自社メディアとの管理コストを大幅減

不動産、特に賃貸業・紹介業を営んでいる会社であれば、HOME’Sやそれに類するサービスを利用されているかと思います。会社によっては、HOME’Sに物件登録を先に行い、そのデータを自社サイトに移すといった作業を行っているところもあるかもしれません。いずれにしても、取り扱う物件数が多ければ多いほど大変な作業になりがちで、数はこなしているものの、充実した情報掲載ができているかは疑問、というところも多いのではないでしょうか。

使い勝手や集客力を優先すると合理的な判断ですが、今度は自社サイトにどうすればスムーズにインポートできるか、といった悩みが発生してきます。そこで今回はHOME’Sを中心に物件管理しているケースで、どのようなシステムを構築すれば、スムーズにデータの橋渡しや自社メディアの活性化を行えるかについて考えてみたいと思います。

Point.1 CSVファイルでのデータの一括やり取り

自社サイトにデータを移行する際に、一件一件手動でやっていたのでは時間がいくらあっても足りません。HOME’S管理画面から出力されるCSVデータを基に、一括でデータを取り込みます。必要な情報はある程度共通化できるはずですので、こうした不動産ポータル側にデータ書式をあわせてしまうというのも一つの考え方として有効でしょう。

もちろん、データの無駄な上書きや思わぬ更新を防ぐために、既に自社サイトに取り込まれているデータは更新があるかをチェックし、更新がない場合は取り込まないなどの工夫が必要です。また、物件画像がダウンロードされていない場合は、物件IDから自動的に取得し、システムの画像保存領域に保存していきます。画像データも物件数が多くなると容量がかさみますので、できる限り保存領域の容量を圧迫しないような工夫が望まれます。

物件の登録業務を行うペースにあわせて、2日に1回、1週間に1回といったペースで実行していけば、HOME’Sと自社サイトで情報更新の遅れが出ず、常に最新の情報の最大露出を図ることが可能になります。余裕があれば、自社サイトには追加で情報を設定したりできるようにするのも良いでしょう。自社サイト側は大手ポータルサイトより制限が緩いことも多いと思うので、より充実した情報発信を行うのも有効です。

Point.2 スタッフの操作ログをしっかり記録

一括のデータ更新の怖いところは、良くも悪くもデータの更新が大量に行われる可能性を秘めていることです。通常のオペレーションではミスが起きないように工夫していたとしても、起こってしまうのがヒューマンエラー(うっかりミス)です。こればっかりは無くすに無くせませんし、気合でなんとかしろ、というのも通用しません。

万が一の情報更新の失敗を防ぐために、二重三重の防御壁を築きましょう。具体的には、原因究明ができるように、誰が何をしたかの操作ログを残すこと。そして、過去の状態に簡単に戻すことができるようにスナップショット機能を実装することです。元の状態に戻すことができれば、万が一の事故にも、何日もシステムが使えなくなる、という事態に陥らずに済むようになります。もちろん、トラブルがないことに越したことはありませんが、トラブルに強くしておくのも重要な視点ではないでしょうか。

どちらもデータベースやファイルとして大きなデータになりますので、設計時点での細かな工夫が必要です。ミスをできる限り防止するようにシステム側で様々なチェックを走らせるのは当然のこととしても、情報更新の失敗は多数の物件を扱えば扱うほど死活問題です。「もしも」に強いシステムを構築することが、唯一の対応策になります。

Point.3 メンテナンスのしやすい、いつまでも使えるシステム

HOME’Sに限らず他社媒体の場合、運営元の都合で仕様が変更になることがよくあります。出稿主側に影響の及ばないものであればよいのですが、出稿主側に新しい作業や作法を求めるものであることもしばしばです。そういった変更はたいてい機能変更を伴うので、嬉しいケースも多いのですが、システムとして連携している場合には少々困ったことを引き起こします。

どれだけ気合いをいれて構築したシステムも、相手側の仕様が変わったときに対応できなければその瞬間から何の役にも立ちません。メンテナンスをし続けるという前提で構築しなければ、中長期的にシステム投資を回収することなど不可能です。システムは稼働してからも進化させ続けるもの、という考え方を持つことをおすすめします。

どの機能が仕様変更になるかは予測がつかないため、設計時に各機能を柔軟に変更できるように最大限配慮します。その上でローコストでの保守契約を結び、仕様変更があった際には迅速に対応できる体制を構築すべきです。初期構築費用はシステムを長く使えば使うほど元がとりやすくなります。長く使う前提でシステムを進化させていってください。

集客するまでは面、出会ってからは質

不動産業は、最終的には人と人とがやり取りするサービス業だと思います。ただ、どれほど素晴らしい提案力や接客力をもっていたとしても、お店にお客さんが来なければその力をいかんなく発揮することはできません。

集客の肝は面の広さ。その広さをできるだけ小さな労力で担保しつつ、本来注力すべき接客に割く時間を増やしていく。この好循環を追求していくことでしか、競争激しい業界内で生き残っていくことはできないのではないでしょうか。

うまくシステムを利用して、時間を創造する。今回のHOME’Sに限らず、不動産業特有の事情や時間のかかる作業は山ほどあるはずです。お悩みの際はお気軽にご相談ください。

開発スタッフのコメント
データの連携がスムーズでも、その基になるデータ準備が間に合わなくなってくるとせっかくのシステムが活きません。投入するデータが効率良く準備できるよう、社内の統一フォーマットを作り、画像加工や情報生成も可能な限り自動化しましょう。「これはさすがにできないでしょ」というものも、最近のテクノロジーにより自動化できる部分がありえますので、最初からあきらめずにご相談ください。