夢も趣味も受け止める場所

自宅環境で楽器の演奏を思う存分楽しめる人は、この日本がいくら広いといえど少数派です。たまに自宅スタジオを作りました、という住宅記事を見かけることもありますが、コストやスペースの問題で、そこまで自宅に環境を整えることができる人は限られます。実際には、プロとして、また趣味として音楽を愛している人は街中にひっそりとたたずむ音楽スタジオを借りて日夜練習に励んでいるのが実状でしょう。

こじんまりとしたスタジオからチェーン展開をしているスタジオまで、広さや設備などスタジオも個性が様々です。常連さんとうまく付き合いながらいかにスタジオの稼働率を高めるかに四苦八苦しているスタジオオーナーも少なくありません。ひっそりと閉鎖するスタジオも多く、以下にしてサービスの価値を高め、業務効率を高めていくかが、長期的なスタジオ経営に重要なのは言うまでもありません。

今回のテーマは、こうした音楽スタジオのスケジュール予約を管理するためのシステムについてです。管理する側の便利さもそうですが、スタジオを利用するユーザーが便利に使えるシステムにするにはどうすべきか、いくつかのポイントにわけて整理してみましょう。

Point.1 時間ピッチを柔軟に設定可能にし、稼働率UP

音楽スタジオは時間貸しが基本です。どういった時間単位で貸し出すかはスタジオの方針によってまちまちですが、隙間無く予約が埋まる方がオーナーにとっては好都合です。そのための一つの方策が、予約時間単位の適正化です。

もちろん、細かく予約時間を刻まれることで今まで多めに予約されていた時間枠が短くなりうるので、売上減を心配されるかもしれませんが、ユーザーからすると必要な時間だけ予約でき納得感が高まるので長期的にみれば必ずプラスに働きます。もう少し延長したい、という場合に細かく刻めるのであれば、結果的には利用時間はあまり変わらないどころか、増える可能性もあるのではないでしょうか。

こうした時間単位の変更は試行錯誤が必要です。1時間単位なのか30分単位なのか、はたまた10分単位なのか。入れ替えのためのオペレーションに必要な時間や延長の可能性、片付けの平均所要時間などを計算にいれながら少しずつテストを重ねていくべきです。そしてそうして精緻化された時間にシステムが柔軟に対応し、大規模な改修なしに予約の時間単位を変更できるように予め構築しておきましょう。

さらに発展的な機能としては、より効率的な時間予約にするために相手の選択にあわせてディスカウントを提供するのも一つです。どうしても隙間時間ができてしまうなら、多少の割引をしてその時間を埋めたほうがメリットが大きい場合もあると思います。そうした場合にディスカウントを提供して時間枠を動かしてもらったり、拡大、縮小してもらう提案をするのも一つの方法です。「安くなるならもう30分使おうかな」と思ってもらえればしめたものですし、それにより稼働率の最適化が行えるなら意味のある投資になりえます。

Point.2 キャンセル待ちや直前割通知機能

スタジオに限らず、施設予約系のサービスはどうしても一定の確率で直前のキャンセルが発生します。キャンセル料を徴収することである程度の埋め合わせはできますが、スタジオが誰にも使われないぐらいであれば誰かに貸し出した方がさらに収益性は高まります。

キャンセルがどうしても発生する一方で、その時間を予約したかったけど予約できなかった人がいる場合があります。こうした人達に対してできるだけ早く連絡ができるように、スケジュール予約を行うサイトでキャンセル待ち登録ができるように機能実装します。

希望している時間枠でキャンセルが発生した場合はシステムが自動で登録された連絡先へメールを発信し、一定時間の内に申し込みがあればその人のために確保、なければ次のキャンセル待ちの人に通知を行う仕組みです。メールだとタイムラグが心配という場合には、LINEでの通知など、よりスマートフォンで頻繁にチェックする手段での配信も検討すべきです。

キャンセルがでた時間枠が当日や翌日のような直前の場合は自動で価格が割引になるようにもできます。こうすることでキャンセル待ちの人の納得度がさらに高まりますし、スタジオの稼働率を高めることができます。

Point.3 利用回数に応じた優遇策もネット上で管理

ポイントカードや会員証は発行の手間があるのはもちろん、ユーザーからしても常に携帯しないといけないといったストレスがあります。こうしたカード類を廃し、ネット上の予約管理及びスマートフォンでの画面提示などのかたちで業務や会員管理をシンプルにします。カード発行に関係するコストの削減にもつながりますし、忘れたといったケースへの対応コストも削減できます。スマートフォンを忘れた状態でスタジオに来る人はごく少数だと思われるため、統合してしまうことにあまりデメリットはありません。

加えて利用回数に応じた特典付与もシステムが自動的に行うようにし、予め設定した利用回数や利用金額に到達したユーザーにはイベント招待や割引きなどの特典を付与できるようにします。業務をシンプルにした分をしっかりとユーザーに還元できる仕組みを構築しましょう。

音楽愛好家が集い、巣立つ場へ

音楽に限りませんが、あるレベルまでは練習量が実力に比例します。その練習量は時間とお金に大きく左右されます。施設利用料金をできる限り抑えることでより多くの人に気軽に使ってもらう。そしてその中から大きく羽ばたいていく才能がでてくる。こんな好循環こそ理想ではないでしょうか。

施設利用料金を抑える工夫は運営コストの圧縮です。システムを活用し運営業務量を削減し、同時にユーザーの利便性も高めることで、費用対効果の高い「使えるスタジオ」が実現できるのだと思います。

開発スタッフのコメント
音楽スタジオのサービスということで、簡易的な共有フォルダ機能を提供するのも一つでしょう。マイページから音源をあげるようにして、それを簡単に当日参加メンバーで共有できれば、事前の音源ファイルのやりとりの手間が減ります。さらにそのままその音源ファイルをスタジオ内の機器から参照できるようにするのも便利かもしれません。