紙のメニューを置き換える

タブレット端末の登場は個人のインターネットの楽しみ方を変えると共に、ビジネスの現場も変えつつあります。カタログ代わりに接客ツールとして使う方法が主流ですが、一部の飲食店では紙のメニュー代わりに利用しているところもあります。紙であれば内容変更の度に刷り直したり、テープで上から貼ったりする必要がありますが、タブレットベースで電子化してしまえば、そうした更新にかかる手間は大きく低減されます。

タブレット端末に積極的に取り組んでいる飲食店の中でも、単純に紙のメニューの代わりとして使用しているところもあれば、そのまま注文できるようにすることで、今までとは違った店舗オペレーションを構築しているところもあります。タブレットの可能性を模索しながらの状況が続いていると言えると思います。逆の発想で、利用客のスマートフォンで特定のURLにアクセスしてもらってオーダーをとる形式も出てきました。今後もますますこうしたIT化は進んでいくものと思われます。

今回のテーマは、こうしたタブレットを利用した飲食店/レストラン向けの注文システムについてです。どのように工夫し、機能を実装すれば便利なシステムにすることができるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 注文した料理の待ち時間や提供予定順番を可視化

注文した料理が来るまでの時間というのは手持ちぶさたな時間です。話が盛り上がる仲間同士であればその時間も楽しいのでしょうが、待たされるよりかは早く来て欲しいと思うのが普通ではないでしょうか。

料理の提供スピードは厨房スタッフの熟練度やオペレーション、その時の注文の混み具合に左右されるため、なかなか注文システムが絡めない部分ですが、お客様の心理に働きかけることで実際の所要時間よりも体感の所要時間を改善することができます。いつくるかわからないものは待っていてしんどいものですが、いつまで待てばいいかがわかっていると、意外に待ち時間をストレスに感じないものです。

普通の注文形式だと、お店の人をつかまえて料理の状況を尋ね、そのスタッフが厨房に確認して状況を説明するという流れかと思います。これをタブレット上で簡単にできるようにします。

具体的には、注文した料理の状況を定期的に更新し、何が今作られていて何がまだ作られていないのかを可視化します。お店のテイストにあわせて、眺めていて楽しくなるアニメーションなどを挿入するのも有効です。何が次にきそうかがわかるだけでも納得度がでますし、まだ調理待ちのものなら変更やキャンセルができるようにするとお客様の利便性が高まります。数字のカウントダウンや進行度合いをあらわすバー表示、他にもキャラクターがどんどん変化していくなど、アイデアはいくらでも出そうです。

厨房側でも注文に対する状況更新の手間が発生しますが、これもタブレットで解決しましょう。厨房にも注文状況更新用のタブレットを設置し、注文された商品を作り始めるときと、完成したときにボタンを指でタッチするだけで状況を更新できるようにしておきます。

お客様の満足度につながるのは体感上の所要時間です。実際の所要時間を短くする努力に加えて、システムとタブレットの力を活用することで体感上の所要時間を短くしましょう。

Point.2 タブレット上で料理の評価を収集

お店の改善にはお客様の声が不可欠です。古くからアンケートはがきを使ってお客様の声を回収しているところも多いですが、タブレットを活用することでさらに進んだアンケート機能を実装しましょう。

全体を通じての評価はもちろん、個別の料理に対してコメントや評価を残せるようにします。こうすることでさらに細かいレベルでの改善を行うことができます。文字入力は手間でも、ポチポチと選択していくだけであれば、タブレットに慣れた人も多いので利用者の負担にならずに情報収集を行うことができます。さらにアンケートの回答率を高めるために、評価やコメントに対してインセンティブを設定します。回答することですぐに適用される割引クーポンが100円分もらえるとなると、ぐぐっと回答率が高まることが予想されます。

また、お客様の声を回収できるという直接的な効果に加えて、アンケートに答えている時間はそれに熱中するため、料理をサーブする合間時間を有効活用することができます。これがまたお客様の体感上の所要時間を短くすることにつながり、全体としての満足度向上にもつながります。思わず楽しくなるようなアンケート設計を検討してみてください。

省力化ではなくおもてなしツールとして

紙のメニューを置き換え、そのまま注文できるようにすると聞くと、どうしても人員削減のためのツールと思われがちですが、タブレットの真価はその機能性と拡張性にあります。スタッフがずっとテーブル脇にいたらうっとおしいですがタブレットはそうではありません。うまく楽しさをデザインしておくことで、お客様の方からこちらが期待する行動や利用方法、協力を行ってくれる可能性が高まります。

おもてなしツールとしてのタブレット活用、是非検討してみてください。

開発スタッフのコメント
省力化や、非接触の流れから、今後もどんどんとタブレットを軸とした注文受け付けへ移行していくのは確実でしょう。商品を登録し、それを決済レジ側に回す、というシンプルなものであれば、そこまで大きな投資なしに実現できると思います。また、さらに進んで各テーブルでの決済や、予約時点での事前決済など、様々な機能を統合していくことも可能ですので、夢が拡がる分野ではあります。