ペットが家族の時代
犬や猫に代表されるペットを家族の一員として大切にされている方も多いのではないでしょうか。同じ時間を過ごすかけがえのないパートナーとして、ペットの存在は日本人のライフスタイルの中に根付いていると言えると思います。老若男女問わず、様々な人がペットと共に人生を歩んでいます。
こうしたペットのための力強い存在が動物病院です。急な病気や定期的な健診、予防接種など、日常的にお世話になることが多い動物病院も、競争が激化しつつある市場です。一時期のペットブームが下火になるにつれ、減少していくペットを奪い合う構図ができつつあります。人気のある動物病院には患者が集中する一方で、そうではないところは微妙な集客という状況が現実に起こっています。こうした背景もあり、医療の質が高いのはもちろん、サービス全体として顧客満足度を勝ち取っていかないといけない時代がきているように思います。
今回のテーマは、こうした動物病院の顧客やペットの管理を行うシステムについてです。どういったポイントに気を付けて構築すればよいのか整理してみましょう。
Point.1 予約からカルテまでスムーズに管理
動物病院であれば、時間内に病院に来て診察を待つというスタイルのところも多いと思いますが、システム的には予約診療にも対応できるように構築することで、将来的なサービス拡張に備えましょう。
また、予約からカルテ管理まで、一人のお客様とそのペットに対して一元管理することで、診察受付から診察、さらにはその後の情報蓄積までスムーズに行えるようになります。もちろん、一人の飼い主に複数のペットを紐づけることができるようにし、多頭飼いのお客様の対応にミスが起きるのを未然に防止します。
診察券は紙のものにしてお客様を診察券IDで管理する方法もとれますし、バーコードを印字したカードを渡すことでバーコードリーダーによる読み取りにも対応可能です。このあたりは現場の運用やカード発行のコストを整理した上で最終判断されるのをお勧めします。どういう順番で診察が行われているかも院内モニタに表示することもできるため、あとどれぐらい待てばよいかの目安提示をすることも可能です。なかなか落ち着いて待つことのできないペットの場合には、こうした目安表示だけでも、来院者のストレスを低減するには役立つでしょう。
Point.2 通院客限定で質問回答サービスを提供
動物病院に行くほどではないけど、詳しい人に相談したいというニーズがあります。ペットがいつもと違う様子だったり、食欲がない様子だったりと、日常の中に不安の種は結構あるものです。
こうした飼い主さんの不安を払拭するために、既に通院経験のあるお客様限定でオンラインで質問回答サービスを提供しましょう。ログインIDとパスワードを発行し専用のQ&Aページにアクセスしてもらうことで、質問を書き込み、医師からの返答を待つことができます。
もちろん、通常業務と並行してこういった回答作業を行う以上、ある程度の枠設定は必要になります。質問数がたまってきた段階で本日分の回答を締めきるか、予想回答日を遅らせるか等して、質問が増えすぎてパンクしてしまうのを防ぎます。また、特に指定がなければ獣医師以外のスタッフが回答できるようにもしておき、専門的なもの以外の質問については獣医師への負担が集中しないように配慮するのも良いでしょう。
大前提として病院に来てもらうことが最善、という理解の上で比較的軽めな症状の不安解消のために、こういったサービスの導入も検討してみてください。同じシステム上で機能を実装するからこそ、どういった質問をしたかも全てカルテと紐尽くかたちで管理することができます。獣医師以外にも、ペット関連資格の有資格者がいる場合には、そうしたスタッフへの質問へも誘導することで、ペットライフ全体のQOLの引き上げにつながる場合もあります。
お客様と付き合い続ける病院へ
ペットの命はそれほど長くありません。ですが、その短い命の間にも動物病院を転々とする人が少なくありません。何かしらの要因で顧客満足度が低い病院が多いのも事実のようです。
しっかりとした診療を行うこと。そして様々なやり取りも含めて正確に情報を蓄積していくこと。この二つが積み重なることでさらに良い診療につながる好循環が生まれるのだと思います。医師にとってもお客様にとっても使い勝手の良い統合管理システムの開発を是非検討してみてください。