真を同封したり、クーポンを同封したりと、細かいトライ&エラーはいくらでもできますので、前提に捉われずに挑戦してみることをおすすめします。

老舗だからこそ最新鋭の投資を

温泉旅館はどうしてもシステムへの投資という意味では新興のホテルやリゾート施設に遅れがちです。ですが、サービスや品質で差異化を行う老舗旅館こそ、システムに投資を行い、人の手以外の部分を最新鋭にしていくべきだと思います。

システムに託すのは誰がやっても同じ作業の部分です。そういった部分に貴重な人材をあてているようでは、満足のいく接客もアフターフォローもできないのではないでしょうか。ITで武装した温泉旅館こそ、21世紀の中心に来るべき存在だと思います。

開発スタッフのコメント
日本の景気が良かった頃には待っていても客が殺到したのかもしれませんが、そういった華やかな時代は過ぎ去りました。外国人観光客への対応や若年層、ファミリー層の取り込みなど、複合的に取り組む必要がある温泉地がほとんどではないでしょうか。日本、そして世界に対する魅力的なプレゼンテーションが求められる時代になってきていますので、それにあわせて、ホームページも、予約対応も進化させていってください。