運用管理の強い味方

不動産物件をたくさん保有し、その運用益をあげている個人/法人は多いと思います。それほど収益を気にせずにほったらかし運用というポリシーの人もいるとは思いますが、本気度が高ければ運用状況を簡単に確認できるようにしたり、申告を含めた手間を少しでも削減したりしたいと思うものではないでしょうか。

物件数が少ない内はエクセルベースの管理で問題ないですが、物件数が増えてきた場合や管理に関わる人が増えてきた場合などには情報の散在や情報の更新漏れ、入力間違えなどが積み重なり、どんどんと混乱状態になっていってしまいます。その作業負担が緩やかな上昇であればよいのですが、実際には急激に負荷が上がることも多く、収益は伸ばしたいものの負担が大きいというジレンマに陥ることも多いようです。

今回のテーマは、こうした不動産収益や賃貸状況の管理を行うツールのシステムです。気合いで乗り切っていたケースや、紙やエクセルファイルで戦っていたケースをぐぐんと効率化するためにどういったことが考えられるのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 経費項目を細かく簡単に管理可能に

不動産収益の鍵を握るのは売上と経費です。売上はモチベーション高く喜んで管理しているところも、経費の細かい管理までは手が回っていないことも多いのではないでしょうか。経費項目をざっくりではなく細かく管理できるようにすることで経営改善の情報としてとても役立ちます。

ただ、項目分けして管理するだけではエクセルファイルでもできますし、既にやっているところも多いと思います。クラウド上にシステムを構築し、画像のアップロード機能を実装することで、経費と証憑の一元管理が可能になります。また、定期的な引き落としのようなものは自動繰り返し設定を行うことで何度も入力する手間がなくなります。さらに税率などの設定はシステム上に保持しておくことで、固定資産税などの率計算を行う項目も簡単に管理できるようになります。

よくよく管理してみたら、収益が出ていなかった、ですとか、逆に、とれも高い収益率を出していた、ということがあるかもしれません。どこまで見える化するかによりますが、管理コスト、修繕コストも馬鹿になりません。家賃計算の根拠にもなりえますので、可能な限りきちんとデータを蓄積していくことをおすすめします。あわせて、どこまでの費用、売上であれば収益がでるのかをシミュレートできるようにするのも良いでしょう。管理コストは変動的なため、管理にかける労力や費用のコントロールに役立ちます。

Point.2 入居者管理と統合し、稼働率の詳細管理を可能に

システム化することのメリットの一つに、複数のデータを互いに紐付けることで有用なデータとして活用できるというものがあります。不動産管理を行うのであれば入居者の管理は常についてきます。その顧客情報や属性をシステムに登録することで、物件ごとの稼働率といった基礎データはもちろん、どういった物件にはどういった年齢や家族構成の申し込みが多いのか、また、どれぐらいの平均滞在で部屋毎の人気分布などはどうか、といったレポート機能を実装することができます。

物件数が増えれば増えるほど、物件毎のきめ細やかな入居率UPの施策を実施しにくくなりますが、システムが考える部分を力強くサポートすることで、少人数でのチーム運営を可能にします。「あの物件のことはあの人に聞けばいい」でわかるうちはいいのですが、外出続きでその人が捕まらなかったり、そもそも担当する物件が多すぎて詳細までわかる人がいないという状態になってからでは遅すぎます。業態拡大にあわせて、先手先手で手をうっておくのが理想的ではあります。引き継ぎの際もシステム内の情報が整備されていれば大きな混乱がなくなる効果も期待できます。

Point.3 確定申告や決算と連動

1年に1回、決算や確定申告といった避けては通れない税務イベントの準備のために寝られない日々がある人も多いのではないでしょうか。仮に税理士に丸投げしている場合でも、工数に応じて報酬が決まるので、たくさんの作業を必要とする依頼は結果として大きなコスト要因になりがちです。

システム上に正確なデータが蓄積された次の段階として、税理士にそのまま渡せるデータの出力機能をお勧めします。売上項目や費用項目を弥生会計形式のような相手の求めるフォーマットで出力できるようにシステム対応します。こうすることで税理士報酬のコスト削減交渉が可能ですし、自社内で経理部隊がいる場合はその工数削減につながります。請求書発行を行っている場合には、請求書の発行もシステムで行えるようにするのも一つです。ペーパーレス化も進んできていますので、これを機に紙の請求書をやめて、PDFでオンラインで閲覧してもらうのも有効でしょう。

会計ソフトやクラウド型の会計サービスの書式に対応するのも良いでしょう。こういった設計が自由にできるのもシステムの良いところでもあります。

地味なツールこそ、脱エクセル化を

エクセルは非常に優れたツールです。使い込めば使い込むほど万能ですし、通常の業務に関することでできないことはないかもしれません。

ただ、その便利さゆえにエクセルだけで戦ってしまいがちなのも事実です。WEBアプリケーションとして管理ツールを構築することのメリットを考えると、そのエクセル縛りの思考法はもったいないと言えます。

新しいツールや仕組みを導入するのはいつでも怖いものです。少しずつでも自社が求めている機能とその最適な実現方法を話し合い、未来につながる投資につなげてください。

開発スタッフのコメント
こうしたシステム化のメリットは何よりも見える化でしょう。特に入居や退居、修繕といったスケジュールが入り組む場合に俯瞰できれば、とても見通しがよくなります。もちろん、スケジュール通りにいかないこともありますので、そうしたバッファー期間を設定できる機能をつけるのも有効でしょう。情報を集約し更新し続けるからこそ、間違いのない意志決定がスピーディーに行えるようになります。