高齢化社会の必然的需要

有料老人ホームに代表される介護施設が増加しています。高齢化社会と叫ばれて久しいですが、どんどんと潜在顧客が増加していくだけに、新規参入も含めて市場が非常に活性化しています。

それは同時にユーザーにとっては選択肢が増えることを意味します。しっかりとした選択眼や時間をもった人なら問題ありませんが、選択肢が増えることで選べなくなる人もたくさんいます。さらにはそもそも情報を集めるだけで疲れてしまうといった事態も起こっているでしょう。入居に必要な費用もピンからキリになっており、高級な有料老人ホームになると、入居費用だけで数千万円からの世界になってきます。選択肢の量も質も増えてきたのがこの10年と言えるでしょう。

そんな環境を背景に成長を続けるのがマッチングビジネスです。多数の関連施設の情報を整理して掲載し、資料請求や紹介に対して報酬を受け取るというビジネスモデルが基本です。今回のテーマはそういった老人ホーム・介護施設の紹介を行うサイトのシステムをどのように構築すべきかについてです。施設側とユーザーの双方が満足できるようにするためのポイントを整理してみましょう。

Point.1 2画面以内で目当ての検索結果へ

目的の情報にたどり着くために必要なクリック数や画面遷移が増えれば増えるほど脱落率はあがってしまいます。インターネットに慣れ親しんだ層でもこうですから、インターネットに不慣れな人の場合、迷子になってしまうケースも含めよりシビアに導線設計を行う必要があります。あまりに多い動線もダメですし、デザイン重視でシンプルにしすぎるのも考えものです。

画面が遷移することが自分の現在地を見失ってしまう原因の一つです。そこで地域や条件といった検索導線を、クリックの度に画面遷移するのではなく、ある程度は画面内で情報が変化し、深掘りしていけるようにします。実質的なクリック数は変わりませんが、画面遷移をほとんど伴わない分、「今どこで何を操作している」という実感が途切れないまま操作することができます。こうすることで迷子率や脱落率を低下させることが可能です。

また、物件を探している人が必ずしもその地域に詳しいとも限りません。遠く離れた場所に済む親族が代わりに探している場合等、地理感のない人が探しているケースにも探しにくくないように配慮すべきでしょう。物件の周辺情報などを補足情報として掲載することで、地理感のない人にも役立つ情報提供が行える場合があります。

Point.2 アクセス元のIPアドレスに基づいて初期画面を変更

ユーザーがどこの地域から訪問していきているかの基礎情報になるIPアドレスはシステム上で取得することができます。IPアドレスと地域の関連性を蓄積してデータベース化しているサービスを利用することで、かなりの精度でどの都道府県の市区町村からのアクセスかが判定できます。

もちろん、遠く離れた入居者の家族が探している場合にはあまり意味をなしませんが、本人や同居の家族が情報を探している場合、地域を自動判定しページの内容を地域にあわせて最適化することで目的の検索結果に一気に近づきます。

東京都内であれば都内の物件、札幌であれば札幌といったように、ユーザーの探しやすさを高めるのみならず、親しみのある地域名が登場することで直帰率を下げる効果が期待できます。この判定機能を発展させると、見かけ上はその地域の専門サイトのように構成・表示することもでき、競合他社に対して優位な印象をユーザーに与えることも可能です。

常に自動的に画面が切り替えられてしまうとストレスを与えてしまう場合がありますので、設定でOn/Offが簡単にできるようにしておくと安心です。また、インターネットプロバイダーによっては、実際の場所とはかけ離れた場所判定になってしまう場合もあるので、そうした場合の位置再設定の機能を用意しておくと安心でしょう。

Point.3 リアルタイム実況でサイトにライブ感を

他の人が何をしているか、どう思っているのかに大きく影響されるのが日本人の性です。他の人がサイト上でどういった行動をしているかを可視化することで、その性質をうまく利用することができます。少し煽る感じにはなりますが、賑わい感との線引は難しいのも事実です。「あぁ、このサイトは使われているんだな」「この施設は人気なんだな」と感じてもらうことで、施設やサービスに対する信頼感を向上させる効果が期待できます。

具体的には資料請求を行ったり、問い合わせやメッセージを送ったりといった行動を、リアルタイムにサイト上に表示します。そうすることでサイトを利用している人がいるという賑わい感を演出することができますし、何かしらのアクションをとることの不安を低減することができます。あまりに閑古鳥が泣いていると逆効果ですが、どれぐらいの人が見たか、資料請求をしたか、といった数字であればサイトの規模に関係なく表示しやすい数字になりえると思います。

入居する人も探す人もハッピーな場の創造

ライフスタイルの多様化、核家族化、他にもあげだすときりがありませんがこうした背景のもと、老人ホームなどの介護施設に入居するという選択肢が一般的になってきました。一昔前までは長男の家族が面倒を見るのが当たり前で介護サービスの類を使おうものなら近所から白い目で見られるというのも珍しくありませんでしたが、都市部を中心により現実的な考え方に変わってきているように感じます。

衣食住、さらには遊までを包含する老人ホームというのは、入居者にとっては金銭的にも環境的にも人生における大きな変化であり大きな選択です。その選択をサポートし満足のいく意思決定をしてもらうことはとても意味があり価値があることだと思います。

サイトやシステムの機能性に掲載施設数、重要なことをあげだすときりがありませんが、正しい情報と選択の機会を提供するという根本だけはぶれないでいて欲しいと願います。入居者もその家族もハッピーになれる、そんなサイト作りを目指してください。

開発スタッフのコメント
システムとしての探しやすさはとても重要ですが、同時にサポートの存在感、人の存在感を演出することもサービスとしては重要です。結果を探しやすくするUI設計に加えて、常にサポートに1コールでつながるという安心感が、コンバージョン率アップにつながります。問い合わせが増えることはサポートコストの増加につながりますが、コスト以上に結果が伴えば投資としては有効です。是非検討してみください。