超少人数経営

飲食業界は多種多様な経営形態が存在しています。1店舗で数十人のスタッフを擁するところから、オーナー一人で切り盛りしている店まで、その規模の大小には大きな幅があります。

昨今の人材不足もあり、アルバイトの採用は難しくなるばかりです。かといって、大手チェーンに負けない待遇を約束するのも難しいところ。オーナー+1人程度の体制では、毎日の店舗運営だけでも疲弊してしまう方も多いのではないでしょうか。気合で回せているうちはいいかもしれませんが、体力の限界や、お店のオペレーションの限界もあります。何かが壊れてしまう前に、対策をうつべきではないでしょうか。

こうした、超少人数経営の飲食店をシステムがどうサポートできるのか、いくつかのポイントで考えてみたいと思います。

Point.1 注文取りの自動化

お客さんが入ってきた瞬間から、厨房は大忙しです。お水はセルフサービスにできたとしても、注文取りまではセルフサービスにすることは困難です。注文取りのために調理が中断したり、注文取りを待ってもらっている間に注文自体をキャンセルされてしまうのは避けるべき事態です。

そこで注文取り自体を自動化する方法を検討しましょう。最近では音声認識AIも進化してきたので、音声での注文受付も可能ですが、精度や客層的に操作性に不安がある場合は、スマートフォンやタブレット等の端末での注文受付を検討しましょう。

メニューの電子化まで行うと、売れ筋がわかりますし、そのまま決済までスムーズに展開できるのでお勧めです。自動化と書くと仰々しいですが、昔ながらの食券とやっていること自体はあまり変わりません。最初の導入こそ大変かもしれませんが、スマートフォンで買い物をしたことがある人のほうが多くなりつつある今、そこまで大きな混乱なく移行できると思います。テーブルには専用URLにアクセスするためのQRコードが印刷された説明資料だけ置いておき、注文をそこから行えるようにします。注文内容はリアルタイムに厨房に送信されてくるため、管理もシンプルに行えるでしょう。

Point.2 電話予約の自動化

忙しいときに限ってかかってくるのが電話。一度の電話で数分以上拘束されることを考えると、その影響は非常に大きなものがあります。かといって、未来の売上につながるので無視するわけにもいきません。完全に電話からネット予約に誘導するというのも一つですが、少なくない反発をうむ可能性をはらんでいます。

電話代行のような選択肢もありますが、結局は空き状況照会があるので意味があまりありません。そこで、簡単な自動応答の仕組みを使って、電話応対の労力を低減しましょう。

具体的には、自動音声での振り分けを導入します。今日の予約の方、明日以降の予約の方、取引先の方、その他の方といったような振り分けを用意し、それに応じてつなぎ先を変更します。今日の予約の方であればそのまま電話がなるようにしますが、取引先の方の場合は繁忙時間であればかけ直すことをお願いするようなメッセージを出すと良いでしょう。また、明日以降の予約の方は、ネットでの席予約を促すようにできれば、電話の数を減らしながらも見込み客を逃すこともおさえることができます。さらに踏み込むと電話応対自体を無くしてしまうのもなくはないですが、そこまで大胆なことを許容される業態や立地は、まだまだ限られるように思います。

ネット予約も同時に導入はハードルが高すぎると感じるかもしれませんが、便利なサービスも多くでてきていますので、自前でシステム化することと、外部サービスを利用すること、さらにそれを連携させることができれば、コンパクトな仕組みで運用できる場合があります。

適正な投資を見極める

アルバイトは万能かもしれません。その一方で、仕組みにお金を使うことは敬遠されがちです。昔ながらのやり方が好まれるのは否定しませんが、昔ながらのやり方では効率があがらないのも事実です。

なんでもかんでも自動化、システム化、AI化はやり過ぎですが、その業務は本当に必要なのか、という検証は常に必要だと思います。「追加で支出はねぇ」となる前に新しいやり方も検討してみてください。

開発スタッフのコメント
少人数で運営している飲食店にとって、システム投資というのはなかなか気が引けるものだと思います。収益性の問題からなかなか大胆なIT化ができないのはどこも同じで、結局は昔ながらのやり方で人力で対応しているところが多いのではないでしょうか。時代は確実に変わっており、客側の許容度も変化しています。設備投資の大きいものは無理でも、客側がすでにもっているスマートフォンとインターネット接続を活用して何かできないか、検討してみることをおすすめします。