激化する競争環境

昔はどこの街にも存在した酒屋という業態ですが、街中からどんどんと消えています。コンビニエンスストアに業態転向するお店もあれば、原型をとどめないかたちで他の店になってしまっている場合もあり、いかに酒屋を取り巻く環境が厳しくなっているかを物語っているように思います。かつては酒屋だった場所も、コンビニになり、そしてまたそれも無くなっているという場所が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

その一方で生き残っている酒屋も存在し、守りに転じず攻め続けているパワフルなお店もあります。こうした生き残り組はどのお店も明確な強みを打ち出し、その強みを活かしてスーパーやドラッグストア、さらにはインターネット専業のお店や大手資本などと懸命に戦っています。お酒がこの世から無くならない限りそこには確実に需要があるので、どう動くかが問われていると言えるかもしれません。

今回のテーマは、こうした酒屋/酒販店のホームページ制作及び通販サイトの構築についてです。どういった機能や仕組みを考案すれば自店の強みをさらに強化することができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 近隣特急配送に対応

酒屋であれば、近隣地域へのスピーディーな配送を売りにしているところも多いと思います。当日配送はもちろん、タイミングによってはものの1時間ほどでお届けすることも珍しくないのではないでしょうか。こうした強みは通販サイト構築時にも活かすべきです。

通販サイトの注文時に特急配送を選択できるようにします。もちろん、遠方からの注文には特急配送は非現実的ですので、近隣住所からの注文のみ特急配送を選択できるようにします。また、注文する時間帯に応じて指定できる配送時間帯が変化するようにすることで、約束した時間から大幅に遅れるリスクを低減します。

特急配送実現のためにはスピードが命です。荷物の積み込みや配送を行う現場スタッフが何度も細かくパソコンで受注を確認しているわけにはいきません。倉庫スペースでリアルタイムに注文状況が把握できるように、倉庫に大きなディスプレイを設置して何をいくつ積み込めば良いかを表示するか、各スタッフの身近なところにタブレット端末を置いて指示状況が明確になるようにすることでスピードアップを図りましょう。

ペーパレス化を推し進めるのであれば配送員にもタブレットやスマートフォンをもたせるのも良いでしょう。伝票文化が根付よい業界でもあるため一気に変更するのは無理かもしれませんが、その可能性を探る価値はあります。また、配送が早いからこその、鮮度前提の商品やサービスを強化していくのも良いでしょう。最近は鮮度アピールの飲料も増えてきており、マーケットとしては挑戦の価値がありそうです。

Point.2 常連さんへのおまけもシステム管理

地域密着の酒屋の場合、いかに常連さんを確保して離さないかが重要です。とはいえ、複数人のスタッフで運用していると、担当が変わった際や出勤日以外に人が変わったときなどに均質なサービスがとれなくなる場合があります。こうした配送担当が変動しても一定以上のサービスを計画的に実行できるように、常連さんへのおまけもシステムがある程度指示するようにしましょう。

一定金額以上の買い物についておまけをつけるのは比較的シンプルに算出できるのでまずはお勧めです。他にもキャンペーン商品が買った物に含まれている場合や、常連さんの何かの記念日などの場合に自動的に指示書に表示がでるようにしておきます。配送商品の準備の段階でこうしたおまけを的確に準備しておくことで、担当者の変動に関わらず常連さんのケアが一定レベル以上で可能になります。きちんとケアされているという感覚が、常連さんを常連さんであり続けさせる秘訣でもあります。

もちろん、担当者が常連さんと円滑なコミュニケーションをとれていることも重要になりますので、こうしたシステム管理のおまけに加えて、社員教育は徹底して顧客満足度を高めてください。たかがコミュニケーションですが、ときに取引を左右するものでもあります。コミュニケーション強化が会社的にも評価されるような風土づくりに努めてみてください。

Point.3 受注販売にもシステム対応

掘り出し物を発見した場合や、お客様から要望があった場合など、珍しいお酒を新規に取り扱うことがあると思います。こうした時に予約注文/受注販売のようなかたちで該当商品の注文を受け付けられるようにしましょう。

普段の御用聞きの時に注文を取ることも可能ですが、その商品目当てで久しぶりに買おうかなというお客様がいる場合があります。X(旧Twitter)やFacebook、メールマガジンやブログなど、自社の発信ツールを用いて情報を公開し、集まった注文数に応じて発注を行うことで在庫リスクを大きく低減しましょう。すぐに売り切れるぐらいの数量だったとしても、それも含めてニュース性があるため、積極的に掲載してみてください。

珍しいものの引き合いが意外に強いことがあります。飲食店などであればもの珍しいメニュー提供につながるため、そういった通常販売以外の商品をうまく増やせる仕組みを整えると良いでしょう。

小回りとこだわりがキーワード

物流がどんどんと加速し、大手の通販サイトでは当日配送もそれほど珍しくなくなってきました。今後も物流の速度は加速することが予想され、商品の充実度も各社が競い合う状況には変わりありません。

地域密着の酒屋/酒販店の生き残る道は、顔の見えるお客様に徹底的に最適化し、小回りとこだわり、そして全てにおいてスピードがますます重要になってくるのだと思います。インターネットという武器をなんとなくではなく、自分達の強みを強化するという明確な目的をもって活用してみてください。

開発スタッフのコメント
大手がどんどんと利便性を高めてくるため、昔なじみというだけでは生き残れない時代になってきました。すでにスピード配送を実現していたとしても、それ以上の何かが同時に求められるようになってきているのかもしれません。人力でサービス価値を高めるのは限界があります。仕組みや情報発信、その総力戦をもって、ここから買いたい、と思ってもらえるようなお店づくりに継続的に取り組んでいくべきです。