競争激しい美の世界

男性でも女性でも、日ごろからヘアサロンのお世話になっている人が多いのではないでしょうか。行きつけの店があり、いつもの担当さんがいる人が全体に占める割合がどれほどかはわかりませんが、常に一定数の人がヘアサロン難民と呼ばれる状態にあると言われています。

新しいヘアサロンを開拓することに命をかけている人も一部でいますが、多くの人はヘアサロンの雰囲気があわなかったり、仕上がりに満足できなかったりで一つのヘアサロンに定着することなく難民化してしまっているのではないでしょうか。クーポンのお得な店だけを延々とめぐるクーポンハンターなる人達も存在し、ヘアサロンの新規客獲得とリピーターの確保は、熾烈な競争となっています。

そうした浮動層を確実に取り込んでマーケットとして成立しているのがヘアサロンを検索できるサイトです。広告料をヘアサロン側から回収し、ユーザーには無料で情報提供するビジネスモデルが基本ですが、地域や切り口で特化したサイトと全国展開の大手が共存する状態になっています。

今回のテーマは、こうしたヘアサロン検索ポータルサイトのシステム開発です。どのようなポイントに注意して構築すればユニークでユーザーの支持を集めるサイトに育てていくことができるのか、複数の視点で考えてみたいと思います。

Point.1 検索条件設定を柔軟かつ多層的に

ヘアサロンの登録数が増えれば増えるほど、都市部を中心に「探し疲れ」が発生しやすくなります。いくら好みのヘアサロンを探すためとはいえ、何十、何百という検索結果を探していけるほど根気のあるユーザーはそう多くありません。

ここで肝になるのが検索の多層化です。通常の検索というと地域やフリーワードが基本になります。そこに特集と銘打って共通の属性を持ったヘアサロンを抽出表示するのが一般的ではないでしょうか。それに加え、スタッフの平均年齢やヘアサロンの広さ、営業時間の長さなど、複数の軸や柔軟なタグで検索できるようにすることで、好みのヘアサロン探しのストレスを大幅に軽減します。

もちろん検索結果は徐々に絞り込んでいけるようにし、絞り込む度に画面が遷移するのを長時間待つといったことを避けるためにJavascriptで制御することで画面遷移無しに検索結果を変化させます。大きく探しつつも小さく絞り込める検索機能でユーザーの利便性を高めましょう。同時に、広告プランの利用で表示順を調整したい場合も、うまく共存させる必要があります。PR店舗が露骨に登場しすぎたり、全然関係のない地域に表示されたりするようであれば、PRの意味もありませんし、ユーザーもストレスがたまります。PR表示も情報として適切となるようなアルゴリズムを検討するようにしてください。

また、検索条件を最初からすべて表示する必要もありません。多すぎる検索項目は探するのをあきらめさせてしまうので、必要な時に検索フィルタを展開して絞り込みを行えるようにして、画面を基本状態ではシンプルに保つべきです。

Point.2 ヘアサロン側が情報更新を可能に

最初の登録時にもらった情報をいつまでも掲載し続けているのはサイトが死んでいるのと同じ状態です。割引だけが売りのサイトであれば別ですが、ヘアサロン毎の個性をしっかりとユーザーに伝え、最適なマッチングを後押ししたいのであればヘアサロン側の掲載情報に変化の要素を持たせるべきです。

スマートフォンの普及によって、パソコンを普段使わない人にとっても情報の発信が容易になりました。カメラが当たり前についているスマートフォンのアプリから最新情報を投稿できるようにシステム対応することで、静的な情報サイトから動的なライブ感溢れるサイトに生まれ変わります。

店側も少ない手間でより多くの見込み客が確保できるのであればこうした取り組みに協力してくれるはずですが、抵抗がどうしてもある場合は、既にヘアサロンが運営しているX(旧Twitter)やブログの最新情報を自動で取り込むだけでも意味があると思います。写真や動画の方が慣れている、という店舗であればInstagramやTikTokの情報を取り込めるようにするのも良いでしょう。フレッシュな情報で満載な状態が維持できれば、ただのポータルサイト以上の存在価値を持つことができます。画像はもちろん、動画での発信をサポートするような機能開発に取り組んでみてください。

Point.3 編集目線でスタイリストをタレント化

システムを構築することで実現する検索性や情報更新性をきちんと整備する一方で、運営スタッフが手動で編集する企画コンテンツの充実も図ります。ヘアサロンを取り上げるのはどうししても似たり寄ったりになり、ユーザーへの新鮮味に欠けるので積極的にスタイリストにスポットライトを当てます。

その人のポリシーや経歴、カットの得手不得手など、豊富な写真とインタビュー記事を交えながらその人となりを魅力的に伝えましょう。運営側の持ち出しで一定数のインタビューを行い、その効果が見て取れるようであれば有料メニューの一つとして加えるのも有効です。編集コンテンツは手間と工数が必要ですが、それをする価値がある場合もありますので、検討してみることをおすすめします。

ただ、スタイリストはどうしても出入りが激しいのも事実です。情報がいつまでも古く残ってしまわないように、簡単に表示制御や、内容の修正が行えるようにしておくことも重要です。

違った切り口の情報提供を

クーポンの投げ売りや情報のだだ並べにはユーザーはお腹一杯の状態です。規模は小さくとも、しっかりとした情報を伝えるサイトには確実な支持が集まるものだと思います。

広告収入から成果報酬への流れや、ヘアサロンの廃業率の高さなど、憂慮すべき経営課題は多々あれど、まずは他にはない優れたポイントを確立するのが最初の一歩だと思います。そのためのシステムであり、編集コンテンツではないでしょうか。

大手とは違う戦い方、他にもこだわれるポイントはいくつでも出てくるはずです。アイデアだしからのご協力も厭いません。ご興味ございましたら、お気軽にご相談ください。

開発スタッフのコメント
ヘアサロンであればカット事例を蓄積しているところも多いと思います。そうした事例をただ並べて表示したり、あまり絞り込めない検索軸だけ準備したりするだけではユーザビリティがあがりません。どういう雰囲気か、どういうテーマか、毛の質や費用感等、様々な軸で検索したり、絞り込んだりできるタグ付け、フィルタ付けの機能実装も検討の価値があります。