ビジネスパースンの必須アイテム、名刺

日本で働く多くのビジネスパースンが名刺を持っていると思います。そうした名刺は社内で作成しているところもあれば、外部の印刷会社に発注しているところも多いでしょう。簡単なものであれば社内やアスクルのようなサービスで発注するのが主流だと思いますが、少しデザインのこったものであれば印刷会社での作成が現実的になる場合が多いようです。

名刺を作成するのには思った以上に決めなければいけないことが多いです。名刺のデザインはもちろんですし、紙の種類や厚み、色の数や線の細かさなど、デザインにこだわるからこその煩雑さがあると言えるかもしれません。デザイナーに完全丸投げしているので、そうした細かいところはよくわからない、というところも多いのではないでしょうか。

今回のテーマは、こうしたデザイン名刺の製造を請け負うサイトの管理システムについてです。どのようにシステムを構築すれば、発注する側も便利よく使え、製造する側も効率よく使えるシステムにすることができるのか、いくつかのポイントに分けて整理してみましょう。

Point.1 完全デザイン入稿に加え、簡易デザイン画面も提供

デザインに慣れた人であれば、自分で作成したデザインデータを入稿することが最も簡単でイメージ通りの名刺ができあがる方法だと思います。サービスとしてそうした利用者への完全入稿オプションはもちろん提供しましょう。

その一方で、配置や内容ぐらいは自分でいじりたい、という人向けに、簡易名刺デザイン機能をブラウザ上で提供し、デザインソフトを使わない人にも自分オリジナルのデザインを作成する機能を提供することも一考の価値があります。ブラウザベースでできることはどんどんと増えており、ユーザーの期待値もあがってきています。基本のテンプレートからある程度の調整要素をつけるだけでも、そうしたライト層の支持を得られるのではないでしょうか。自由に差し込めるイメージや、選べる書体が豊富だとなおよしです。

また、社内でデザインを開発するリソースがある場合は、名刺デザインのテンプレートを複数準備し、それをベースにデザインを開始してもらうのも有効です。さらにワードやエクセルで作ったデザインを基にデザインデータに修正・変換するサービスを行うのも需要があると思います。

このあたりは自社のリソースや方針によります。低価格路線で行くのであればこうした機能は後回しになりますし、手厚いサービス路線であれば実装すべきでしょう。

Point.2 製造進捗を随時アップデート

名刺印刷のプロセスは大きく、印刷注文、入金確認、製造開始、製造完了、発送完了、といった流れをとると思います。販売サイトをクレジットカード対応にして入金確認の手間を減らすのはもちろん、製造開始や製造完了といった社内で管理すべき過程も同一システム上で管理できるようにし、急な問い合わせや変更依頼にも素早く対応できるようにします。

メール送信業務は定型化し、極力自動的に送信されるようにします。イレギュラーな対応が必要なものだけ顧客サポートチームが手動で送信するイメージです。発送完了メールも同様です。配送会社のシステムからの追跡番号を取り込み、自動的に顧客に通知メールが行くように構築することをおすすめします。メール以外のコミュニケーションチャンネルとしてチャットを用意するのも良いでしょう。時間が差し迫ったやりとりなどは、データも送れてやりとりも早いチャットが役立つ場合もあります。

Point.3 ボリュームディスカウントやリピート割引

大量に発注することで割引がきくボリュームディスカウント機能を実装します。毎度手動で見積もりを行っていてはスタッフの工数ばかりがとられてしまうので、条件設定をプログラム化し、自動で割引が適用されるようにします。

さらに、あとどれぐらい追加で発注すればどれぐらいの割引になるかを提案する機能を買い物かごの部分に実装することで、客単価向上を狙うことも可能です。「あと100枚追加注文でX%OFF!」と言われたら、ちょっとぐらい量を増やすか、となるのが心情です。こうした、もうちょっと追加に伴う変更も1クリックで行えるようにしておくことで、客単価アップの効果が期待できます。

また、一度の発注の量は少ないけど継続的に利用してくれているユーザーに対してはリピート割引が適用されるようにシステムを開発します。還元の方法は割引や無料クーポン、ポイントバックなど色々な方法があるので運営方針により選択してください。

商材として継続的に作成するものなだけに、競合にとられずにがっちりと囲い込むための施策は万全にしておきましょう。

きめ細かいサービスと豊富な選択肢を

インターネットで印刷手配をするのが当たり前の時代になってきました。地元の印刷会社のような顔の見える関係に負けないためには、きめ細かいサービスと対応、そして納得の価格と豊富な選択肢が必要です。

サービスの魅力を高めるアイデアはあるのにシステムの制約で実現できないというのではもったいなさ過ぎます。予め未来を見越した柔軟な設計としっかりとした実装を行っておくことをお勧めします。

開発スタッフのコメント
CMの大量投下等、大規模な販売促進キャンペーンを展開する大手が寡占状態を強める中、そこまで大規模ではない事業体にとって、システム投資をどこまで行うかは非常に頭の痛い問題だと思います。時代の主流は変わりますし、常に新しいものに対応していく必要があるため、根幹部分はコンパクトに作った上で、何より拡張性を重視した設計を行っておくべきです。支払手段や、利用する端末等、この数年で大きく事業環境が変化しているものが多くあります。しぶとく、そして軽やかに変化していけることこそ、大企業に立ち向かう方策のように思えてなりません。