ものが溢れる時代
新居選びの重要なポイントは収納というアンケート結果をよく見ます。それぐらいに物が溢れていて置き場に困っている人が多いのでしょう。事実、トランクルームに代表される収納スペース貸しのビジネスは長く人気を保っています。土地があれば倉庫を自宅に建てて収納できるのかもしれませんが、マンション住まいであったり、戸建てであっても十分なスペースが無い場合のほうがほとんどではないでしょうか。
最近ではより小さい単位で預かってもらえるサービスも登場し、収納もアウトソースしてしまう流れが確実なものになってきています。段ボール単位で預かってくれるサービスや衣服に特化したサービスも登場したりと、ユーザーからすると選択肢が増えて嬉しい限りです。
今回のテーマは、こうした収納スペースを提供するサービスのサイトや管理システムをどのように構築するべきかについてです。コストを抑えながらも付加価値としてユーザーの利便性を高めるためにはどのようなポイントに注意すべきか整理してみましょう。
Point.1 多店舗前提で構築コストを圧縮
複数店舗を経営している場合、店舗の数だけシステムが分断されているとメンテナンスのコストもあがりますし、初期構築のコストもあがってしまいます。ここは多店舗を前提にした設計の共通管理システムを導入することでコストを圧縮しましょう。
ユーザー側も一つのIDで複数の店舗を利用できるようにし、この荷物はこっち、あの荷物はあっちといった使い分けができるようにします。顧客管理も統合できるので、連絡が二重にいくといったことを未然に防止することができ、コスト削減とユーザーのストレス軽減につながります。
管理側にもメリットがあります。共通化することで、全体としての稼働率や空き状況の比較が行えるため、経営判断を行うために必要な情報を簡単に集計したり、表示したりすることができます。出店や退店の判断に必要な情報も一通り揃うため、運命面の効率化に貢献します。さらに発展機能としては、WEBサイトとも一体化させてしまうコスト効果が高まります。専用に作ったWEBサイトには見劣りするかもしれませんが、店舗ごとに決まった情報を発信できれば十分という場合には有用です。デザインに凝った集客用のLP(ランディングページ)は別で作るといった場合には、こうした棲み分けは有効でしょう。
Point.2 預けているもののリストを簡単管理
借りるスペースが大きくなり、管理がざっくりになればなるほど、何を収納していたか忘れてしまうユーザーが増えてきます。そこでサイトのマイページ上で何を収納しているかを管理できる機能を実装します。
種類を簡単に選択するだけで登録できるようにし、入力の手間を減らすとともに、何かメモを付記しておきたい場合の自由入力欄も備えておきます。あまりパソコンやスマートフォンでの入力に慣れていないユーザーに対しては紙ベースで収納物一覧を作成してもらい、それの登録を代行で行うサービスも展開します。入力代行は別途料金を頂戴するか、特定のプランにはあらかじめ含まれているといった運用がお勧めです。
さらに高機能にするのであれば写真も追加できるようにしておき、家にいながらにしてどんなものが収納されているかをひと目で確認できるようにしましょう。収納日とあわせて登録しておくことで、そのまま収納し続けるべきか処分してしまうべきかの判断をサポートします。
遊び心を加えるのであれば、断捨離アシスト機能のようなものを実装するのも良いでしょう。例えば預けてX年以上経過したものは不要じゃないかというサジェストをする、といった機能です。長く預けてもらえればもらえるだけ利用率があがるので運営者としては判断がわかれる機能ではありますが、利用者としてはおもしろい機能として重宝されるかもしれません。有料での処分代行サービスもセットにすれば、預かりとはまた違った収益源を育てられるかもしれません。
Point.3 空き部屋お知らせ機能
今借りているスペースが足りなくなる、ということがよくあります。同じ店舗内で空きがでればラッキーな方で、違う店舗に泣く泣く荷物を置いている人も多いのではないでしょうか。その店舗が近くであればまだしも、遠方で、しかもどこに何をしまったかわからなくなってしまったら悲劇です。
収納スペースの空き状況は毎月変動しますので、その空き状況の最新情報を自動的に配信し、希望するユーザーが受け取れるようにしておきます。既存ユーザーのみに配信するか一般のお客様にも空き待ち情報の提供を開放するかは経営方針で判断してください。より近い位置でまとめて借りてもらったほうが利便性が高まり、結果として継続率が高まります。
こうした全体としての最適化を定期的に行うことで、利用者とトランクルームの結合度合いがより洗練されます。利用期間の長期化につながりますので、積極的に行ってみてください。
場所貸しだからこそサービスで差異化を
収納スペースのビジネスはいわば場所貸しです。場所が商品である以上、値段や広さや立地の勝負になりがちですが、サービスもしっかり充実させることで指名買いの率を高めることができます。
多店舗であればその効果が出やすいのは事実ですが、一店舗の場合でも便利な機能は喜ばれます。5年単位での投資として、システム投資を検討してみてください。