まずは現状把握から

コスメティックスブランドの乱立は今に始まったことではありません。長くトップブランドに居続けるブランドがある一方で、新しい切り口で歴史あるブランドを廃業に追い込むブランドがあるなど、新陳代謝の激しい業界でもあります。最近ではインフルエンサーが新興ブランドを立ち上げることも多く、売る力のあるブランドやタレントが、コスメティクスのジャンルに参入する例も珍しくなくなってきました。

ライフスタイルの多様化に伴い、各ブランドが打ち出すメッセージやポジショニングも多様化してきました。そして一人一人のお肌にあった化粧品をというテーマのもと、カウンセリングにますます力を入れるようになってきています。知名度を売りにしたブランド対、個別最適をアピールしたブランドの戦いは、ますます熾烈になってきていると言えるかもしれません。

今回のテーマは、こうした化粧品会社の肌診断/カウンセリングのシステムについてです。どのように構築すれば現場で使いやすく顧客満足度も高まるものができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 システムはクラウド化し、タブレットに最適化

カウンセリングの現場である店頭では、パソコンを顧客の前に持ち出すのはあまりスマートではありません。今の世の中ではタブレットでさっとスタイリッシュに行うのがコスト面でもイメージ的にもベストだと思います。接客時に邪魔にならないことはもちろん、広いとは言えないブース内で設置の自由度が高いのも重要です。

肌診断のシステム自体はクラウドに構築し、修正や機能アップデートを柔軟に行えるようにします。クラウド上に構築することでいちいち各タブレットの情報を更新する手間が省けますし、全店で共通のものを使うことができます。タブレットさえ用意すれば簡単にセットアップできますので、急な出店計画やイベントで数を準備しないといけない時などに効果を発揮します。

表示はタブレットに最適化し、クラウドを通じて診断結果をデータベース上に蓄積していきます。データは顧客情報と紐尽くかたちで保存され、以後の対応全てに活用できるようになります。もちろん、顧客登録のない人のゲスト診断も可能にできますが、肌診断を行う前に簡単な顧客登録を行ってもらうようにするほうが後々のフォローを考えると現実的かと思います。やりとりの中で自然と顧客登録を行なってもらえるように、最初や最後に限定せず、いつでも顧客登録機能を起動できるようにするのも良いでしょう。

Point.2 診断結果をメール送信する機能を実装

通常、診断結果というのは口頭で説明があるだけのことが多いかもしれません。ですが、肌診断される側としては、その診断結果を持ち帰って保管しておきたいと思う人も少なからず存在します。そうした人達のニーズに応えるために、診断結果をメール送信する機能を実装します。

メール本文に診断結果をそのまま表示するとなんとも味気ないものになってしまいますので、しっかりとした診断表のデザインを施したものを、PDF形式で添付して送信します。メールアドレスの登録があればそこへ、ないか違うところに送信したい場合は顧客にメールアドレスを入力してもらい送信します。ソーシャルメディアに積極的な展開をしている場合は、X(旧Twitter)やLINE、Instagramなどで送信する機能を追加してもよいでしょう。ただ送るだけではなく、その後、または、その診断結果自体に、その次の展開へ誘導する仕掛けを施すのを忘れないようにしてください。

Point.3 肌診断を習慣化し、来店を促す手段に

肌診断結果を顧客情報と紐づけて管理することで、過去の診断結果を時系列で呼び出すことができます。来店の際の話の種になりますし、お肌の状態を観察するのに非常に便利です。時系列で比較することで、はじめて見えてくることや、相性や変化を正確に観察できるようになります。効果が目にみえるかたちになれば、自ずとブランドに対するロイヤリティも高まるものです。

一定期間来店のない顧客に対しては、肌診断を促すメールを送ることができるようにします。自動で対象を抽出し、スタッフが送信対象を確認した上で文面を作成し、メールマガジンのように送れるようにしましょう。肌診断を来店のためのフックとして活用することで顧客のモチベーションを刺激することができます。

永いお付き合い

肌のメンテナンスは一朝一夕ではなく、一生をかけて取り組んでいくことです。それだけに顧客生涯単価は大きく、永くお付き合いすることができれば大きなチャンスを秘めています。

商品にしっかりと投資し、スタッフを教育する。こういった王道をサポートするのが今回の肌診断/カウンセリングシステムのようなものだと思います。最大限に有効活用して、生き残るブランドに育てていってください。

開発スタッフのコメント
百貨店のリニューアルは多くあれど、化粧品コーナーは今も百貨店の花形スペースの一角を占め続けています。コンビニコスメの台頭もありながらも、まだまだ対面でのカウンセリングや、ブランド力は健在で、今後もその競争は激しくなるばかりでしょう。一度愛用してもらえれば継続の可能性が高いとはいえ、定着するまでは簡単にスイッチしてしまうだけに、商品力に加えた提案力で競合との差異化を行うことが必要になるのではないでしょうか。