タブレット端末を最強の営業ツールに
昔から営業マンと言えば、かばん一杯の資料というイメージがありましたが、少しずつ確実に時代は変わってきています。大量の資料はノートパソコンに置き換わり、そして今、タブレット端末にとって変わられようとしています。情報の更新の度に膨大なカタログを入れ替える必要もありませんし、動画や音声など、紙のカタログだけでは表現できない強みがあります。質感サンプルなどは必要でしょうが、単なる情報提示ツールとしてはデジタル化が進んでいるところのほうが多いのではないでしょうか。
軽さ、そしてその操作性から、複雑な処理を必要としない営業現場で重宝されているのがiPad等のタブレット端末です。単純に写真を見せるといったカタログ的な使い方から、ノートパソコンの代わりとして使う本格的な使い方まで、会社によって様々な取り組みが行われています。クラウドサービスを徹底活用することで、端末自体はなんでも良いという体制になっている会社も珍しくないと思います。
今回のテーマは、こうしたタブレット端末を活用した営業ツール/システムの構築についてです。どのようなポイントに気を付けて構築すれば現場の満足度も管理側の満足度も高めることができるのか、整理してみましょう。
Point.1 端末自体にデータを保存しない運用でセキュリティ担保
気軽に持ち運べるという性質上、どうしても紛失や盗難のリスクがつきまといます。世の中でもこれほど高く認知され、かつ人気の商品であることが多いタブレットであればそのリスクはさらに高まります。情報がまとまっているということは、それだけ紛失した際の漏洩リスクが高いことを意味します。各自が気をつける、という精神論以上の対策が必要でしょう。
こうしたリスクに対応するためにも、本体自体のパスワードロックはもちろんのこと、実際のデータを端末上に保存しない運用を目指しましょう。具体的にはカタログ画像などの資料は全てWEB上のシステム経由で表示するようにし、WEB上のシステムへアクセスできなければ何もできない状態にします。こうすることで万が一端末が第三者の手にわたった場合の被害を最小化することができます。
また、端末によっては遠隔からの操作ロックやデータ消去といった機能が利用できるものもありますので、そうした設定も漏れなく行いましょう。
Point.2 日報管理や営業進捗管理も搭載
高性能なタブレット端末をただの紙カタログの代替として使用するのはもったいなさ過ぎます。結局ノートパソコンも持ち歩くようであれば、荷物が増えるだけになってしまいます。営業スタッフの機動力を高めるため、また、高価なIT端末を何台も支給する必要をなくしてコストを抑えるためにも、統合すべきです。
WEB上のシステムに日報管理や営業進捗管理といった機能も実装することで、出先のタブレット端末から一通りの通常業務が行えるようにします。メールやインターネットとの親和性は元々高いため、そのあたりの機能面は標準のものを使うこともコスト面を重視するのであれば有効です。タブレットがメインで軽量であることが重要である場合など、キーボード入力を想定できない場合にはそれ前提でシステムを構築すべきです。
Point.3 タブレット端末のカメラ機能を最大活用
営業活動に伴って、何かしらの写真を撮って保存することがよくあります。不動産業であれば物件の写真を頻繁に撮るでしょうし、製造業であれば商品や販促物の写真を撮ることも多いのではないでしょうか。
今まではデジタルカメラで撮影して、会社に戻ったときにパソコンに転送し、関係部署に送付もしくは指定の場所に保存、といった作業を行っていたかもしれません。この一連の作業をぐぐっと省力化するためにタブレット端末のカメラ機能を活かしてシンプルにしましょう。
タブレット端末からアクセスできるシステム上に、画像をアップロードする機能を設けます。既に撮影された画像をアップロードすることも、今から撮る画像をアップロードすることもできるようにし、撮影と同時に各関連部署との共有が行えるようにします。タブレットのカメラの使い方に引っかかる人は少ないと思いますので、導入の容易さという意味でもプラスでしょう。
最終的にその画像をどのようなかたちで使うかは会社や業種によって違うため、システムの設計段階で柔軟に対応します。場合によっては自動で画像加工やサイズ調整といったこともシステムに実行させることも可能です。撮った写真はその人しか使えないのでは活用の幅が狭いので、社内の共有デジタル資産として、容易に共有したり、誰かに送ったりができるようにすると良いでしょう。
ブーム以上の価値を実現
新しいツールが登場した際には、何も考えずに使い始める会社が多いのも事実です。宝の持ち腐れほどまではいかないまでも、そのポテンシャルを活かし切れていないところも多いように感じます。
単なる派手なツールではなく、しっかりと使える仕事道具にするための準備を行えば、タブレット端末は強力な武器になります。連携するシステムとあわせて投資し、ブーム以上の価値を実現してみてください。