施設の重要なガイド役
大規模なショッピングモールや商業施設の開業が後を絶ちません。郊外では競い合うようにショッピングモールがオープンし、週末ともなると大勢の家族連れで賑わっています。都心部も再開発の目玉として商業施設がオープンすることも多く、どちらも床面積が広くテナントも多いため、初めて訪れる人にとっては決して優しくない場所になっています。
こうした事態を解消するのが案内センターのスタッフですが、施設内に何カ所も案内センターを設置するわけにはいきません。大きい施設でも1箇所というところが普通ではないでしょうか。代わりに設置されるのが案内板です。写真と地図だけのシンプルなものから映像端末を用いたダイナミックなものまで様々です。案内板がきちんと機能すれば、案内センターのスタッフを最小限におさえ、人件費の削減はもちろん、空いたスペースを商業スペースに転換することも可能になってきます。
今回のテーマは、こうした大規模な商業施設で役に立つ、情報案内版のシステムについてです。タッチパネル対応のディスプレイを設置し、案内版機能をどのような点に注意して構築すれば良いのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。
Point.1 情報更新はパソコン経由で簡単に
お店の情報やキャンペーン情報など、電子案内版に掲載する情報は頻繁に更新が必要です。情報の更新の度にシステム会社に依頼する必要があるとしたら、コストと時間の大きな無駄です。運営会社のスタッフがパソコンから簡単に更新できるように専用の管理画面を設けておきましょう。
各店舗からのお知らせのように、定型フォーマット化できる部分はテナント自身に編集機能を開放することも可能です。ショップ情報といった基本的な情報はめったに変わりませんが、毎日のちょっとした情報を電子掲示板で配信する場合、運営側の負担を考えてテナント側に機能を解放することも検討してみてください。
大きなサイズのモニタのコストも下がっているため、一画面で表現できる情報を増やすことが容易になっています。また、HTMLの表示に対応したデジタルサイネージ向けのモニタも増えてきています。ただの地図表示にとどまらない表現を追求してみてください。
Point.2 災害時に誘導モードへ変更可能
電子案内版の良いところは、表示内容をすぐに切り替えられることです。通常時でも大きなメリットですが、災害時にもとても有効です。大きく、どこへ行けばよいかを明確に提示できれば、スムーズな避難へ良い効果をもたらすことが期待できます。
避難路誘導や警告表示などを行う災害時モードをあらかじめ設定しておき、実際に災害があった際には簡単な操作でそのモードに切り替えられるようにしておきます。地震や火災、テロなど、想定される事態ごとに表示内容を作っておき、選択操作を行うだけでスムーズに切り替えができるようにしておきましょう。避難訓練などにはその操作を組み込んでおけば、有事の際の対応がよりミスなく行えるでしょう。
Point.3 広告スペースを設け、別管理で動作
人の目を引く電子案内版は、テナントはもちろん、その商業施設に来訪している人達に興味のある企業にとっても有力な広告媒体です。こういった広告需要を取り込まないのはもったいなさ過ぎます。人が集まる場所は広告需要が高く、ショッピングモールでも例外ではありません。
画面内に広告欄のスペースを設け、一定時間で切り替わるようにシステムを構築しておきます。広告主からは画像と文字での入稿を受け付けるのを基本とすると共に、動画での広告も出稿できるようにしておきましょう。表示回数や表示時間に応じて広告プランを定義しておけば、それにあわせて案内版側で広告をさしこむ制御が可能です。
ジャック広告やテナントのタイムセール情報など、臨機応変かつスピーディーに展開できる広告メディアとして育成していくのをお勧めします。
商業施設の魅力を高める案内役に
案内版というのはとても地味な存在ですが、来訪者の目をひき、目的地へと導く重要な役割を担っています。人間のほうがきめ細かい対応ができるため重宝されがちですが、営業時間中もくもくと案内し続けてくれる電子案内版を魅力的なかたちで作ることができたなら、そのインパクトはかなりのものがあるように思います。来訪者の満足度を高め、商業施設の魅力をも高めてくれる案内システムを、是非検討してみてください。