過当競争を生き残る術

ヘアサロン業界の競争は激化する一方です。都心部では次々に新しいヘアサロンが開業しては客の取り合いを演じています。いかにお客様のハートを掴み、リピートしてもらうかが生命線と言えるでしょう。雇用形態や、出店形態も多様化しており、大人数の店舗から、一人で運営しているような店舗まで、その店舗形態も多様化し続けています。

同時に、昔ながらのやり方である程度やれてしまうのがヘアサロンでもあります。いまだにきちんとしたWEBサイトを持たないヘアサロンも多く、予約は電話でしか受け付けていないところもまだまだ多いのではないでしょうか。日々忙しい中でWEBサイトの更新までは手が回らないところが多いからこそ、ホットペッパーのような業態がまだまだ強い理由かもしれません。

今回のテーマは、美容室/ヘアサロンの経営に活きる管理システムについてです。しっかりとしたシステムを導入することで業務改善、さらには顧客満足度の向上を狙うことができます。どういったポイントに気を付けて構築すべきか整理してみましょう。

Point.1 顧客カルテを簡単蓄積

ヘアサロンにとって、いかにお客様の望むイメージをかたちにするかが重要です。お客様の要望をしっかりとヒアリングし、提案活動を通じてイメージを膨らませていきます。この提案力が大切なのは言うまでもありませんし、コミュニケーション力に加えて、なかなか言葉にするのが難しいイメージを、どうやって引き出すかが重要になってきます。

新規のお客様であれば雑誌等を媒体にしながら、また、リピーターであれば過去の仕上がりの写真と見比べながら接客することでよりずれのない仕上がりを実現できます。そのために、顧客カルテに写真をセットで保存し、活用できるようにしましょう。タブレットやスマートフォンのカメラ性能は十分に高画質なため、使い慣れた機器で問題ありません。

店頭にタブレット端末を数台配備し、スタイリストが顧客カルテを呼び出し簡単な操作で過去の仕上がり写真を表示できるようにします。もちろん、毎回の終了時にはタブレット端末のカメラ機能を使い撮影することでデータを蓄積します。

顧客カルテを作っているところは多いですが、文字や図面での記入にとどまるところが多いようです。便利な機器の助けを借りながら、より充実し、かつお客様の納得度も高い情報の蓄積を進めましょう。

Point.2 ポイントや割引オファーも簡単管理・送信

店頭でポイントカードやそれに類する販売促進を行っているところも多いと思います。また、期間限定での施術メニューの割引やシャンプーやスタイリング剤の割引を行っているところもあると思います。物販は地味ながら客単価をあげるためのクロスセル施策としてはとても優秀なので、積極的に取り組むべきです。

こうした販売促進の提案から管理まですべて同一システム上行えるようにしましょう。同一システム上で行うことで顧客毎の現状がすぐに確認できますし、接客の際に同じ内容を二度提案してしまったり、お得な提案を伝え忘れてしまったりといったことが防げます。こうしたタイミング管理は人間がやるととても頭がいっぱいになって回らなくなるので、システムに委ねてしまいましょう。

特に重要な伝達事項の場合は顧客カルテに「○○をオファー」といった通知を出すことも可能ですので、接客の徹底と、運用効率の向上の両方を目指しましょう。ポイントカードの発行を無くして全て顧客情報だけで管理することも可能ですのでコスト削減とお客様の財布をすっきりさせることもできます。

また、こうしたお得な情報はメールアドレスが登録されたお客様に対しては簡単な操作で送信できるようにします。全体に対して送信するのはもちろん、新規客といった条件設定や、3回以上リピートかつ2ヶ月来店のないお客様、といった抽出もできるようにします。抽出条件は保存しておけるようにし、よく使う抽出条件にすぐにアクセスできるようにすることでミスと無駄な作業時間を減らしましょう。

Point.3 オンライン予約、スマホ予約を充実

インターネットを通じた予約機能を実装することでお客様の利便性を高めましょう。初めてのお客様に対してオンラインでの予約機能を開放するかは会社の運営方針によると思いますが、少なくともリピーターに対してはIDとパスワードを発行し予約申し込みができるようにします。定期的な予約機能や、おすすめの訪店頻度提案機能があっても良いでしょう。

スマートフォンでの操作を想定し最適化すると共に、わかりやすい空き枠表示で、目当てのスタイリストの時間を抑えてメニューを選べるようにします。「あ、髪切りたいな」と思ってもらえたときに1分以内に予約してもらえるか、という視点で、利便性を突き詰めてみてください。

この店じゃないと嫌という状態へ

ヘアサロンは差異化の難しいビジネスです。どうしてもスタイリストに客がつくのが一般的なため、店としての長期的な優位には結びついていきません。こうした状況を打開しうるのが今回の顧客管理システムだと思います。

お客様の情報が有効なかたちで蓄積されればされるほど、その店から離れたくないという気持ちが高まります。もちろんスタイリストの相性が一番重要ではありますが、お店としてできることを愚直に実行していくことも重要だと思います。

永く愛され、この店じゃないと嫌と思われる存在目指して、システムを有効活用してみてください。

開発スタッフのコメント
ヘアサロンの数はコンビニや歯医者と並んで、その数の多さが話題になることが多い業態です。頭の数だけ需要があるとはいえ、人口減や出店増の中、競争は激化するばかりです。よほどのカリスマであればそれだけで集客できるかもしれませんが、技術に加えて、周辺サービスでしっかりと総合力を高めていくことが重要ではないでしょうか。システムを活用することで、接客にとどまらない価値向上を目指すことができます。