ニュースメディアを作れる時代

インターネットの普及により、何かを発信するという行為のハードルが下がりました。形態を問わなければ、インターネット接続さえあれば誰でも今すぐ無料で情報発信を行うことができます。全世界の一人ひとりが発信者になる時代になったと言えます。その情報もテキストのみのものから画像、そして動画とどんどんとリッチコンテンツになってきており、情報がより早く広く届くようになってきています。

情報発信の最たる例であるニュースサイトも例外ではありません。全国規模のニュースを扱うサイトからニッチな特定ジャンルのニュースを取り扱う小規模ニュースサイトまで、ここ数年で多くのニュースサイトが誕生し、人気がないものは淘汰されていくのを繰り返しています。

今回のテーマは、こうしたニュースサイトを管理するためのシステムです。記事を管理し、会員を管理する。また利用者の利便性を高めるための機能設計を施す。どれも基本的なことばかりですが重要なことばかりです。具体的にどのように工夫をしていくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 細かい区分けの有料会員に対応

ニュースサイトを運営するのであれば、収益減は広告収入か購読収入になると思います。広告収入自体はGoogle Adsenseのような自動配信のものを利用するか、広告枠を設定し、独自及び広告代理店を通じて販売するといった形態が一般的でしょう。

購読収入は有料会員からの料金徴収というかたちをとることになります。単純に有料会員と無料会員の二分割にするのもシンプルでわかりやすい場合もありますが、有料の範囲をわけることで、自分の興味のある分野だけ有料会員になるといった選択肢を会員に提供することができます。同時に、細かく価値を分割することで有料会員の裾野を拡げることも期待できますし、ヘビーユーザーに関しては客単価向上の効果も期待できます。

丁度フィットネスジムの会員制度のように、全ての記事、全ての機能を利用できる有料会員枠と、各ジャンルごとに記事がよめるジャンル有料会員枠、限定された記事や機能しか利用できない無料会員枠といった運用ができれば問題ないと思います。さらに単体シリーズごとの課金を実装することも可能です。あまり細かくしすぎると運用管理の手間が増えていきますが、都度払いも視野にいれると、できることが非常に増えていきます。

予め柔軟な会員制度を設計できるようにしておくことで、その後のビジネス展開の打ち手が考えやすくなります。ニュースサイトのビジネスモデルの根幹なだけに、しっかりと考えましょう。また、こうした課金モデルを時代の変化にあわせて設定変更していけるようにするのも良いでしょう。

Point.2 記事の検索スピードは徹底追求

ニュースサイトは記事数が膨大になり、それぞれの記事の文字数も多いため、フリーワード検索の速度が遅くなるという性質上の宿命があります。これを解消するために各社あの手この手で工夫をするわけですが、同様にしっかりと対策をしましょう。

全文検索を高速に処理するエンジンはいくつか有用なものが開発されているのでそれをカスタマイズして利用することで検索速度を速めることができます。また、キャッシュをサーバーレベルやプログラムレベルで利用することで、さらに体感速度を速めることができます。目的のものを探しやすくする、だけでは物足りません。目的のものに近いものを提案したり、さらに興味がありそうなものを提案したりと、ただの検索結果に終わらない工夫を実装しましょう。

記事検索に限らず、表示速度の遅いサイトは利用者が離れていきます。ページが快適に閲覧できれば、次の記事も次の記事もと、回遊率が高まります。工夫してもしたりないぐらい、徹底的にこだわってください。

Point.3 記事に対するソーシャルの反応を可視化

ニュース記事は、作成して配信して終わりではありません。むしろ、配信されてからがスタートだと思います。

記事がX(旧Twitter)やFacebookなどのソーシャルメディアで拡散されていく中で、「記事に対する反応」という付加情報が発生してきます。こういった記事に対する反応も含めてニュース記事なのだと感じます。コメントが荒れて、いわゆる炎上という状態になるのは考えものですが、注目を浴びること自体は悪いことではありません。しっかりとより多くの人の目に触れる仕組みは構築すべきです。

そこで、こうしたソーシャルメディア上での反応を取り込み記事下に表示します。また、ソーシャルメディア上で拡散しやすいようにボタンやリンクの設置は必須です。独自の記事に加えてその記事に対する反応も同時に見れることで、場としてのサイトの価値がより高まります。自社のソーシャルメディアとクロス活用することで、自分たちの発信内容がより遠くまで広がるようにしてみてください。

コンテンツイズキング

いつの時代も原則は変わりません。コンテンツこそ全てです。価値ある情報を配信し続けていればファンはつきますし、メディアとしての価値も必ず向上していきます。

とはいえ、コンテンツさえ良ければ他の部分がダメダメでもいいのかというとそうではありません。コンテンツの価値をさらに引き立てる役割をシステムが担うことで、成長のスピードを何倍も早めることができるのではないでしょうか。

開発スタッフのコメント
Googleを筆頭とした企業のニュース集約の流れがとまりません。価値あるコンテンツを提供するだけでは、自社メディアに訪問し、巡回するといった行動を期待することはどんどんと難しくなってきています。自社メディア上での回遊性の設計はしっかり練るだけでなく、継続的にA/Bテスト等の試行錯誤が行える状態にすべきです。世の中のトレンドにあわせて、あるべき姿も変化していきますので、コンテンツという資産を最大限に活用する方策を、常に模索し続けてみてください。