毎日の食卓の強い味方

インターネットの普及と物流網の進化により、ネットスーパーという業態が生まれました。今ではその言葉の認知度も利用者も全国的にうなぎ登りです。大手スーパーが軒並み参入する中、中小規模のスーパーで参入するべきか否かで悩んでいる所も多いのではないでしょうか。

店舗在庫管理をしながらネットスーパーの在庫管理を行うのはノウハウの必要な複雑な作業です。ノウハウを蓄積することで初めて利益のでる事業として定着していくと言われています。専用のシステムがなければ立ちゆかない事業とも言えると思います。誰もが名前を聞いたことのあるような大手チェーンであれば投資が容易かもしれませんが、膨大な利用者、膨大な商品、そして確実かつスピーディーな処理が求められる非常に大規模なシステムなため、構築は慎重に行うべきです。

今回のテーマは、そうしたネットスーパーの管理システムです。利用者の利便性を担保するために裏側ではどういった視点で設計し、機能を実装していくべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 注文内容は集計伝票と注文伝票に自動振り分け

ネットスーパーのオペレーションは各スーパーごとでそれぞれな部分はありますが、まずは売り場から作業場へ移し、そこから個別宅用に選別していく二段階方式が主流だと思います。このオペレーションを支えるのは売り場から何を何個集めてくるかが記載された集計伝票と、個別宅の梱包内容の指示書にあたる注文伝票です。

出荷時間にあわせてその時点での注文内容を集計し、商品別に振り分けます。こうすることで売り場からの回収担当者は何度も売り場を往復せずに済み、効率よくピッキングを行うことができます。また、注文伝票では利用者ごとの注意点や連絡事項も記載され、リピートにつながる丁寧な梱包作業をサポートします。品切れが発生していた際には伝票に記述するか、持ち運べる端末でその場で入力できるようにしておくと便利でしょう。ペーパーレス化を進めるならすべてのピッキング作業もタブレット等で行うべきですが、どちらが早いか、どちらがミスが少ないかは一概に言えません。小規模でテストをしてみてからの判断でも良いかもしれません。

Point.2 利用者の利用頻度にあわせてポイント付与

今や一般化したポイント制度ですが、ネットスーパーにも適用できるようにします。お買い物金額のパーセンテージでも良いのですが、それに加えて利用頻度が高い利用者にはパーセンテージがあがったり、特別ポイントを進呈したりといったことができるようにします。ポイントのような金銭に直接的結びつくものが難しければ、試供品やサンプル品として実際の商品を提供するというのも一つです。

単純なポイント施策だと販促効果は薄いですが、1週間に2回買った人は○○といった特典付与のかたちですと販売促進効果が見込めます。送料無料ラインを下げると細かく分けられて採算性が悪化しますが、最低ラインが一定金額以上であれば、「近くのスーパーに行くかわりにネットスーパーでせっかくだから買うか」という乗換を促すことができます。需要創造につながるポイント施策を積極的に運用しましょう。

過剰なポイント付与は値引きと大差ないため、ネットスーパーの収益性に影響を与えてしまいます。ポイントをやりすぎたくないという場合には例えばメーカー協賛品の特典を多めに付与したり、限定販売品の優先購入権を付与したりといった、直接的な値引きにはあたらないやり方も検討できます。状況に応じて採用手段を判断してみてください。

Point.3 配送トラックの位置をリアルタイム配信

自分の注文したものがいつ届くのかは気になるものです。今トラックがどこにいて自分の配達はいつぐらいなのか、どうせならそれにエンターテイメント要素を付与して公開してしまいましょう。

トラックにGPS機能を搭載した通信装置を設置し、現在値をシステムに取り込めるようにします。その現在値を注文者が見られるようにし、自分の注文した荷物が搭載されたトラックの場所と配送ルートを基にした予測到着時間を配信しましょう。常時トラックの位置を公開するのは現場の反発が強い場合にはその反映間隔をへらすことでちょうど良いポイントを見つけられるかもしれません。1時間に1回では頻度が低すぎますが、10分に1回程度であれば、ちょうどよいバランス、といった具合に、最適なバランスを検討してみてください。

小回りのきく筋肉質なシステムを

システムにたいして投資できる金額では大手にはなかなか勝てません。ただ、大手にはできない小さな小さな機能実装を積み重ねることで、地域に根ざしたネットスーパーという立ち位置は実現可能です。

利用者の利便性を実現する方法はいくらでも考えられます。一つ一つトライ&エラーを繰り返し、全国でもユニークなネットスーパーモデルを確立していってください。

開発スタッフのコメント
出荷業務はどうしても人に依存する作業のためミスが起こりがちです。ミスをいかに防ぐか、ミスが起こった時にどうリカバリーするか、といった視点で機能を検討するのも重要です。数量センサーと組み合わせたピッキングチェックや、配送時の持ち出しチェックなど、実装可能な機能や連動可能な方法はいくつもあります。自社の課題に応じた最適解を模索してみてください。