日本の食卓を支えるビジネス

今この瞬間もたくさんの食品が加工されています。食卓に並ぶものからレストランの食材として使われるものまで、食品工場の形態により様々な商品が作られ、出荷されています。外食であっても。冷凍食品、惣菜であっても、高度に管理されたこうした食品流通の仕組みがなければ、私たちの食卓は容易に崩壊してしまうでしょう。

こうした食品工場の屋台骨となるのが商流システムです。数多く存在する商品群から生産すべきものと数量を現場に流し、正確な製造工程を経て、検品、出荷までをトータルに管理するシステムです。現場の使い勝手が重要であることは言うまでもありません。多品種少量生産の工場も多いため、こうした現場で使われるシステムの効率性が生産性を左右すると言っても過言ではないでしょう。

今回のテーマは、こうした食品工場の管理システムについてです。仕入から製造工程、そして受発注処理にいたるシステムをどのように構築すると便利なのか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 商品カタログは現場と発注側で共通化

食品工場の場合、対応可能な商品群を何かしらのデータのかたちで持っていることが多いと思います。そのデータをシステム上に保存し、受発注側と共用することでデータのメンテナンスの手間を減らします。

受発注側はそのデータを基に発注画面を作り、自社内の店舗やお客様からの注文を受け付けできるようにします。基本的な仕組みは通常のインターネット通販のお店と似てきますが、会社の請求方法にあわせて最適化したかたちで注文機能を設計します。締め払いが一般的と思いますので、毎月の請求書のとりまとめと発行まで一貫して行えるのが理想的です。

商品カタログには写真や説明はもちろん、製造の際に必要な情報もあわせて蓄積していきます。情報が各部署で散在し、古い情報と新しい情報が混ざって混乱してしまう事態を避けましょう。情報は一元管理するのに越したことはありません。散在していたエクセルファイルに別れを告げるべきです。

Point.2 作業指示書とタブレットのハイブリッド

現場の運用は作業指示書のような紙がとても有効な場面があります。その一方で、紙ならではのデメリットやタブレット端末のようなもので電子化することによるメリットもあります。ラインの設計にもよりますが、タブレット端末やディスプレイをライン上に設置できるのであればペーパーレス化を推進することも可能ですが、現実的には指示書とのハイブリッド構造をお勧めします。

紙で情報を伝えた方が良い場面では紙ベースで管理し、要所要所のチェックポイントでは指示書上のバーコードをスキャンし、実物と工程上のデータが一致しているかどうかを検品できるようにします。注文単位で正確に管理できる体制を構築すると共に、ダブルチェック、トリプルチェックを行えるように紙もシステムも設計しましょう。ペーパーレス化については、運用にこなれてきた段階で踏み切るのでも遅くはありません。実際に、一度に廃止してしまうとトラブルになったときにシステムが悪者にされることが多いため、慎重を期すのであれば、段階的に導入やペーパーレス化を進めるのがよい場合もあります。

Point.3 やる気を高める定量化機能

食品工場での作業はどうしても単調なものになりがちです。作るメニューによる多少の変化はあれど、自分達の作業の結果が具体的にどう成果としてでているのかがどうしてもわかりにくくなってしまいます。

ラインスタッフを筆頭にした現場のスタッフの士気を高めるためにも、工場全体の現状や成果を見えるかたちにします。システム上で集計される日々の売上といったデータは簡単に表示できますし、廃棄率や納品ミスの率といった数字も集計することができます。ラインが複数あるのであればライン毎を比較して競争心を煽ることもできますし、データをうまく加工し表示することで明確な目標をセットすることができます。

業務改善の際の指標としても有効に活用できるので、モチベーションを高めるためにも生産性を高めるためにも、こういったゲームの要素を現場に投入することをお勧めします。個人単位であっても、チーム単位であっても、何か追いかける目標があったほうが、毎日の業務にハリがでるというもののようです。もちろん、達成できないような目標を押し付けるのでは逆効果ですので、現場の雰囲気と会社が目指すゴールの間で、ちょうど良いバランスを模索してみてください。

正確さが安全につながる

食品ビジネスの大前提は、安全であることです。その食の安全を実現するためには、工場全体の正確な管理が重要になってきます。事故を未然に防ぐためにも、ミスを最小化するためにも精緻に作り込まれたシステムが有効です。ビジネス面でも人事面でも輝く工場目指し、システムを最大限活用してみてください。

開発スタッフのコメント
食品製造工場は、衛生面や不良品率を気にかけながら業務効率を追求していく必要があり、非常に気を遣う現場です。乱暴に新しい仕組みを導入してしまうと、大きなミスにつながりかねませんし、一度のミスが会社の評判を大きく下げてしまうリスクがあります。現在の仕組みをしっかりと観察し、スムーズな導入計画を検討した上で、十分なテストを重ね、実際の運用に移行すべきでしょう。