人を育てる時代

「人材採用に苦労している。」これはどの会社も抱える大きな悩みの一つではないでしょうか。一部の超人気企業をのぞき、ビジネスの拡大にあわせて人を臨機応変に採用していくのは困難です。適材適所となればなおさらです。中途採用のエージェントに大きな費用を払っても、なかなか満足のいく採用が行えていないという企業も多いのではないでしょうか。

そこで改めて見直されているのが、人を育てる路線。長期的な人材を育成し、さらには離職率を下げることにもつながれば、コスト面でも効果面でも、非常に優れた方向性であることは間違いありません。優秀な人材は間違いなく競争力の源泉になるため、自前の育成システムが確立することのメリットは計り知れないと言えるでしょう。

今回はこうした人を育てる体制づくりに役立つ、社員研修・トレーニングのEラーニングシステムについて考えてみたいと思います。いくつかのポイントで早速整理してみましょう。

Point.1 タブレットで空き時間に視聴

無線LANやタブレットが非常に低いコストで利用できる時代になり、社内向けのEラーニングシステムもタブレット前提が非常にお勧めになりました。最近はタブレット自体の性能も向上し、動画の視聴にも支障がなくなったのも大きな理由の一つです。

Eラーニングシステムをタブレット前提で構築することで、気軽に場所を見つけて視聴することができます。デスク環境が中心な本社でも、スペースに限りのある現場でも、非常に柔軟性が高く運用することができます。こうした端末を選ばない学習環境の整備は当たり前に求められるようになっており、パソコンやスマートフォン、タブレット等、場所や視聴環境に依存せずに、スキマ時間を有効活用できるように配慮してください。もちろん、パソコンでも視聴できるようにすることで、クロスデバイスな視聴環境が整うでしょう。

Point.2 履修状況の視覚化

従来の社内研修システムは、履修状況の視覚化が不十分なものが多くありました。何を終えたかは一覧できても、それがどういう意味を持つかまでは踏み込めていなかったように思います。

研修メニューは「何をテーマにしたものか」を明確にした上で、一歩一歩進んでいることを視覚的にしっかり伝えてやる気を刺激するようにしましょう。また、ある程度の社員数がいるのであれば、どれぐらいの人が今同じ段階にいるのか等を視覚化するのも、やる気を刺激したり、毎回の履修に変化をつけたりするのに効果的です。

履修状況は管理者が俯瞰できるようにしておき、ペースが落ちている社員や、逆にスピードが速すぎる社員等をフォローできるようにしましょう。履修状況にあわせて、何かしらのバッジや称号を付与するなど、ゲーミフィケーション的な遊びの要素を散りばめるのも良いでしょう。毎回のセッションに対して確認テストのようなものがあるのであれば、そのスコアの下位20%に対して何かしらのフォローをするといったオペレーションも良いでしょう。

Point.3 動画コンテンツの効率管理

Eラーニングシステムにおいて、コンテンツの鮮度を保つのがとても重要です。日々変化する事業内容や事業環境と、研修コンテンツの中身がずれていては意味がありません。

文字だけの読ませるコンテンツであれば、内容を検索しやすいので修正が入りやすいのですが動画コンテンツとなると修正が遅れがちというのもよくある話です。動画コンテンツの数が少なければ手動で文字起こししておくのも一つですが、動画コンテンツが大量の場合は、動画を自動的に文字起こしする仕組みを整えておくのも一つです。

具体的には、動画の内容を解析し、文字に変換してくれるサービスの利用などです。Amazon等が、サービスとして文字起こしの機能を提供しています。こうした機能のAPIと連携することで、システム内のコンテンツを文字化し、修正が必要なものを見つけやすい体制を効率的に構築することができます。文字列であれば検索も慣れ親しんだ技術が使えるため、低コストで検索体制を構築できるでしょう。

今後も文字起こしのサービスの精度は高まることが予想されるため、人の手に頼らないながらも、規模も精度も高い仕組みづくりを構想してみてください。

魅力的なコンテンツ作りに時間を

人事部の仕事は、社員研修システムを運用することよりも、魅力的なコンテンツを作ることにあるはずです。とはいえ、日々の更新運用に追われ、なかなか肝心の中身にまで手が回っていないところが多いのではないでしょうか。

コンテンツの追加、更新にかかる「不要な時間」を撲滅し、中身に注力できるシステムを構築することで、研修内容のレベルアップ、さらには社員能力の底上げにつながります。今の時代に利用できる仕組みを最大限に活用した、効率的なシステム構築を検討してみてください。

開発スタッフのコメント
人材育成というのはなかなか難しいテーマです。トレーニングを提供する側も、受ける側も多くの時間と労力を必要とするだけに、常に不平不満が渦巻いているジャンルでもあります。双方の労力やストレスを少しでも軽減するためにも、統合的に管理しうるEラーニングシステムは有効です。実務に紐付かないものでは意味がありませんが、タイムリーに必要な知識を提供できれば、利用率はもちろん、実際の効果も高まるのではないでしょうか。