迅速な対応が重要
パソコンが一家に一台以上あるのが当たり前になりつつありますが、その一方でパソコンの使いやすさはそれほど劇的に改善していないように感じます。そのギャップを埋めるために存在する市場がパソコンの訪問設定・修理サービスです。一昔前まではまだまだパソコンを持つ人も多くなかったので一部の高齢者向けのサービスと思われている節もありましたが、パソコンやスマートフォンの普及に伴い、家電量販店などでも当たり前のように扱われるサービスになってきました。
電話やメールで依頼を行えば家に来てくれて、プリンタや配線など、家の環境にあわせてうまい具合に設定してくれる安心感は根強い支持を得ています。最近では家電量販店やインターネットプロバイダーとの連携など、その活躍のシーンは拡がり続けています。
今回はそんなパソコンの訪問設定・修理サービスを手がける会社の根幹とも言える顧客管理と技術者の訪問スケジュールを管理するシステムについて考えてみたいと思います。どのようなポイントに留意して構築すれば、顧客満足度を向上させ、ビジネス基盤を強固にできるのか考えてみましょう。
Point.1 最適な訪問ルート算出に役立つ機能を充実
技術者の1日の時間は限られています。訪問設定を行っている時間を削ることはそのままサービスレベルを落とすことにつながりかねないので慎重に行うにしても、移動時間というのは少なければ少ないほうが労働生産性が向上します。移動時間は必要ではあるものの、それ自体に大きな価値をうむものではないので、可能な限り最小化したいところです。
まず、依頼のあったユーザーの訪問日程を決める段階で、どの日程であれば近しい地域の予約があるかを即座に確認できるように予約受付画面を構築します。メールでの依頼であれば確認時間が十分にあるので問題ありませんが、電話でも即座に対応できるよう、使い勝手には最大限の配慮を行います。相手に希望日が特にない場合は、ある一定の期間範囲内で、巡回効率が高まる日程を確保するようにします。こうした算出が即時で行えることに意味があります。電話口で待たせるのはなかなか限度がありますし、日程は別途ご連絡にしてしまうと、依頼者の満足度も下がるだけでなく、連絡がつかない場合に業務負担が高まってしまいます。
また、予約時間に関しても、既に予約の入っている家々との位置関係をGoogleマップの機能を活用する等して即座に確認できるようにします。こうすることで街の端から端をいったりきたり、といった無駄な移動を最小限にすることができます。業務で使用しているナビがあれば、そのようなナビと連携したりするのも良いでしょう。
Point.2 オンラインサポートや対応履歴を一元管理
どのような訪問設定を行ったか、といった対応履歴を顧客毎にまとめ、次回の問い合わせ時にスムーズに対応できるようにします。また、独自のサービスとしてオンラインサポートを設置し顧客満足度を高めます。「すぐにつながる」という安心感は非常に訴求力の高いポイントですので、自社内のサポートスタッフや、外注でのコールセンターなどをうまく活用しながら、その体制を構築できるのであればベターでしょう。
オンラインサポートでの対応履歴がうまく各部署に共有されなければ安定かつ一貫したユーザーサポートが行なえませんので、オンラインサポートでの質問とそれに対する回答も、訪問での対応履歴と同じシステム上で管理することで、長期にわたり安定したサポートを行える体制を築きます。過去の対応履歴から希望の情報が抽出できなければ意味がないので、検索して見つけやすくするという部分にも配慮してみてください。
Point.3 攻めの御用聞きをシステムがサポート
依頼があってから動く、というのを第一ステージとするのであれば、依頼がある前に動く、という第二ステージをシステムを活用することで目指します。具体的には前回の対応から一定期間があいたユーザーや、特定の条件を満たしていて、問題が再発しやすい時期がきているユーザーをシステムが抽出し、スタッフがすぐに電話やメール等の手段で御用聞きの連絡を行えるようにします。
無理な売り込みはトラブルのもとですし、ユーザーの満足度を下げてしまいますが、適切かつ魅力的な提案は、クロスセルの機会をひろげてくれます。単純な御用聞きだけでなく、ためになる関連情報や活用情報、最新のアップデートなどの案内も添えれば、さらにユーザーの満足度を高めることが可能です。こうしたお知らせ管理も同一のシステム上で行えるようにし、労働生産性をさらに高めます。
修理の案内ではなくても、例えば消耗品の交換タイミングのお知らせなど、商材やサービスにあわせてお知らせすると喜ばれることがあると思います。こうした細かい情報提供をシステムを活用することで実現してみてください。
狩猟型ではなく、農耕型のビジネスモデルへ
パソコン訪問設定のサービスが勃興する中、新規依頼をただ待っているだけでは厳しい時代がきています。これまでの新規偏重の狩猟型ではなく、リピーターを育てる農耕型のビジネスモデルへの転換が求められているのではないでしょうか。
リピーター型ビジネスモデルへの転換は、あくまでも顧客満足度の高まるかたちで実現しなければ意味がありません。継続的なコミュニケーションと、ユーザーにとって本当に意味のある情報提供を続けることで、永くお付き合いできる関係が醸成されていくのだと思います。
たくさんのユーザー一人一人と顔の見える関係を構築するのは至難の業ですが、システムを最大限に活用することでできることも多々あります。まずは一歩、システムという大きな武器を活かすという方向へ踏み出してみることをお勧めします。