変化に適応するためのリプレイス検討
財団が運用している助成金の管理システムを刷新したいというご相談をいただいたのは、公益財団法人として様々な研究への助成金事業を行われている財団の理事の方からでした。すでに応募や審査を管理するためのシステムは存在していたものの、新しいタイプの助成金を開始する度に大きな改修となってしまっていることや、助成金の各フローを行う際にもシステム会社側への依頼が発生することがあり、スピード的な面でも、より自立運用できるシステムにしたい、というご要望でした。現行のシステムの状況などもお伺いしながら、ご提案内容をまとめ、プロジェクトがスタートしました。
自由形式での募集設計
既存システムは助成金ごとに質問項目を固定して実装されていたため、新しいタイプの助成金を追加する度に開発工数が発生していました。そこで、新システムでは、助成金への応募の際に尋ねる質問項目を、システムの管理画面からスタッフの方が自由に登録できるようにすることで、この問題への対応を図りました。ただ、毎年度の助成金設定の度にこうした質問項目設定を行っていては非常に手間がかかってしまうため、同じ助成金であれば毎年度、同じ設定パターンを使い回せるようにし、現場負担を軽減しています。
質問項目には単一行での文字入力や複数行での文字入力、選択肢選択やファイル選択を選べるようになっており、それぞれ必須項目なのか任意項目なのかを設定できるようにしています。こうすることで助成金ごとに異なる質問項目を高度かつ柔軟に再現することができました。あわせて、入力フォームでは表現しにくいような研究内容の詳細などについては、PDFファイルをアップロードしてもらうことで対応しています。将来的に様々な助成金設計を行う予定だというお話だったので、その助成金の性質にあわせて自由に質問項目を設定することで、システム自体の改修なしに対応可能な状態を実現しています。
設定値による細かなホームページ制御と自動連動
助成金の採択者や結果報告などをホームページ上で行っていたものの、助成金の管理システムとホームページが連動しておらず、ホームページの修正自体にも費用や時間がかかっていたことにもお悩みでした。そこで、システム自体にホームページ機能ももたせ、採択されたデータは自動的に反映されるようにすることで、自動的にホームページが更新される状態を実現しています。システムを管理するスタッフの方は、募集開始から終了、審査、結果確定という一連のフローを行うだけで、常にホームページを最新の状態に保つことができます。あわせて、情報公開やお知らせ機能など、従来のホームページに存在した機能についても管理画面内で同様に管理できるようにしています。とりあえずこのシステムにログインしておけばすべて大丈夫、という状態は、現場の方の負担を確実に減らす効果があります。
訪問者、応募者、審査者、管理者の共存
助成金事業には多くの立場の方が関与するため、それぞれの方向けの画面と認証を準備することでこの問題に対応しています。応募者には応募者マイページを準備することで、申請の作成はもちろん、履歴参照、さらには採択された場合の報告書のアップロードやアバター画像のアップロードなども行えるようになっています。同様に審査者の方向けにも専用の画面を準備し、自身が審査を行わなければならない対象者の情報を確認、審査というフローが、スムーズに行えるように配慮されています。
旧システムのデータも取りこぼしなくインポート
旧システムにすでに蓄積されたデータが存在し、そうしたデータの処遇についても悩ましいポイントでした。幸い、データの出力自体は旧システム会社の協力を得ることができたため、過去の年度のデータについても、新システムで同様に保持、公開管理できるようにしています。もちろん、データ形式は異なるため、必要なデータを取捨選択した上で取り込みプログラムを実装。足りない部分や判断が必要な部分はスタッフの方に補っていただくというハイブリッド方式で対応しました。新システムに取り込む必要がないデータについては、財団側のストレージに保管しておいてもらうなど、取捨選択や優先順位づけを行うことで無用な工数やリスクを低減しています。
自立運営のためのヘルプとサポート
今回のご要望の肝であった、変化していく財団運営への対応と、スピーディーな自立運用というゴールに向けて、デモンストレーションの実施やヘルプの充実、問い合わせ対応などでサポートを行いました。担当の方の緻密な導入スケジュールのおかげもあり、大きな現場の混乱もなく、新システムへの切り替えを行うことができました。ホームページから審査まで、助成金運用において必要となる機能すべてが一つにまとまった状態を実現しています。
こういったお悩みをお持ちであればご相談ください
ホームページとの一体運用にしたい
助成金に限らず、裏側で管理している内容を、自動的に表側(ホームページ)に反映したいという要望は、多くの方がお持ちではないでしょうか。一方で、現実的には表側はWordpress等のシステムを使い、裏側はまた別のシステムが動いているということも珍しくない構成だと思います。こうした構成を密に連携させることは難しく、それぞれのアップデートや機能変更により、連携する部分の機能メンテナンス工数も膨れ上がりがちです。かといって人の手でその間をつなぐように更新作業を行うというアプローチでは、いつまで経っても現場の負担はなくなりません。
こうした場合に有効なのが、システムの機能としてホームページ機能を作ってしまうというものです。そもそものページ数が膨大であったり、非常に更新の多いページばかりだったり、という場合には考慮すべきことが増えるため工数が大きくなりがちですが、ほとんどが固定の内容のページで、一部が裏側のシステムのデータを基にした情報発信という場合には、検討の価値がある方向性です。
一つのシステムとして裏側も表側も動くため、データのステータスに応じて自動的にページを生成したり、データを基に様々な条件分岐や情報差し込みが可能になります。利用者がアップロードする情報も取り込むようにすれば、自律的に内容が充実していくシステムに進化させることも可能でしょう。担当者がITに強くなくても運用できるのもメリットの一つと言えます。
取得項目を自由設計したい
システムはデータを蓄積するものとも言えるぐらい、データ取得機能とは切っても切り離せません。どういった項目を取得するかというのはシステムの用途により千差万別です。決まり切った用途であれば、固定の取得項目でシステム構築するのが最も工数を抑えることが可能ですが、そうではないケースには取得項目自体を自由に設計できる機能を実装してしまうこともお勧めです。
例えばコードを書かずに様々な機能を実現するようなサービスであれば、こうした情報取得項目が自由設計できることが当然の要件になるでしょうし、そうではなくても、情報取得の用途によって色々と調整したい、というケースもあると思います。現状はGoogleフォームで取得しているような内容を、統合的に一つのシステムで管理したいという場合にも、こういった取得項目の自由設計機能が重要になるでしょう。
システム構築というと、どうしても固定化された融通がきかないイメージを持たれるかもしれません。固定化することで業務効率が高まり、混乱が少なくなるという意味はもちろんありますが、柔軟性自体を機能により担保することで、違った価値をシステムに持たせることが可能です。長期的に様々な展開が予測されるようなシステムの場合には、特に検討の価値があると思います。
当社では、ホームページと一体化したシステムの開発、運用にも強みがあります。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。