日本人はとっても知りたがり

今回のテーマは、心理テストや性格診断に代表されるような、設問に答えていくことで最終的な診断結果を提示するサイトの構築です。

誰しもが一度や二度はこういった診断系を受けたことがあると思いますが、単体として収益を目指せるサイトを構築できるのみならず、うまく自社の商品・サービスと結びついた診断を企画することでプロモーション用途にも展開できます。

ただ一方で、作ったはいいものの鳴かず飛ばずというのもよくある話です。消費者の目が肥えているだけに、とりあえず作っただけ、というクオリティでは相手にされないことも多いでしょう。かといって有名人を監修にいれたり、多大な広告予算を投下したり、ということができるのは一部の企業に限られるため、現実的ではありません。

今回はそういった診断系サイトをどのように構築し、システム化を行っていくべきかを考えてみたいと思います。

Point.1 ソーシャルメディアとの連携は必須

言うまでもありませんが、こうした誰かに見せたくなる、誰かのを見たくなる要素を持ったサイトはソーシャルメディアとの連携が必須です。ログインをX(旧Twitter)やFacebookアカウントで行えるようにするのもありですし、結果を簡単に友達と共有できるようにするのもやるべきでしょう。Instagramなどで積極的にタグ付けして拡散されるような誘導を設けるのも一つです。

加えて、ソーシャルメディア上の友人数やフォロワーの数を診断の材料として取り込むことで診断の正確性をあげることも考えられます。プライバシーにどこまで踏み込むのかという別の議論はありますが、よりソーシャルな要素を強化するのであれば検討の余地はあります。インフルエンサーのような人たちが思わず試して広めたくなる仕掛けを考えてみてください。

Point.2 診断結果をキャラ化し、保存・収集を可能に

一概に心理テストや性格診断といっても、結果を無味乾燥な文字だけで提示されることほどおもしろくないことはありません。もちろんイラストの制作費は別途かかりますが、診断結果をキャラ化し、さらにそのキャラを収集できるようにすることで、違うテストを行って他のキャラを集めるモチベーションを刺激できますし、ソーシャルメディア上に拡散する際のネタや、アイコンとして使われるとプロモーション効果も期待できます。

複数の種類のイラストを作っていくと費用ばかりがかさみますが、アバターの作り方と同じようにうまくパーツごとにわけ、診断結果の数字を基にシステム側で微妙にイラストのポーズや表情を変えます。こうすることでコストを抑えながらバリエーションを大幅に増やすことができます。

うまく擬人化することができれば、事業の中核キャラクターとして育成することも視野に入ってきます。イラスト作成にかかる費用もピンからキリまでありますが、可能な限り、クオリティがあがるような予算配分を検討してみてください。

Point.3 バッジやブログパーツで拡散の仕込みを

診断結果をイラスト化し、収集欲を刺激するのは前項で述べたとおりですが、診断結果を基にしたバッジ(画像バナー)や簡単なアニメーションを行うブログパーツを配布するのも拡散を促進する手段の一つです。配布される特典が魅力的であればあるほど、良い循環が生まれやすくなります。

Javascriptのコードを配布することで設置した場所にそのユーザーの結果に基づいた表示がされるようにし、不正表示を防止します。ユーザーのブログやサイトでの表示の度にシステムアクセスがあるためサーバーへの負荷は増しますが、そのバッジやブログパーツを見た人がまた新しいユーザーになってくれるという好循環を狙うことができます。

Point.4 システムの外販も視野に

ユーザーにとっては診断コンテンツが多ければ多いほど選択の楽しさがあります。ユーザーを集めそこで広告や有料課金などで収益化する努力もありですが、診断テストを行えるプラットフォームとしてスポンサー企業を募り、診断テストの企画から実施、集計までを行うサービスを展開することも考えられます。

複数の診断テストを効率的に管理する設計を施し、運用工数を削減する仕組みや、ユーザーにうまく告知するためのメルマガ機能、スポンサー企業に対して提供するレポートを出力する機能など、システムとしてはより高度化します。ただ、後からこうした汎用性を設けることは難しく、最初の構築段階で行うのが最も工数も小さく、構築コストも割安になります。

そんなことまではちょっと、と思われるかもしれませんが、自社が欲しいものは、他にも欲しい企業がいる可能性があることを示唆しています。自分たちがこだわることがそのままサービスの価値につながりますし、新しい収益の柱になりえますので、検討の価値はあるのではないでしょうか。

単機能サイトではなくコミュニケーションをデザインする

性格診断・心理テスト自体は陳腐化が進んでいます。全体のトレンドはどちらかというとスマホアプリやソーシャルメディア内でのアプリが主流になりつつあるのも事実です。このような状況下で、診断ができるだけ、という単機能サイトを作っても意味がないのではないでしょうか。なかなか、投資した以上の効果を見込むのも難しくなってきています。

診断という機能を提供するのではなく、診断結果を基にしたコミュニケーションをデザインするという視点で企画・設計することで、多数の人が訪れ、楽しみ、拡がる、そんな好循環が実現できるのではないかと感じています。

診断のアルゴリズムや診断結果のわかりやすさ、イラストの品質等、クリアすべき課題は多く高い完成度が求められますが、今でも十分にその価値はあるテーマだと思います。

開発スタッフのコメント
インターネット黎明期から診断系サービスは人気だったため、どうしても後発参入になってしまいます。お金をかければテレビコマーシャルとの連動や、各種販促との連動である程度の盛り上がりを作れますが、大企業以外にとっては現実的ではありません。いかにピリリときいたおもしろさで話題を作り上げるかが肝になります。そしてスピーディーに改善していけるよう、コンパクトに作り、進化させていくアプローチもお勧めです。