ミスを無くしつつ回転数を高められるか
パーティーや結婚式といった晴れやかな舞台で必要となるドレス。着る回数が限られるだけに、レンタルで済ませる人が多いのではないでしょうか。今まではどこぞの貸し衣装屋にいって試着してといった流れが普通でしたが、インターネットの普及に伴い、ネット型のレンタルサイトやドレスの販売サイトが増えてきています。
運営会社の形態は無店舗や実店舗併設など様々ですが、実店舗併設の場合は在庫置き場を店舗と兼用していることが多いため管理が頻雑になりがちです。また、買取といったオプションを用意していたり、最初から新品の販売を行っていたりする場合も管理が複雑になってしまいます。
スタッフが何度も実物を確認しながら、エクセルを更新して管理している、といったところもまだまだ多いのではないでしょうか。人力での管理は手間がかかりますし、ミスも多くなってしまいがちです。
今回のテーマは、こうしたドレスに代表される衣装をレンタル及び販売するサイトの管理システムを取り上げたいと思います。どのようなポイントに注意してシステムを構築すれば、業務効率と高いお客様満足度の両方を実現できるのか、考えてみましょう。
Point.1 在庫位置は移動中も含め精緻に管理
実店舗とネット店舗が併存している場合、在庫が今どこにあるのかがとても重要になります。ネット店舗用の倉庫にあるのか、実店舗にあるのか、また、実店舗と一口にいってもどの店舗にあるのかといった管理をしなければ、お客様への納期回答や商品確保もままなりません。
通常であればどのお店にその商品があるのか、といったところで管理レベルは終了しますが、さらに一歩踏み込んで移動中というステータスまで管理するようにします。こうすることで納期計算が1〜2日ずれることを抑制でき、ネット店舗の納期表示が正確にできますし、他店からの取り寄せの場合の納期回答も正確に行うことができます。
とはいえ、在庫位置を精緻に管理すること自体のコストがあがってしまっては意味がありません。商品には専用の在庫IDがプリントされたタグをつけておき、バーコードリーダーでスキャンするだけで出荷及び検品が自動的に行われるようにします。スキャンされた情報はシステムに送信され、在庫位置を自動的に最新情報に更新するようにします。専用のバーコードリーダーの準備が難しい場合やそこまでの投資や導入は困難という場合には、会社用に支給しているスマートフォンで登録できるようにするのも良いでしょう。
原理的にはこの在庫位置情報を基にすれば、ネット店舗のお届けまでの日数情報や、実店舗間での取り寄せ予定日がほぼ正確に計算できます。それに加えて店舗間の住所と配送に要する日数をシステム上に登録しておけば、配送会社による遅延がない限り確実な計算が可能になります。あとは商品の状態も適切に管理できれば理想的ですが、修繕管理は別で管理しているところも多いと思うので、在庫の所在を正確に把握することが最初の大きな第一歩になるのではないでしょうか。
Point.2 画像情報は全店で共通使用。魅力的なプレゼンテーションを
ドレスの商品画像はシステム上で管理し、商品ごとにネット店舗から実店舗まで全店で共通利用できるようにします。ネット店舗では商品ページに掲載されますし、実店舗ではiPadなどのタブレット端末で表示し、他店在庫や自店舗のバックヤードにある商品のプレゼンテーションを行うことができます。顧客が気に入ったものがあればその場で仮押さえをし、後日店舗に輸送して実際に試着してもらうという流れを、非常にスムーズに行うことができます。
商品情報もあわせて共通管理しますので、現場で修繕必要箇所を発見した場合や、お客様の試着感想を聞くことができた場合などにどんどんと情報を蓄積していくことができます。今までは各自が好き勝手なファイルやメモで管理していた情報が一元化されることで、経営改善・業務改善のスピードが加速します。このように、情報が即時で多方面に展開できることのメリットは大きく、今まで見えていなかった現場が見えるようになってくる効果があります。とりわけ経営チームが物理的に全店舗を把握しにくいからこそ、その意味がさらに増すと言えるでしょう。
Point.3 回転の悪い商品や予約の間日がある商品などを視覚化
ドレスなどの貸し衣装は、その商品が減耗しすぎない限りいかに回転させるかが収益向上の鍵をにぎります。在庫はしているもののなかなか利用がない商品は値段を下げてでも回転させなければいけない場合もあるでしょうし、予約と予約の間にぽっかりと穴が空いてしまっている商品の隙間を埋める販促活動が必要な場合もあると思います。
こうした要対応商品はわかりやすく視覚化し、現場レベルで参照できる情報として周知徹底することで商品回転率を高めることができます。もちろん現場レベルでの創意工夫は求められますが、何を売ればいいのかが明確になっていることで、より知恵が絞りやすくなるのも事実です。視覚化し現場のやる気を引き出すためにもシステム上で簡単に表示できるようにしましょう。
ドレスの数が多いと、どれを提案するかがどうしても一部の商品に偏りがちです。それが実際に顧客のニーズに合致するものであれば良いのですが、単なるスタッフの好みだったり、取りやすい場所に置いてあるだけだったり、という場合には注意が必要です。在庫回転率のような経営上の指標をうまく反映したサジェストリストをスタッフが利用できるようにすることで、顧客的にも経営的にも非常に有効な提案活動をサポートできるようになります。
資産である商品の価値をさらに高めるシステムを
衣装を現場で売るのはスタッフでありECサイトですが、商品の回転率を高めることで資産価値をさらに引き上げてくれるのはシステムです。決して主役ではないものの、その可能性は計り知れないものがあると思います。
ネット店舗であればよりリッチな体験を提供するために、そして実店舗であればその店舗にある在庫以上のプレゼンテーションを行えるようにするために、考え得るポイントは他にもいくつでもあると思います。ビジネスを加速させるシステム構築を是非ご検討ください。