保管と記録

会社が小さいうちには問題にならなかったことが、会社のサイズ、人員数、フロアの数が増えるに従って問題になってくることがあります。備品や機材の管理もその一つではないでしょうか。

性善説にのっとって信頼ベースで何も管理しないという方法もありますが、一つの備品を複数の人が同時に欲しい場合等に、「あれはどこ?」となるのは大いなる時間の無駄です。こうした無駄や、社内の不正や紛失を未然に防ぐ意味でも、備品・機材管理はどこかのタイミングで仕組みを導入する必要があると言えるかもしれません。

エクセルや紙ベースで管理したり、ホワイトボード等にまとめて書いたりするのもお手軽で良いのですが、数が増えてきたり、置き場所が複数になってしまうと破綻しはじめます。そこから一歩進んで、専用のシステムを構築するとしたらどういったことができるのか、また、どういったことに気をつけるべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 チャット連動

システム化をするにあたり、社員のみがアクセスできる画面を構築するのも一つですが、よりダイナミックな仕組みにするのであれば、チャットとの連動もお勧めです。

例えばSlackとの連動。「備品 -all」のようなチャットを投げれば、システムが現状利用できる備品や機材の一覧を教えてくれたり、他のコマンドでその備品の貸し出し状況を教えてくれるようにするのも良いでしょう。そのまま貸し出し予約もできるようにすれば、備品担当と話しているかのような感覚でBot中心のオペレーションが完成します。もちろん、ヘルプコマンドを実装しておいて、何が実行できるかを参照できるようにするのは必要です。

さらに返却期限のリマインドもチャットBotが行うようにすればよりチャットシステムとの統合が進み、「作ったけど使われないシステム」のような事態にならずに済みます。毎日使うコミュニケーションツールと統合することで、さも備品管理専任のスタッフがいるような気軽さで使えるため便利になります。

以前であれば専用の画面を作ることが当たり前でしたが、チャット中心の業務フローが珍しくなくなってきた今、専用の画面を廃し、すべてのやりとりをチャットで完結させるという究極のシステム形態も検討しても良いかもしれません。

Point.2 レポートを簡単に出力

備品や機材にも、保管コストや維持コストがかかっています。普段、なかなか目に付かないと、そういった見えないコストは放置されがちですが、システム化し、貸し出し履歴が蓄積されることで、その備品の稼働率や消耗度といったデータが可視化されます。一定の基準を設けて入れ替え、または廃棄を進めるのであれば、そうしたアラートが自動的に表示されるようにするのも便利です。

さらに進んだ機能としては、その備品ごとにレビュー機能やコメント機能をつければ、備品や機材についての社員の満足度を調べたり、使い方のコツのようなノウハウを蓄積したりすることも可能です。

こうしたデータを基にレポートを作成し、備品の入れ替えや廃棄の意志決定を行う人へ自動で送信するようにしましょう。決算前など、特定の時期にそういった棚卸し的な機会を設けるのも良いと思います。棚卸しの必要性はないかもしれませんが、数があっているか、まだ使える状態か、といったことは定期的に確認すべきです。こうしたチェック作業が効率的に行なえ、かつ、忘れないようにする工夫として実装してみてください。

Point.3 権限や量調整も追加可

単純に貸し出し履歴を管理したいだけではここまでの機能は不要ですが、貸し出し希望者の属性に応じて、貸し出し可否や、選べる備品の種類、さらには貸出期間を制御することも可能です。特に社内で人気の備品などは、優先度を設定したい場合もあるでしょう。さらにそこに順番待ちリストのような機能もつければ、公平性は増しますし、どういった機材を増設すべきかという判断材料にもなります。

順番待ちの順番がくれば自動でお知らせする機能も実装しておけば、担当者が介在しなくても、自動的に備品の貸し出し・返却フローが流れていく状態が実現できます。実際には備品状態のチェック等が入るかもしれませんが、そこまでの管理が必要ないものであれば、ほぼ無人での運用も可能でしょう。記録をしっかりと残るようにすることで、履歴が追いやすくない、無人運用でもリスクが高くない運用が実現すると言えます。

攻める備品管理

今までのポイントで述べたこと以外にも、備品ごとに売上や利益に貢献した度合いが可視化できれば、それはまた成長投資の判断材料として有用になってきます。備品以外にも図書や施設等、広範囲に応用できる考え方ですし、小さい手間の削減から大きな経営判断の精度アップにつなげることも可能ですので、備品・機材管理のシステム化を是非前向きに検討してみてください。

開発スタッフのコメント
備品というのは気づいたら壊れていたり、誰かが返却忘れてしていたりと、捜索大作戦が行われがちではないでしょうか。貸し出しリストのファイルも誰のパソコンのどこにあるかもわからなくなってしまうので、データの管理や実際の備品の予約受け付けで頭を悩ませている人も多いと思います。このためにわざわざシステムを作るのは大げさかもしれませんが、備品の数が多ければ現実的な選択肢になってきます。設備予約もあわせて統合してしまえば、かなりの数の会社にとって現実的な選択肢になるのではないでしょうか。