いたちごっこ

ネット広告市場の拡大に伴い、それを規制する法整備も進んできました。GoogleAdwordsやYahoo!リスティング等、検索連動広告と呼ばれる分野でも、広告出稿に際しての審査は年々厳しくなってきています。広告サービスを提供している側も、悪質な広告や公序良俗に反するものとの戦いを行なっており、人力では到底対応できないような量をさばくために、自動審査に頼らざるを得ない背景はあります。

とりわけ、医療広告の分野は規制が強いこともあり、なかなか思うように出稿できない、または、出稿していたものが審査落ちして出稿停止になる、といった事態も多く起こっているのではないでしょうか。その度に修正対応する必要があるのはもちろん、審査落ちの理由が開示されないことも多く、よくわからない中で修正・登録を繰り返して時間をとられるというケースも多いようです。

いかにして効率的に審査対策を行うか、その一つの切り口は、自社内でそのチェックを効率化する方向性です。今は人力でやっていることを自動化することで、効率化と精度が高まることが期待できます。さっそくいくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 NGワードを簡単に追加していける

薬品名や登録商標、若返りといった効果効能を約束する文言など、医療広告ガイドライン特有のNGワードが数多くあります。こうしたキーワードは常に変化するため、簡単にメンテナンスできる必要があります。

システムのユーザーインターフェースを工夫し、簡単にNGワードを登録できるようにしましょう。単語単位はもちろん、その単語の関連語などもサジェストして登録できるようにすると、メンテナンスにかかる時間を短くすることができます。

こうしたNGワードをもとに自社サイトをチェックすることで、NGワードによる審査落ちを防止する効果が期待できます。自社サイトにアクセスを大量に捌く能力があるのであれば、こうした自サイトチェックも、自前のクローラーによって自動化することも可能です。気づかない間にWEBデザイナーがいれてしまった文言が、自動的にチェックされる状態を作り上げることができます。

Point.2 危険度をスコア化して俯瞰

広告審査は、着地先ページのみならず、そこからリンクしている先も見られています。そこで、対象ページからのリンク先を同様にチェックし、サイト全体の危険度を視覚化するようにしましょう。

全体を一覧してどのページが特にリスクが高いかがわかれば、そのページへのリンク(導線)を絞るという対応をとることができます。また、修正漏れや思わぬ迂回導線の発見にもつながるため、サイト全体を俯瞰して見ることはとても重要です。各ページのリスク度をスコア化し、色分け等で直感的に現在のサイトの健康状況をわかるようにすることも重要です。

審査の振れ幅はもちろんあるため、その危険度通りに審査に通ったり、通らなかったりするわけではありませんが、その危険度に応じてコンテンツ内容を攻めるのか、保守的にいくのかの判断材料にすることができます。何より、スコア化されることで、優先順位づけが行いやすくなり、意思決定のスピードがあがるメリットがあるでしょう。

Point.3 通知機能で連携強化

システム画面に見に行けば情報が見られることも大切ですが、チャットツールやメールを活用することで、日々の変化を簡単にチェックできるようにすることも大切です。慣れ親しんだツールに通知できるよう、システムの連携を設計してみてください。

また、こうした通知機能を強化することで、協力関係にある制作会社に自動的に通知を飛ばすこともでき、社内の担当者の負担を減らすとともに、コミュニケーションのステップ数を減らし、ページ修正のスピードを高めることも可能です。重要な広告であれば、1分でも早く再登録したいために、こうしたコミュニケーションに伴うタイムロスはゼロに近づけられる方が良いでしょう。

空白の時間を撲滅

ページ修正はどうしても、審査落ちしてから原因を究明し、修正を施した上で再審査にあげるという、どちらかというと待ちの姿勢になってしまいがちです。それでは広告出向に空白の時間を作ってしまうことになり、大きな機会損失をうみかねません。

リスク度の高いページを事前に把握、または事前に修正してしまうことで、広告出稿をとめないですむのはもちろん、修正作業の平準化にもつながりコスト削減も実現できます。人力は柔軟ですが限界があります。システムの力を活かし、広告出稿による成果を最大化してみてください。

開発スタッフのコメント
広告側の審査基準は各社それぞれですが、どのリスティング広告も日本国内の法律を準拠すべく審査を行っています。最初は掲載されていた広告も突然停止を食らった、という経験がある方も多いかもしれません。審査違反は積もり積もるとアカウント停止にもつながりうるため、事前に精度高く回避できるのであればそれに越したことはありません。担当者の経験と勘に頼るのも一つですが、その担当者を支援したり、人に依存しない運用体制にしていくためにも、補助的なシステム導入を検討してみてください。