運動不足解消の強い味方

20世紀から21世紀にかけて、スポーツクラブやフィットネスジムと呼ばれる業態が大きく成長しました。都市部ではもちろん、郊外でも施設を見つけることができ、老若男女様々な人が運動をするために、また、そこに集う人達との交流を楽しむために通っています。最近では小規模、低価格なコンビニジムと呼ばれる形態も普及しており、その規模や営業形態の種類でどんどんとバリエーションが増えています。

月額会員費をとるのが基本のビジネスモデルのため、一定数以上の会員を集めることができれば安定的な経営が可能です。一方で、客単価に限りがあるため、各社ともマンツーマントレーニングやグッズ販売、有料レッスンなどのアイデアを投入して売上向上を目指しているようです。

今回のテーマは、こうしたスポーツクラブ/フィットネスジムの会員管理や、マンツーマンレッスンの指導予約を管理するシステムについてです。どのようなポイントに気を付けて構築すべきなのか整理してみましょう。

Point.1 会員カードでチェックインから予約まで統合管理

会員管理はパソコン上で管理しているものの、有料レッスンの予約等は紙で管理しているというところもまだまだ多いと聞きます。システム導入当初は有料レッスンなどを想定していなかったために機能がないことが原因で、かといってそのためだけにシステムを更新する機会がなく、そのままの人力対応になってしまっているのでしょう。

こうした状況は管理上の無駄とミスを生みますので、会員カードの情報があれば、同一システム上でチェックインから有料レッスンの予約まで行えるようにします。会員側の煩わしさも減りますし、同一システム上で管理することで、チェックイン時に「今日は○○のレッスンですね」といった声がけができるようにもなり、会員満足度が高まることが予想されます。

会費に加えて有料レッスンの売上も正確に管理できるので、会員ごとの売上分析が正しく行うことができるようになります。優良会員限定で企画を行う場合の抽出も素早く行えるようになります。定量化されることで、クラスの増やすかどうか、また、どの時間帯を手厚くするかも精度高く判断できるようになります。特定の条件を満たしたプレミアムユーザー向けの特別開講クラスのようなイベントも、抽出から対象者連絡、運営までスムーズに行えるようにもなるでしょう。

Point.2 会員の属性等から提案対象をシステムが自動抽出

客単価向上につながる有料レッスン等は、待っていてもなかなか申し込みがあるものではありません。積極的な情報掲示と声がけがあってはじめて、十分な申し込みを確保できるのではないでしょうか。中にはノルマのようなものを設定して、スタッフ総出で追い込んでいるところもあると思います。

会員一人一人にじゅうたん爆撃のように声がけをするのも大事ですが、見込みのありそうな人に重点的に提案をすることも重要です。スタッフ一人一人の感覚に任せるのも一つの方法ですが、せっかくなのでシステムの力を活用しましょう。

システム上には既に有料レッスンに申し込んでいる会員情報が集積されています。その会員情報を基に「同じような属性の人」を抽出することで、提案の成功率が高まる対象会員が浮かび上がってきます。時間帯かもしれませんし、性別や年齢、利用期間など、いろいろな可能性が考えられます。

運動の目的やよく来る時間帯、週の来館頻度など、複数の指標で似通った属性の会員を抽出することでスタッフの感覚による対象を補完するリストができあがります。あとはこうした会員に対してこまめな情報提供を行うだけです。うまく有料レッスン受講へ導きましょう。

Point.3 営業日確認や予約確認/変更をスマホで楽に

今のご時世のマナーとして、スマートフォンにもしっかり対応しましょう。営業日確認が簡単に行えるようにするのはもちろん、有料レッスンの予約確認や変更もスマートフォンから行えるようにします。すべての手続きがスマートフォンからできれば、出先や移動中にぱぱっと手続きできるので、利便性が非常に高まります。

究極的には会員カードを無くし、スマートフォンの画面表示でチェックインできるようにすることも可能です。スマートフォンは常にチェックできる端末であることをいかして、タイムリーなお知らせ配信にも活用することができます。今までは難しかった、リアルタイムでの呼び込みも可能になるので、販売促進の柔軟性が高まります。

設備もシステムも時代にあわせて更新を

スポーツクラブやフィットネスジムは初期投資の大きい設備型のビジネスのため、追加投資を計画的にいかに行うかという難しさがあります。設備は劣化しますし、最新のものと比べて機能が劣ってきたりと様々な問題がでてきます。システムも同様です。

適切なタイミングで設備やシステムを入れ替えていく。こうして鮮度を保ちながら会員数を増やし続けていくことがとても重要なのではないかと感じます。

開発スタッフのコメント
健康増進のため、運動を習慣にする人は非常に多くいます。スポーツクラブ間での価格競争も激しく、また、設備の充実度での競い合いも続いています。一方で、ソフト面のアピールはそこまででないことも多く、この部分でユーザー体験を大きく向上させることができればチャンスと言えるのではないでしょうか。運営効率を高めながら、ユーザーの支持も集められるシステムづくりは、決して絵空事ではありません。