外部サービスの流れに乗る

メッセージングアプリとして不動の地位を築いているLINE。日本では間違いなくNo.1のメッセージングアプリであり、そのエコシステムは膨大なものがあります。ビジネス利用が可能なように機能が追加され続けていますが、LINEでBOTを作成できるAPIが公開され、ますますLINEを起点にした接客や販促が増えていくことが予想されます。企業レベルではもちろん、最近では公共のサービスでもLINEの文字を見るようになってきました。この浸透率、普及率は他の追随を許さないものがあります。

自社独自のアプリケーションをインストールしてもらう手間がなく、既に多くのユーザーを抱えているLINE基盤で便利な機能を提供できることは、より多くの顧客と、より頻度の高いコミュニケーションができることを意味します。LINEがもともとコミュニケーションアプリということもあり、プッシュ通知等、積極的な働きかけも容易になります。ユーザー側の不安感も低く、取り組み方次第では大きな効果を期待できると言えるでしょう。

今回は、LINE BOT APIに代表されるLINEのメッセージングAPIを活用し、実際のビジネスにどうやって活かすことができるのか、またそのシステムはどうあるべきかについて考えてみたいと思います。早速いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 ネットショップの接客向上

まず考えられるのがネットショップでの活用です。既に十分な接客を電話やメールで行っていると思いますが、荷物の現在状況や在庫入荷のお知らせなど、よりパーソナルで、よりスピードが求められるコミュニケーションはこうしたBOTに委ねてしまうのも一つです。ユーザーが選択できるようにしておくことで、柔軟な運用にも対応できます。

「配送」や「荷物」といった会話に対して荷物の状況を示したり、「特売」といった会話に対してその時間のタイムセール商品を提示したりするのも良いかも知れません。LINEのアカウントとつながっている人限定で提供できるので、ほどよい距離感と限定感でプロモーションを設計することができます。メール以上にリアルタイムのコミュニケーションが可能になるので、時間、が強く関与するものには展開の可能性が広がります。

Point.2 ショッピングモールの情報拡充

ショッピングモールであれば、既に駐車場の空き状況をネットで配信しているところもあるかもしれません。いざショッピングモールに行こうと思ったときに知りたいこうした情報を、BOTを活用することで気軽に問い合わせられるようにコミュニケーションを拡充することも検討する価値があります。

ホームページが全ての時代は終わり、たくさんの情報チャンネルで配信することに意味があります。定休日や駐車場の状況、クーポンやキャンペーン情報など、特典と織り交ぜながら提供することで、モールのファンとのつながりを拡大していくことができます。単体のお店ではつながれないケースでも、モール全体となる様々なオファーやキャンペーンが展開できることもあるでしょう。ユーザーとしてもひとまとめでいけるなら、という気持ちになりやすいかもしれません。

Point.3 鉄道や航空会社の遅延情報の配信

鉄道の遅延や、航空会社のフライト情報など、最新の情報をスピーディーに知りたいものがいくつかあります。こうした情報を公式BOTとして提供するも良し、サードパーティーのBOTとして提供するも良しでしょう。配信する情報自体は既にありふれたものであってもそれが普段使っているアプリで、普段使っているインターフェースで確認できるのは大きなメリットがあります。さらにプッシュ通知の枠にのせることで、よりタイムリーに情報を受け取ることができ、利用者にとっては便利になります。メールだと確認が遅くなる人も、LINEならすぐにチェックするというのもよくあることです。

理想論を言えば本体のシステムから最新の情報を常に参照すべきですが、それが難しければ、ホームページに記載している内容との連動でも十分だと思います。はじめられるレベルで緊急性の高い情報配信を検討してみてください。

LINEつながりという資産の構築

一昔前はメールマガジンの読者数がネットビジネスの生命線でした。今もその重要性は変わりませんが、FacebookでのつながりやX(旧Twitter)でのフォロワー数、LINEでの友達数など、それぞれのターゲット層にあわせてCRMを設計していく必要がでてきています。

LINEはもう無視できない存在感になっていますので、まだLINEチャネルを販促・CRMに活用できていないなら、BOT活用の議論を機に是非前向きに検討してみてください。担当者を置く運用以外にも、システムを活用したビジネス上の強みになり得る活用法が必ずあるはずです。

開発スタッフのコメント
BOTの普及が止まりません。簡単なやり取りを行うだけだったものが、接客の一部を代替してしまったり、問い合わせ対応を補助してみたりと、その応用は今後も様々な分野に及んでいくことが予想されます。LINEでもそうしたBOT機能を活用することで、よりタイムリーに、よりパーソナライズドされたコミュニケーションを促進することができますので、自社のビジネスに組み込めないか検討する価値は十分にあるのではないでしょうか。