在庫の回転が命
中古車に限らず、時間の経過と共に価値が減耗していくものはいかに在庫を早く回転させることができるかが肝になります。仕入れを行ってからの情報登録までをいかに早くするか、そして訪問者が欲しくなるようなサイトを制作できるか、こういった一つ一つのことを高いレベルで実現していくことが重要になります。
ただ、そうした業務フロー構築までは手が回らず、スタッフをつきっきりで割り当てて、大手サービスにポチポチと登録しているといったところも多いのではないでしょうか。ファイルを使って一括で処理をしていたとしても、そのファイルを作るのに時間がかかっていると業務負担が大きくなりがちです。
とはいえ、少人数で運営しているところも多く、仕入れや来客対応、問い合わせ対応で業務が逼迫していることが多い中で、力業だけで対応するのにも限界があると思います。どのようなポイントでシステムを構築し省力化するか、そして訪問者に対して魅力的な機能をどのように実装するか、考えてみましょう。
Point.1 自動車マスタを自動更新
中古車を登録する際の車両名マスタを、手動で更新するのではなく、最新の販売情報を基に自動で更新します。メーカー情報でモデル番号や主要諸元といった情報も自動で取り込むことによって、車両マスタのメンテナンス業務にかかる労力を大幅に低減します。
車両、年式といった情報から簡単に車種情報が引き出せれば、様々な情報を自動的に準備することができるようになります。後は写真を準備すれば、という状況にできるため、業務効率化が進みます。選択しての情報登録はもちろん、ファイル投入での一括登録でも効果を発揮するでしょう。
Point.2 条件合致お知らせ機能を自由開放
訪問者が自分の気に入った条件を保存し、その条件に合致した中古車が入庫したらお知らせを受信できる機能を実装し、それをユーザー登録無しで利用できるようにします。こうすることで、お知らせは欲しいけどユーザー登録はしたくない、という層をしっかりと取り込め、「今すぐ客」だけでなく「いいのがあれば客」まで幅広くアプローチが可能になります。
実際、緊急の購買意欲はないものの、定期的に中古車検索サイトを閲覧しているユーザーは非常に多いため、こうしたユーザーを競合サービスに取られないように囲い込む施策はとても有効です。一人のユーザーは複数のサービスを都合にあわせて利用していることがほとんどなので、どこで競合に差をつけるかが重要です。
また、お知らせの受信手段も、従来通りのメール配信機能はもちろん、RSSも提供し、さらに全体的なお知らせはX(旧Twitter)やFacebookへの公式アカウントへ更新情報を基に自動投稿する設定にしておけば、運用の手間を抑えながら情報発信を充実させることができます。
Point.3 検索を便利に、そして表示を早く、早く
ブロードバンドが普及して、訪問者は今まで以上に「待てなく」なってきています。表示スピードが数%落ちただけで最終的な売り上げも落ちるという研究もあるぐらいで、中古車検索においても同様のことが言えると思います。おそらくみなさんも「遅いからもういい」といって、サイトを見るのをやめた経験があると思います。これは大きな機会損失です。
中古車を探しやすくするための検索機能の充実はもちろん、その表示を早くするための徹底したチューニングが必要です。データベースレベル、WEBサーバーレベル、さらにはプログラムレベルでできることが山ほどあります。ストレスを溜めないのはもちろん、サクサクと動作して心地よいぐらいの探しやすさが、訪問者の満足度につながります。
もちろん、データの数が増えていくと、その検索速度はどうしても落ちていく部分はあります。そうした中でも対策しうる領域は多くあるため、一つずつ細かな工夫を積み上げていくことをおすすめします。
Point.4 複数アカウントで中古車管理が可能
自社専用の中古車管理システムにしてしまうのもありですが、訪問者にとっては中古車の在庫数が重要であることを考えると、複数の店舗、複数の企業で中古車を登録・管理できるような設計にするのも現実的かつ魅力的な選択肢だと思います。投資負担を分散することもできますので、一社、一店舗では難しいこともある費用捻出の面でもプラスに働く場合があります。
該当の在庫車両を登録した店舗・企業に、その車両の問い合わせが送信されるといった当たり前の機能を実装しつつ、車両マスタ情報は共通利用できるので全体としての相乗効果が高まります。訪問者も参加する店舗・企業も全員がハッピーな仕組みが構築できます。他社との包括的な協業の可能性も含みつつ、大きな視点で検討してみてください。
仕入れ力を活かせる独自メディアを
中古車販売はつまるところ在庫の仕入れ力に尽きます。ただ、良い在庫車両を持っていても集客の手段やメディアがないために、大手のサービスに登録するしかないという店舗・企業も多いのではないでしょうか。
大手サイトの集客力を拝借するのは経営判断として正しいと思います。ただ、長期的な視点で考えると、自分達の強みを活かせる独自の切り口、独自のメディアを構築するために周囲と連携していくという視点を持つことも有用ではないかと感じます。