ゴミで溢れる時代

今にはじまったことではありませんが、現代はゴミの時代です。大量商品、大量廃棄をやめようという気運が高まりつつはありますが、それでもゴミの量自体は多いままです。

大半の方が行政のゴミ収集サービスを利用している一方で、マンション等の集合住宅であれば独自の集配サービスや24時間ゴミ出し可能なゴミステーションといった便利なサービス、設備が利用できる場合もあると思います。ですがそういったサービスや設備がない方にとっては、曜日を守る必要があったり、あまり早くだすとカラスにあらされるのを気にしたりと、ゴミ出しに伴う苦痛は少なからずあるようです。最近では自治会がらみのゴミのトラブルもあり、ゴミを自分のペースで出したいというニーズは少なからず存在しているようです。

今回は、こうしたマンション向けにとどまらず、戸建て住宅にも毎日ゴミ出しできるサービスを提供すると仮定した場合に、その裏側を支えるシステムはどうあるべきかについて考えてみたいと思います。

Point.1 集配スケジュールの自動管理

競合サービスが行政サービスになるため、あまり高いサービス価格を設定することはできません。自ずからいかに効率的に運営するかが問われる事業と言えます。

サービスの申し込みから、週に何回回収して欲しいといった情報はすべてWEBサイト、またはスマートフォンアプリから申請してもらい、それをもとに集配スケジュールが自動的に作成されるようにしましょう。加えて、回収間違いや、不正相乗りを防ぐためにも、何か識別可能な申し込み番号を発行するのも良いかもしれません。

どの地域に何件あって、どういうルートがまわるとよさそうかがすぐに検討できるよう、地図上にプロットしたデータを簡単に出力できるようにすると共に、GooogleMapのナビゲーション機能と連動し、回収担当者が道に迷わないようにすることも可能です。スケジュールでの回収に加えて、オンデマンドでの回収に対応するのも一つでしょう。大掃除の後など、今すぐ捨てたい、というニーズに対応できるとしたらチャンスが拡がります。

Point.2 集配あたりの収益計算の効率化

回収ルートごとの件数や距離、所要時間をもとに、そのルートの収益がいくらかがすぐにわかるようなレポート機能を作成しましょう。どのルートが黒字でどのルートが赤字なのか、また、どれぐらいの余力があるのかといった情報が簡単に判別できれば、そのルート内で新規客獲得の営業活動を活発化させるなどの対応が可能になります。

また、回収量もあわせて管理することで、日におうじた予想量や、1台で回収しきれるのか否かといった予測をたてることができるようになります。こういったデータは、車両の必要台数やシフト勤務管理にも役立ちますので、より最適なサービス運営が実現します。収集車は大きければ大きいほど効率はあがりますが、それ自体の維持コストや、道路の幅の問題もあり、小回りがきくのは間違いなく小さな車両です。収集効率とサイズの適正化を両立するために、データを中心に検討すべきでしょう。回収しきれずにもう一回行くはめになった、ということも減らすことにつながります。

Point.3 販促活動の効率化

仮にルート上の客数が少ないがゆえに、赤字の回収ルートがあったとしたら、1ヶ月間お試し無料といったキャンペーンを行って、ルート上の顧客件数を増やす努力をしましょう。どのエリアにチラシを配布すればよいかはシステムのレポート機能からすぐにわかるようにすれば、PDCAのサイクルを効率的に回すことができます。

最近では地域指定のマーケティング手段も増えてきていますので、赤字ルートの地区には自動的に広告出稿を行うといったことも可能です。回収ルートの余力を鑑みながら、出稿と停止をシステムが自動的に管理できるようにすればさらに効率化が進みます。新しいエリアに対応地域を拡げる際には集中的な広告出稿も有効です。地道に、ではルート効率が高まらないため、集めるときはしっかり集めるというアプローチがおすすめです。

こうした集配と販促をエリアに集中して投下することで、できる限り密度の濃い商圏を形成できます。広く浅くよりも、こうした狭く深くのほうが収益性が高まるためお勧めです。

毎日を便利にするサービスを

たかがゴミ出しですが、されどゴミ出しです。毎日発生するゴミを、気軽に捨てることができれば、毎日が快適になります。こうした、毎日を便利にするサービスの需要は、決して大きくはないまでも確実に存在します。

サービスを実現するための効率化は相当なレベルが求められますが、洗練されたシステムを武器に、ニッチマーケットを攻め上がってみてください。

開発スタッフのコメント
日本は公共のゴミ収集サービスが充実しているため、基本は行政のサービスを利用するので事足りるかもしれません。一方で、ゴミステーションが遠かったり、量の問題で手間だったりする場合には、自宅先まで回収に来てくれるのは非常にありがたいことです。富裕層向けサービスと割り切るのであれば価格は大きな問題にならないかもしれませんが、それではマーケットが小さすぎます。システム化を進め、業務効率を突き詰めることで、競争力ある価格を実現してみてください。