小麦の香りを運ぶ車

街中にあるパン屋さん以外にも、パンを買う手段は存在しています。最近では通信販売も盛んですが、車にたくさんのパンを積んで街をめぐる移動式パン屋もまだまだ元気です。パンを本部から仕入れ、車一台で開業するフランチャイズ型のパン屋が増えたこともあり、そのすそ野は拡がっているように感じます。

固定出店だと商圏や賃料の問題で身動きがとりにくくなりますが、移動式はそういったデメリットがありません。もちろん一長一短ではありますが、家の近くまで焼きたてのパンがやってきてくれるのを歓迎してくれる人も多いのではないでしょうか。毎週決まった場所に出店するものもあれば、キッチンカーと同じく、催事をめぐって出店している形態もあります。よりライフスタイルにあわせたパン屋さんが増えており、パン屋といえばこう、という常識が通用しなくなりつつあります。

今回のテーマは、こうした移動型パン屋のホームページやコミュニケーション戦略、管理システムについてです。どういったテーマで構築すれば良いのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 予算にあわせて管理方法を設計

移動型パン屋の売りの一つはローコストオペレーションだと思います。その方針をホームページについても徹底するのであれば、X(旧Twitter)やFacebookだけで必要な情報を発信するという形態が最も身軽でスピーディーに展開することができます。

投稿の更新もスマートフォンから簡単に行えますので、「次はどこに行きます」といった情報をリアルタイムに発信できるのは大きな強みです。写真のアップロードなども簡単ですので、ちょっとした催事や新商品の案内を発信できるのは強みですね。フォローの仕組みで、一度知ってもらった人には情報が届きやすくなるため、フォロワー数=ファン数という図式が見えやすいこともメリットです。

もう少し予算を組めるのであれば、長期的な資産にするために独自ドメインでのホームページ開設をお勧めします。お店のこだわりや商品紹介など、他のツールに比べると自由度が高くコンテンツにすることができるため、ブランディングやファン作りという意味ではより効果が高まります。出先から更新など、スマートフォンとの連動も同等のレベルで実現可能ですので、Wordpress等の基盤の上に構築すると良いでしょう。お客さんが少ない時にぱぱっと更新できる状態を実現するのが理想です。

もし開業仕立てであれば、現状はX(旧Twitter)とFacebookによる情報発信で乗り切りながら、ある程度移動ルートや店を出す場所、ファンがついてきた段階で独自のホームページを考え出すという順番で問題ないと思います。ステップアップで無駄のない投資を行ってください。

Point.2 メールマガジンに積極的に誘導

移動型パン屋にとって、商圏という概念はどうしても希薄になってしまいます。そのため、いかにお客さんと直接つながり、直接情報を届けられる体制を構築できるかが重要になってきます。そこでお勧めしたいのがメールマガジン機能です。

「小規模なのに必要なの?」と思われるかもしれませんが、小規模でも関係なく効果を発揮します。X(旧Twitter)でフォローしてもらえばいいじゃないかと思うかもしれませんが、流れの中に埋もれる可能性のあるメディアよりも、メールという形式の方が資産価値は高まります。

買ってくれた人にチラシや声がけをしてメールマガジンへ誘導することで、移動型でありながらより「見込める」独自のファン層を形成することが可能になります。メールアドレス登録を会員制度のような扱いにしてしまって、登録してくれた人にはサービスをするのも有効でしょう。移動型だからといって顧客の蓄積をあきらめる必要はありません。コミュニケーション手段は充実していますので、きちんとファンを蓄積するフローを構築してみてください。

アナログだからこそ最先端

移動型パン屋という業態自体はアナログビジネスの典型例かもしれません。昔からありますし、別に最新技術の恩恵などなくても運営することは可能です。

そういった業界だからこそ最新技術の活用をお勧めします。それほどの手間をかけなくても24時間宣伝してくれるのがホームページに代表されるツールの便利なところです。最小限の人数で運営する移動型パン屋だからこそ、人間以外の活用できるものは徹底的に活用してください。

開発スタッフのコメント
移動型パン屋さんは、身軽、というイメージが強いため、インターネット施策にあまり力を入れていないところも多いと思います。それはそれで問題ありませんが、きちんとファンづくりを行い、地盤を固めていくのであれば、もはやインターネット集客は避けて通れない時代になっています。ただ、机に向かってパソコンをかたかたする必要はありません。ちょっとした隙間時間にスマートフォンで管理できる範囲でもできることはたくさんあります。毛嫌いせずに、チャレンジしてみることをおすすめします。