毎月の重要な業務

給与というものは誰にとっても特別なものです。金額の大小はあれ、日ごろの努力の成果が具体的なかたちで手に入る瞬間を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか。固定給の色合いが強い雇用形態でもそうですから、成果報酬や実績型の報酬形態であればなおさらではないでしょうか。

その給与支払いを裏側で支えている人達がいます。多くの場合、会社の経理担当の人だと思いますが、毎月の実績を基に給与を計算し、税金等も考慮にいれた上で最終的な振込を行っています。エクセルやアクセスを駆使し、ときに膨大なデータを目チェックしたりと、非常に複雑かつ大量の業務負担が生じていることも多いのではないでしょうか。最近はタイムカードや勤怠管理を扱うサービスが増えてきたとはいえ、イレギュラーケースへの対応なども含めると、非常に手間がかかる作業に忙殺されているところもまだまだ多いのではないでしょうか。

今回のテーマは成果報酬型のスタッフや講師を雇用している会社の給与計算システムについてです。毎月の勤務実績等に基づいた金額を正確かつ効率よく管理するためにはどうすべきか、いくつかのポイントで整理してみましょう。

Point.1 実績管理とシステムを共通化

実績ベースの給与形態の場合、1件につきいくらといった単価が決まっている場合が多いのではないでしょうか。1コマのレッスンにつき3000円といった場合や、2時間につき5000円といったかたちで、コマ数や時間枠で単価が決まっていると思います。比較的計算自体は簡単なものの、欠勤があったり、振替があったりと、変則的なケースがあるので対応が必要です。また、申告ベースで集計している場合には、その申告コマ数が適正なものなのかをチェックする仕組みも求められます。

こうした実績管理を行うシステムと給与計算のシステムを統合することで、無駄な転記に必要な労力やミスを無くします。実績管理のシステムで単価を管理できるようにすることで、実績さえきちんと管理していれば給与は自動的に計算されるという状態にすることができます。まとめることで効率化する作業はシステムの力を活用してまとめてしまいましょう。

Point.2 ペナルティ要素も設定可能

契約関係に基づくとはいえ、相手も人間である以上、遅刻や欠席等のミスを起こすことがあります。こういったなんらかの事情で通常の単価を支払えないケースの場合に手動で対応する必要があると、一気に業務効率が悪くなってしまいます。

想定されるイレギュラー要因をあらかじめリストアップし、それぞれの場合の単価や、マイナス単価を設定できるようにします。欠席であればマイナス2000円といった具合です。こうすることでペナルティ要素もスムーズに管理ができるようになり、毎月の締め日にイレギュラーな分の修正を行わなくて済むようになります。ペナルティがない場合にはこうした計算は不要ですが、その講師の評価を行うときのために、欠勤数等は簡単に集計できるようにしておくことをおすすめします。

逆に、条件に合致するような勤務を続けている方には、追加報酬のような判定があっても良いでしょう。単純な例であれば皆勤賞的なものですが、それ以外にも契約条件によってボーナスがつく場合はあると思います。こうした特定条件で発動するものについてもしっかりと考慮しておくべきです。

Point.3 権限管理を行い、どこからでもアクセス可能に

給与計算の業務を一人だけが行うとも限りません。給与支払い対象者が増えればそれだけ管理が増えますし、入力する人とチェックする人といった具合に、役割の違った人が存在する場合も考えられます。複数の人が同じデータを触っても問題ないようにシステム側を構築すべきです。

システムをクラウド上に構築することで、パソコン環境や地理的なものに制約されないようにすることができます。同時に、セキュリティを高めるためにスタッフ権限とマネージャー権限をわけ、立場によって行える操作に差をつけましょう。例えば、報酬額の変化する修正には必ずマネージャー権限の人の承認がないと行えないようにするなど、うっかりミスから悪意のある修正まで未然に防止することができます。金銭が絡む情報だけに、こうした万が一にも備えるようにしておいてください。

アウトソーシングの時代の強力な武器に

昔と違い、アウトソーシングが当たり前になってきました。固定報酬で契約するよりも、成果報酬で契約するケースのほうが多いように思います。こうしたアウトソーシング時代の強力な武器になるものこそ、実績管理と連動する給与計算システムだと思います。

欲を言えば給与計算にとどまらず、他の業務システムも統合するのがベストですが、まずはできる範囲からはじめてみることをお勧めします。エクセルでの力業から脱し、正確かつ効率的な運営体制のためにシステムを活用してみてください。

開発スタッフのコメント
教育機関はもちろんのこと、さまざまなかたちでスポット単位の講師に業務をお願いしている業態も多いと思います。会社全体の人事システムと統合できるのであればそちらでの管理も有効ですが、そうでない場合は単体のシステムとして切り出してしまった方が、結果として安くつくことも多いです。自社の人事システムとの棲み分けが可能かどうか、人生制度との共存は可能なのか、検討してみてください。