独自構築システムのリプレイス
アルバイトを除く全職員の勤務管理システムを再構築したいと相談を受けたのは人事部の方からでした。詳しくお伺いしていくと、複雑な承認ラインや、届出ごとの細かい制御、さらには就任年度で異なる有給休暇付与のルールなど、一般的なパッケージシステムでは到底実現できないような仕様項目が多く存在したのです。その時点では独自構築のシステムを利用しておられ、そのシステムが昨今の国の社会保険制度の変更に追随するのがいよいよ困難になったため、私たちにご相談がきた、という流れでした。
既に稼働している原型となるシステムがあったため、そのシステムを参考資料としつつも、現在、そして未来の制度変更に対応していけるよう、構造的には大胆な見直しを行ったうえで、画面イメージと共にご提案。プロジェクトがスタートすることになりました。
届出ごとの個別プラグラム化
勤務管理システムなため、非常に多くの届出が存在しました。出張や休暇だけをとってみても、就業規定上、距離によって異なったり、取得できる対象者が異なったりと、単純な仕組みでは対応できないと判断。一つ一つの届出をプログラム化し、それぞれで独自の動作をするようにすることで、どのような場合に制限をかけるか、どのような場合に追加の情報を求めるか、といった細かい要件に対応していきました。個別プログラム化することで法制度対応にもうまく対応できるようになっており、働き方改革やコンプライアンスといった文脈で大学側に求められる内外からの要求にも、柔軟に対応できるように配慮されています。
また、管理者による届出一括登録機能も整備し、全職員一括で対象になるイベントごとなどの場合に、管理者が代理で登録できるようにすることで、業務効率の向上を実現しました。管理画面内の機能も多く構築されたため、管理者の立場によって表示の出し分けや機能制限、さらには重要度の高いデータへのアクセスはアクセス元のネットワーク制限を追加するなど、セキュリティにも厳重な配慮を行っています。
休暇管理の統合と制度対応
有給休暇の管理も統合されたシステムのため、就業規定にそったかたちで有給休暇を生成。また、昨今の時間取得を推奨する流れに対応するために、残数を時間単位でも調整できるように設計しました。休暇残数がある場合に欠勤を登録しようとすると有給休暇の利用を促すアラートを出すなど、利用者・管理者双方にメリットのある細かい配慮も行われています。
さらには、事業者の責任において有給休暇の確実な取得が推奨されるようになった際にはいち早くその残数を一覧できる画面を作成。所属長を通じた取得奨励が行えるように機能追加を行いました。こうした国の制度変更に迅速に対応できるのも、オーダーメード型のシステムの強みと言えます。
膨大なテストと整合性担保
勤務管理システムはその性質上、給与に直結する大切なデータを多く扱うため、計算ミス等のバグは致命的です。そのため、システムの動作をテストするプログラムを丁寧に準備し、あらゆるケースで動作がおかしくならないようにチェックを行っています。機能追加のたびにテストプログラムも増えていき、今では数千を超えるテストプログラムとして、品質維持のために日々稼働しています。
テストプログラムはシステムに変更が入るたびに自動でチェックが走るようになっており、おかしな状態で本番環境へ展開されることを未然に防止しています。エラーを事前に精度高くチェックすることにもつながるため、コード品質を高く保つことにも貢献しています。
こういったお悩みをお持ちであればご相談ください
利用対象者が多く、属性も混在している
月額課金型の勤務管理システムも多くありますが、ある程度の規模になってくると、どうしても人数課金型のサービスはコスト面の負担が大きくなってきてしまいます。また、利用対象者が増えることは様々な制度利用の絶対数も増えることになり、様々な届出をあわせてシステム化しておかなければ、業務が逼迫する未来が容易に想像される事態になってしまいます。
役職や職種の違いによって就業規則が異なることもあると思います。休暇一つをとってみても、その付与数を筆頭に、職種によって差異がある場合もあれば、利用できる期間が地区によって異なるといったケースもあると思います。また、出張規定も、役職によってその手当の額や条件に違いがあることもあるでしょう。こうした細かい場合分けを行う必要があるのが勤務管理システムの複雑たる所以と言えるでしょう。制度側を市販のサービスにあわせていくという考え方もできなくはありませんが、意味あってそういった制度になっていることも多く、大学内のすべての利害調整も膨大になり得ます。とてもとても、現実的とは言えないケースが一般的ではないでしょうか。
こうした大量の利用者、多種多様な利用者にあわせて完璧にカスタマイズしていけるのが、独自構築のメリットでもあります。規則として整備されているのであれば、後はそれをプログラミングコードで表現するだけです。ルール化されている限り、機能として表現することはできますので、どれほど複雑に見えても必ず道筋をつけることは可能です。あきらめる必要はありませんのでご安心ください。
学内/社内データベースとの連携が必要
創業間もなくない限り、過去のデータや、他のデータベースというものが存在していると思います。そうしたデータベースを前提に学内や社内の他のシステムが動いている場合、基準となるデータベースと連携する必要性がでてきます。都度、担当者がエクスポートし、インポートするというやり方も否定はしませんが、非常に非効率ですし、ミスの可能性もでてくるためあまりおすすめできません。どうしてもそうせざるを得ないという事情がない限り、システム間で直接連携させる方がおすすめです。
大学内の他システムが動作しているデータベースの種類を問わず、ネットワークアクセスが可能であれば連携することができます。データの取り込みもできますし、逆にデータを書き込みにいくこともできます。データをそのまま読み出して使うか、それとも一旦データとして取り込んで保存して使うかは要件次第ですので、ケースバイケースで判断することになります。都度他のデータベースに参照しにいくのは、速度面で不利なこともあり、リアルタイム性が重要視されないデータについては、夜間の定期処理であらかじめシステム内に取り込んでしまうのも有効でしょう。
他にも、組織として契約しているGoogle Workspaceのようなサービスとも、APIが準備されている限り連携することが可能です。複合体の一つとして機能するシステムが必要なケースでも十分に対応できますのでご安心ください。
法律や制度には積極的に準拠したい
働き方が常に変化する中で、法律や制度もどんどんと変化していきます。強制力のあるもの以外の推奨程度のルール改正も含めると、その頻度は毎年度と言ってもいいぐらいかもしれません。こうした制度変更等に積極的に対応していく必要があるのも、人事関連データを扱うシステムの宿命とも言えます。対応が遅れてしまうと、大学内からの突き上げはもちろん、関連省庁からの指導が入る可能性もあるため、スピード感を持って対応する必要があります。
10年後にどのような制度になっているかを予測することは困難ですが、可能な限りシステムを柔軟にしておくことは可能です。できる限り影響の及ぶ範囲を限定し、変数化できるところはしておく等の工夫は、細かいレベルも含めるといくらでもできます。また、そういった改修のための予算を一定額毎年確保しておくことで、素早い改修への動き出しが可能になります。
こうした設計上の工夫が、将来の改修工数を間違いなく左右します。構築時の初期コストにばかり目がいきがちですが、こうした中長期での工数管理、リスク管理ができているかどうかも、業者選定の際の一つの視点として検討してみてください。
当社では、仕様が外部の影響を受けない案件はもちろん、国の制度や社内規定の影響を受けやすく柔軟性が必要な案件も得意です。ご相談はもちろん無料ですのでお気軽にお問い合わせください。