時代の流れ

インターネットが無かった時代、さらにはデジタルカメラが無かった時代には、学校行事の写真は、実物が掲示されて封筒で申し込むというのが当たり前でした。そもそも選べる写真の枚数も少なく、自分が写っているのが1枚しかなかったなんて悲しい話も珍しくありませんでした。

時代は変わり、デジタルカメラでカメラマンが大量に撮影したものを大量に掲示、選んで現像を依頼するというシステムを用意する写真室やスタジオ、カメラマンが増えてきました。使う側にしても、家にいながら家族で見ながら選べるので非常に便利です。これから間違いなく主流になっていく行事写真の買い方だと思います。

学校側に売上の一部がシェアされるサービスもあり、カメラマンが随行する今までのやり方はそのままに、確実に行事写真の買い方は変化していると言えます。今後はすべてインターネット上に統合されていくことでしょう。

今回は、こうした行事・イベント写真の販売管理システムについて考えてみたいと思います。どのようなポイントに気をつけて構築すれば、利用者にとって使いやすく、継続的な指名につながるシステムにできるのか整理してみましょう。

Point.1 スマホで使いやすく、見やすく

学校行事の写真など、主に確認する人が女性の場合、そのスマートフォン利用率は非常に高いものがあります。ユーザーインターフェースをリッチに作ろうとし過ぎて、パソコンでないと見づらい、操作しづらいという状況に陥ってしまっているサービスもありますが、これでは今の時代では厳しいものがあります。

今から構築するのであれば、ここはチャンスとばかりにスマートフォンで使いやすいように徹底的に配慮しましょう。操作がしやすいというレベルでとどまるのは非常にもったいないです。写真販売サイトはいかに多くの写真をストレス無く見てもらえるかが売上アップに直結します。スマートフォンでもどんどん写真をめくっていけるようにインターフェースを工夫するのはもちろん、検索やタグなど、自分の見たい画像を簡単に絞り込める工夫も施して購入点数の向上を図りましょう。細部を確認する必要がないことが多いので、画像のサイズも軽量化することで、インターネット回線の速さに関係なく、快適にブラウジングできるようにすることも重要でしょう。

さらに踏み込むのであればスマートフォンアプリにするのも考えられますが、開発コストがかかったり、利用者にインストールの手間が増えたりであまりおすすめできません。インターネットブラウザさえあればすぐに利用できるという手軽さが重要だと考えます。

Point.2 豊富な決済手段を用意

販売管理システムで決済までできるところは増えてきましたが、決済手段という面では消極的なアプローチをとっているところも多いようです。カード決済は手数料の高さから敬遠されることも多いですが、それは提供者都合の話であって、利用者からすればカード決済ができないことはあり得ません。決済手数料も3%台のものが簡単に利用可能になってきましたので、それぐらいのコストは広告宣伝費だというぐらいの気持ちでカード決済に対応しましょう。

さらに最近はamazonと連動した決済手段や楽天、Yahoo!なども決済機能を提供しています。全てに対応する必要はありませんが、想定される利用者がどうすれば一番便利になるか、という視点で、決済手段は積極的に充実させてみてください。電子マネー決済に対応できるようにすると便利にはなりますが、開発コストや支払い手数料率とのバランスを取る必要があります。まずはクレジットカードだけではじめるのでも十分過ぎると思います。

こうした決済方法は、決済代行会社のサービスに乗っかることで、複雑な部分やセキュリティが重要な部分を委ねた状態で便利に利用することができます。

Point.3 現像以外にも元データも販売可能に

プリントされた写真が当たり前の時代からデジタルカメラ、デジタルデータ全盛の時代になり、写真を生業とする人たちにとってはコピー対策が頭痛の種になってしまいました。既存の写真の販売管理システムはほぼ全て、写真の元データを買うことはできず、プリントされた写真が届くといったものになってしまっています。

ここはあえて、写真の元データも買えるようにすべきと考えます。利用者からすれば他の写真データと同様、データで管理したいというのは当然ですし、「友達同士でコピーされると売上が下がる」と思っている提供者都合を押し通して良い理由は何もありません。コピー対策は啓蒙的な発信はもちろん、技術的にもいくつかの方向性があります。どうしても心配な場合は、そうした対策を追加費用で検討するのも良いでしょう。

とはいえ、同じ値段で販売する必要はありません。仮に通常のプリント写真が100〜200円で販売されているなら、元データは5000円ぐらいの値段をつけてしまっても良いと思います。売上減以上に単価があがるのであれば、利用者に選択肢を提供することは非常に有益なことです。この機能は金額の変更やOn/Offもできるようにしておき、行事によってはOffにできるようにしておけば、無用なクレームを最小限にすることもできるでしょう。こうしたものに限らず、設定項目にしておくことでシステムの柔軟性が高まりますので、悩ましい部分は設定のON/OFFで利用者に委ねるという方針で問題ないと思います。

撮影の腕だけでは戦えない時代

カメラマンの選択基準は腕、というのは正論ですが、こと行事写真に限定すれば、撮影から販売まで含めた利便性で選ばれることが多いと思います。選定者は学校や何かしらの団体だと思いますが、そうした選定者にアピールできる機能を実装し、選定者の向こう側にいる利用者に何より便利に使ってもらうことが、継続的な発注を確保するための秘訣です。

行事・イベント写真は収益性は低くとも、毎年一定のペースで継続的に発生する重要な仕事でもあります。ご自身の腕以外にも、販売管理システムという武器を磨き、進み続ける少子化の波をもろともせずに売上を伸ばしてみてください。

開発スタッフのコメント
今となってはブロードバンドが当たり前になったため、写真の閲覧はかなり快適に行える環境が整っています。興味のある写真をチェックし、それをなめらかに決済まで行うという動作を、ユーザーインターフェース(UI)を徹底的に作り込むことでストレスのないユーザー体験に変えることは可能です。ユーザー体験の良さはそのまま写真購入点数として跳ね返ってきますので、システムの使い心地にはしっかりとこだわってみてください。