人事の要

業務のIT化、クラウド化がどんどんと進む中で、なかなか効率化が進まないのが人事に代表されるようなバックオフィス業務ではないでしょうか。どうしても人によるチェックやセキュリティの問題、さらには情報をどう保管するかの問題も絡み、IT化のプロジェクトが立ち上がっては頓挫していくというのも珍しい話ではありません。

ですが、いつまでもアナログ、またはエクセルを駆使したなんちゃってIT化では、業務効率は高まりません。毎月月初に人事部が人力で泣きながら仕事量をこなすというのも早急に脱する必要があるのではないでしょうか。そこで働く人の数だけデータ量が膨れ上がるだけに、最初のうちはよくても、組織の成長にあわせてひずみが生じてくるのは必然と言えるかもしれません。効率化のためにエクセルのマクロ機能や関数を駆使したとしても、秘伝のたれ化してしまって使いにくいものになるだけで、長期的な解決策にはなり得ません。

今回は、そうして状況を打破する、人事・勤怠・労務管理のシステムがどうあるべきかについて考えてみたいと思います。どのようなことに気をつけて構築すべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 従来のやり方に縛られない

紙、またはエクセルと、人力チェックの組み合わせは万能であり、それをそのままシステム化しようとすると大きな困難を伴います。各項目が本当に必要なものであれば良いのですが、慣習的に残っている項目であったり、結局は管理する側、される側双方に手間だけを増やしたりしているだけという場合も往々にしてよくある話です。押印の慣習など典型的なものでしょう。その人がチェックしたかどうかというのが重要なのであって、はんこが重要でないというケースはよくあります。その場合には、きちんと承認したという記録をシステム的に記録することで代替が可能です。はんこの位置付け自体もひと昔前とは変わりつつあるので、はんこ廃止まで踏み切ったとしても反発は少ないかもしれません。

システム化とは単に現在の業務を移植するのではなく、大きく見直す最高のチャンスです。そのフローは必要なのか、その承認は必須なのか。また、その情報は本当に取得する必要があるのかを冷静に見極め、大胆にダイエットしてみてください。システムはシンプルになればなるほど、柔軟で、長期的な使用に耐え、メンテナンスコストも安くなります。あくまで目的は業務のIT化ではなく、ITを活用した業務の効率化であることを忘れないでください。

Point.2 一括編集の充実

特にエクセルからの移行の場合に問題になるのが、コピペによる一括編集ができなくなることによる入力の手間の増加です。Javascript等を駆使すればエクセルライクな操作感は実現可能ですが、それ自体の作り込みに工数を要し、また、システムが複雑になるのであまりお勧めしていません。あくまでクラウド、すなわちブラウザベースにはブラウザベースの流儀にそって開発するのをお勧めします。

具体的には、一つの操作で同様のデータを登録・編集できる一括編集機能を充実させましょう。不本意なデータの削除や上書きが起こらないように制御する必要はありますが、複数データを一括で編集できるようにするだけで、大きく操作性が改善します。また、どうしても大量に手作業で調整する必要があるデータや、他のシステムから出力されるデータが存在する場合などは、一括インポートのような機能をシステム側に用意するのも有効でしょう。データのチェック機能をしっかりしておけば、データ投入によって既存のデータが壊れてしまうといった事態も防止することが可能です。また、データチェックで引っかかったデータの何が問題だったかを指摘する機能もつけておくことで、何回もあれを試してこれを試してと試行錯誤しながらインポート処理に時間がとられるということを防ぐことができます。

Point.3 人事集権から分散管理へ

人事管理システムをシステム化したとしても、すべての作業を人事部が担っていては前と状況は変わりません。この点もメスをいれて、人事に集中していた作業を社員に分散すべきところは分散すべきです。

例えば経費精算などは社員が入力して人事部は承認するだけにすべきでしょうし、他の変更内容の登録も、出来る限り入力はすべて社員に委ね、人事部は確認・承認に徹することができる体制にすべきです。システム化により業務量の振れ幅を低減することができれば、今までどうしてもピーク時にあわせて構成していた人事部の人員配置も見直すことができるようになります。そのために経費精算が精度高く行える自動チェック機能が必要になるかもしれません。その運賃が合理的なのか一目でわかるようにするのも一つでしょう。

全体の業務量を減らすこと、そして振れ幅を減らすためにも、積極的に社員に負荷をうまく分散するフローを検討してみてください。もちろん、社員の反発を招かないように、システム導入による操作負担はできる限り軽減できるように設計すべきでしょう。

効率化と精度UPの両立を

人事や労務管理を人事部だけが担う時代は終わりました。今では月額型の便利なサービスも含め様々な選択肢が登場しています。様々な事情でそういったサービスが利用できない、または部分的にしか利用できない場合に、それを司るシステムを自社管理で構築するのは有効な選択肢の一つです。

システム自体も大切ですが、その構築を契機に見直すべきことは見直すこともそれ以上に重要です。要件定義を決して軽く見ず、しっかりとそもそも論を煮詰めて、システム構築を進めてみてください。

開発スタッフのコメント
法人組織である以上避けて通れないのが勤怠管理です。様々なサービスがある一方で、なかなか自社特有の事情により独自のシステムを構築しているところも多いのがこの領域でもあります。組織の形態がより柔軟であることが求められるトレンドが続けば続くほど、勤怠管理は複雑性を増していくというジレンマがあるのも事実です。こうしたジレンマを一つ一つ紐解いていくことができるのが独自システムの良さでもあります。取捨選択のプロセスは大変かもしれませんが、業務改善と並行して、勤怠管理のシステム化に積極的に取り組んでみてください。