横断型販促の時代

O2O(オーツーオー)という言葉が認知度を高めてきています。オンラインからオフラインへ、また逆にオフラインからオンラインへ。ユーザーをうまく誘導し、トータルでの販売促進やユーザーエクスペリエンスを追求しようとするアプローチは何も今にはじまったことではありません。

雑誌やフリーペーパーとWEBサイトの連動は比較的早くから実験的に取り組まれてきました。同じ内容の抜粋がWEBで見られるというレベルのものから、雑誌のQRコードからショッピングサイトに移動できるものまで様々なアプローチが試されています。その中でも雑誌媒体の広告価値を高めるために広告主のクーポンをWEBサイトに掲載し、そこへ雑誌やフリーペーパーから誘導しているようなものもあります。毎年、技術的には様々な新しいものが登場しますが、オンラインとオフラインの間の垣根はやはり高く、なかなかに難しい領域です。

今回のテーマは、そうした雑誌・フリーペーパー連動のクーポンサイトです。どのようなポイントに注意して構築すればたくさんの読者を誘導しクーポンを使ってもらうことができるのか整理してみましょう。

Point.1 導線設計はひたすら丁寧に

雑誌やフリーペーパー上でクーポンをどのように掲載するのかに大きく左右されますが、クーポンサイトへの導線は丁寧に十分な設計を行います。紙面上にはクーポン自体を掲載しない場合はわかりやすいURLとQRコード。クーポンの一覧を掲載する場合はURLとQRコードに加えてクーポン識別IDとして3桁ほどの数字を記載し番号でもクーポン検索や利用ができるように配慮します。

また、お気に入りにいれてもらえるようにクーポンサイトは固定URLにするのはもちろん、スマートフォン対応をしっかり行うことで、ちょくちょくと更新をチェックしにきてもらえる体制にします。X(旧Twitter)などでの告知も絡めるとなお良しです。他にも様々なソーシャルメディアを組み合わせるのもおすすめです。社内リソースの許す限り、情報発信には積極的に取り組むと良いでしょう。

お得感だけでも十分かもしれませんが、なにかそこに楽しめる遊び要素をいれるのも一つです。味気ないQRコードよりはデザインQRコードにしてみたりと、アイデア次第で色々なことが紙面上でも、その導線上でも可能になるでしょう。

Point.2 遊びの要素を加えて広告主のアピール度をUP

単純にクーポンを見せれば10%OFF!といった直球のアプローチもありですが、一ひねり加えることでユニークな販促も可能です。紙面上にはその広告主を象徴するクイズを掲載しておき、そのクイズの答えをクーポン利用の合い言葉にするといった運用も可能です。

紙面上では答え合わせはできませんが、クーポンサイト側では答え合わせができ、正解するとちょっとしたアニメーションとメッセージで盛り上げます。さらに難しい問題への挑戦も行えるようにしておき、難易度の高いクイズを正解すればするほど、より魅力的なクーポンを手に入れることができるという仕組みです。システム的にはクイズサイトの仕組みを組み合わせれば実現可能です。高齢者向けには馴染まないかもしれませんが、若年層メインであれば思わぬ効果を発揮する場合があります。

何分もかかるものでは毛嫌いされる場合もありますが、さっとぱっと楽しいものはそれ自体がおもしろがられて拡散する可能性もあります。遊びの要素はどのレベルまでやるか、また広告主との兼ね合いもあるので調整が難しくはありますが、効果も高いので是非検討してみてください。

Point.3 期限設定やタイムセール設定も可能に

雑誌やフリーペーパーに掲載されるクーポンというと、固定の期間設定をされるものがほとんどですが、この期限を柔軟に変更できたり、ある特定期間だけディスカウント幅が大きくなるタイムセール設定ができたり、ユーザーの心を刺激する施策をうてるようにシステム対応します。

同じクーポンでも早く利用すればするほどお得となれば、ユーザー心理としては「またいつか行くときに・・」という心理から「今いかないと」という心理に変化します。販売促進ではメリハリが重要ですが、それをクーポンサイトでも実現できるようにします。過剰な煽りは禁物ですが、その期限やお得度をしっかりアピールすることも忘れないようにしてください。

連動することではなく、連動して価値があがることが重要

リアルとネットの連動というと、とりあえず的なところが多いように感じます。ユーザー側からすると、連動していること自体に何の価値があるわけではなく、連動して便利になったり、新しいことができるようになったりすることで初めて連動することの価値がでてきます。

雑誌やフリーペーパーは人的リソースの問題からWEBサイト運営を丸投げしているところも多くありますが、柔軟かつ迅速な対応という意味ではどうしても限界がでてきます。社内でまわせるようにしっかりとした機能設計とシステム化を行うことで、ユーザー・読者に対して新しい価値を提供してみてはいかがでしょうか。

開発スタッフのコメント
クーポンは何度も発行するもので、コストを絞っていくとどうしても無味乾燥なクーポンになりがちです。プロモーションツールではありますが、クーポンも立派な表現手段ですのでそれではもったいない結果になります。クーポンのテンプレートや、簡易的なデザイン機能を整備することで、簡単かつスピーディーに商品の魅力を訴求できるクーポン発行体制を構築するのも有効です。